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ケインズの非自発的失業とは?自発的失業や摩擦的失業の違いを解説

マクロ経済学で有名な考え方の一つとして非自発的失業があります。意外に感じるかもしれませんが、現代の日本では失業率は低水準を記録しています。

この失業率を見る際に、使われる概念も非自発的失業です。この記事では、ケインズが示した非自発的失業について自発的失業や摩擦的失業との違いも踏まえて解説しましょう。

 

ケインズの非自発的失業

ケインズの非自発的失業とは、失業を望んでいないのに仕事を失うことです。主な例として、リストラが挙げられます。

非自発的失業が生じる原因は、企業の運営が上手く行かずに人員整理する必要があるためです。マクロ経済学的には、労働需要が労働供給を下回るために生じると考えられています。

非自発的失業と完全雇用

ある国で非自発的失業が生じるのは、完全雇用が達成できていないためです。完全雇用とは働く意思を持つ人が全員職に就けている状態であり、GDPギャップがない状態を指します。

ここで使われるのは、以下の示した45度線のグラフです。

2本で表したグラフがちょうど接するとき、完全雇用が達成されます。しかし、国民所得YFが図のような位置に来た場合、現在の国民の所得は希望の水準を満たしていないのを示します。

要するに、非自発的失業が生じている状態です。

完全雇用国民所得やインフレギャップおよびデフレギャップは、以下の記事でも説明しています。合わせて参考にしてみてください。

非自発的失業のグラフ

非自発的失業は、グラフを用いて示すこともできます。

グラフを描く際には、縦軸に実質賃金率と横軸に労働量を置きましょう。すると、以下のように描けるはずです。

非自発的失業を古典派の視点で解説しているグラフ

先程も説明したとおり、非自発的失業は労働需要が労働供給を下回ることで発生します。そのため、図で示した青線の部分が非自発的失業が発生するポイントです。

ケインズモデルの示し方

非自発的失業については、ケインズモデルでも示せます。ケインズモデルでは、縦軸に名目賃金と横軸に労働供給量を置くのが特徴でした。

さらに非自発的失業が生じると、労働供給はそのポイントよりも下がらなくなります。したがって、グラフは次のように表せます。

非自発的失業をケインズモデルの視点で解説しているグラフ

なお、古典派とケインズモデルの違いについては下記の記事でもまとめました。読んでいない方は、こちらの記事にも目を通してみてください。

 

非自発的失業を防ぐには

非自発的失業が生じているのは、完全雇用が実現できていないためです。したがって、こうした現象を防ぐには完全雇用を達成する必要があります。ここでは、その具体例を2つ解説しましょう。

政府支出を増やす

非自発的失業を防ぐ方法として、政府支出の増加が挙げられます。

政府支出といえども、政府最終消費支出公的固定資本形成の2種類に分けられます。

政府最終消費支出は社会保障のことを指し、主な例として挙げられるのが政府の商品(消費財)の購入や公務員への給料です。

公務員の給料が上がることに、不満を覚える人も一定数いるでしょう。しかし非自発的失業の改善を狙うには、公務員の給料も重要な要素となります。

一方で、公的固定資本形成は道路工事といった公共事業が該当します。

減税を実施する

非自発的失業を防ぐには、減税も検討することが望ましいとされています。一般的に減税は、個人消費を高める作用の一つです。

マクロ経済学において、個人消費はしばしば「c(Y−T)」で表せます。cは消費性向・Yは国民所得・Tは税金のことです。つまり税金の少ないほど、国内消費に良い影響を与えるとされています。

ただし、一切税金を取らないと考えるのは望ましくありません。なぜなら税金で補っていた歳出部分を全て国債で対応しなければならず、著しいインフレーションを引き起こす恐れがあるからです。

ビルトインスタビライザーとの兼ね合いも考慮しつつ、税率(税額)を設定する必要があります。

「税金は財源ではない」という言葉も見かけますが、完全に取らなくていいものでもありません。政府支出や減税の詳しい内容も含め、以下の記事にもまとめているので参考にしてみてください。

その他の失業との違い

非自発的失業の他にも、さまざまな失業の種類が存在します。マクロ経済学では、これらの失業が問題に出されることもあります。誤っている説明文を読み解けるように、しっかりと意味の違いを押さえてください。

自発的失業

非自発的失業とよく混同されやすいのが自発的失業です。こちらは、自分の意思にしたがって失業を選んだケースが該当します。

人々が自発的失業を選ぶ理由として、現在の賃金水準では働きたくないといったものが挙げられます。経済不況の場合に生じると考えられがちですが、どのような時代でも一定数存在する概念です。

古典派やケインズも、たとえ完全雇用が成立したところで、自発的失業を選ぶ人はいると認めました。

摩擦的失業

摩擦的失業も、非自発的失業と混同しやすい概念の一種です。こちらは企業とのミスマッチにより、転職活動をしている従業員が該当します。

勤めていた民間企業を辞めて、市役所に勤めるため公務員試験の勉強をしている期間も摩擦的失業に含まれます。

こちらも自発的失業と同様に、古典派やケインズは完全雇用の中でも摩擦的失業は生じうると考えました。景気が良くても、企業と合わなければ辞めていく人は一定数いるからです。

 

 

失業の種類を整理しよう

最後に非自発的失業を含め、失業にかかる全ての種類をおさらいしてみましょう。

非自発的失業は、自身が望んでいないのに失業状態になることです。経済学者として有名なケインズが提唱しました。

この状態になる割合が高くなるほど、労働需要が労働供給を下回っているといえます。

企業が労働者を欲している状態ではなく、景気も一般的に下がっているのが特徴です。非自発的失業を防ぐには、政府支出の増加や減税が望ましいとされています。

また、失業には他にも自発的失業や摩擦的失業があります。自発的失業は自らが進んで失業している状態、摩擦的失業は企業とのミスマッチで一時的に失業していることです。

これらの違いを押さえつつ、公務員試験のマクロ経済学の問題に挑んでください。