国会が開催されてから、さまざまな議論が毎日繰り広げられています。
特に目玉となっているのが子育て支援策と防衛費について。
税金も日々高くなる印象ですが、減税はどのように考えられているかに注目も集まるでしょう。
この記事では、非自発的失業者を減らすための完全雇用国民所得の計算式を紹介します。
減税額を求める方法についても細かく紹介するため、公務員試験の参考にしてください。
完全雇用国民所得とは
次に完全雇用国民所得を解説します。
完全雇用国民所得とは、完全雇用が実現される際の国民所得のことです。
完全雇用は、非自発的失業者がいない社会を指します。
リーマンショックやコロナショックのように、景気が悪くなると失業率の増加を招きます。
いま勤めている会社で頑張りたくとも、運悪くリストラの対象になる方もいるでしょう。
このように自分の意思に反して、失業する状態を非自発的失業と呼びます。
完全雇用へ近づくには、国が一丸となって景気を回復させなければなりません。
政府支出と減税は、景気を高める効果のひとつとして期待されています。
計算式と減税の関係
完全雇用国民所得が定められているとき、他の条件を使って必要な政府支出と減税の値を求められます。
公務員試験でも頻繁に出題されるジャンルのひとつです。まずは公式を押さえ、計算ミスしないように練習してください。
計算に使われる数値
政府支出と減税の値を求めるには、以下の数値が使われます。
- 完全雇用国民所得
- 現在の均衡国民所得
- 限界消費性向
現在の均衡国民所得とは、総需要と総供給を等しくさせる国民所得のことです。
ある国が生み出す生産量と国民の需要が一致している状態を指します。
限界消費性向は、つまり所得の増え方に対する消費の増加分です。
それぞれの数値を使い、実際に問題を解いてみましょう。
Y=C+I+Gを使って求める
使われる計算式は
Y=C+I+Gです。
マクロ経済学では、GDPを求める数式が頻繁に出てきます。
最も基本的なポイントとなるため、スラスラと書けるようにしてください。
ただし、今回の問題はCやIが示されていないように思えます。
この場合、Cについては限界消費性向0.8を使いながら自分で算出します。
Iはとりあえず定数として置いていてOKです。計算時に変化しないものとして消去しましょう。
計算式へ代入してみる
完全雇用国民所得などの数字を使いつつ、政府がすべき減税額を求めます。
まずは、国民所得の変化の度合いを押さえてください。
現在の均衡国民所得の180から、完全雇用国民所得は400まで増加しました。
つまり、変化分は220です。式には⊿220と置きましょう。
次に限界消費性向を用いて、C(消費)の数を定めます。こちらは仮の状態で構いません。
Cは「c(Y-T)」と書き換えられます。
- c=限界消費性向
- Y=国民所得
- T=租税
本当は「A+c(Y-T)」と基礎消費(A)が入るものの、こちらでは省略しました。
各変化分を式にすると
⊿Y=⊿c(⊿Y-⊿T)+⊿I+⊿Gです。
IとGは関係ないので0にして、Yには220、cには0.8を代入します。
すると220=0.8(220-⊿T)となりました。
計算して減税額を求める
220=0.8(220-⊿T)と式を作ったら、計算して減税額を求めます。
ケアレスミスには十分気を付けてください。
220=176-⊿0.8T
-⊿0.8T=44
⊿T=-55
したがって、減税すべき金額は55億円です。
完全雇用国民所得の重要性
完全雇用国民所得の概念は、マクロ経済では非常に重要です。
先述でも触れましたが、完全雇用になると非自発的失業者が現れません。
ただし、全失業者がいなくなるわけではなく、より待遇の良いところを狙って自発的に失業するケースは起こります。
日本の失業率は2023年4月時点で2.3%、1994年以降では最も良い記録となりました。
大量のリストラで人材を失うリスクは避けなければなりません。
この経済水準を維持し続けるためにも、完全雇用国民所得を目指すことが大切です。
まとめ
今回は、完全雇用国民所得を求める計算式について説明しました。
最もオーソドックスな内容が、
-⊿T(減税)を求める問題です。
マクロ経済学では、
Y=C+I+Gの計算式が使われます。
消費(C)は、C=A+c(Y-T)と置き換えることが可能です。
上手く式を変形させながら、減税すべき額について求めましょう。