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意見公募手続の対象は?地方公共団体の措置と命令等も解説

行政手続法の第6章には、意見公募手続について定められています。その規定の中でも、特に押さえたい内容が命令等です。

この記事では意見公募手続と命令等について解説します。行政書士試験や司法試験を受験される人は、記事の内容をしっかりと押さえてください。

 

意見公募手続の対象

意見公募手続のイメージについてわかりやすく示した図

意見公募手続とは、命令等が定められる際に広く国民の意見を求める手続きです。別名でパブリック・コメントとも呼ばれています。

ここでは意見公募手続の対象や内容について紹介します。出題されやすいところを中心に取り上げるので、勉強の参考にしてください。

対象になるのは命令等

意見公募手続の対象となるのは、命令等です。命令等に含まれる要素として、以下の例が挙げられます。

  • 法律に求める命令
  • 審査基準
  • 処分基準
  • 行政指導指針

行政上の規制のみならず、行政上の給付にかかる命令も対象となります。しかし法人の役人の解任命令については、当該対象には含まれません。

命令等の一般原則

命令等制定機関が定める命令等は、法令の趣旨に適合させるのが原則となっています。違法な行政活動は無効になる原則(法律の優位の原則)に従うためです。

また命令等を定めたあとも、実施状況や社会情勢によって在り方が変わってくることもあります。命令等制定機関は、必要に応じて内容を検討し、適正を確保しようと努めなければなりません。

適用除外となるもの

命令等に該当する事項でも、以下のケースに当てはまる場合は意見公募手続を取らなくてよいとされています。

  • 公益上、緊急性の高くて手続を実施するのが困難
  • 納付すべき金銭に関する法律の制定または改正
  • 金銭の給付決定で算定の基礎となる金額や算定方法
  • 他の行政機関の命令等と実質的に同一の命令等を定める
  • 命令等の根拠法の削除や廃止

ここでは特に押さえたい部分をピックアップしました。上記の適用除外は行政手続法第39条第4項にあるので、正しい文言を知りたい人は条文をチェックしてください。

意見公募手続の対象外

次の内容については、意見公募手続の対象にならないとされています。

  • 行政契約
  • 行政調査
  • 行政計画
  • 行政指導
  • 行政上の強制執行

特に行政指導や行政上の強制執行は、性質上命令と勘違いしやすいので注意が必要です。対象外の例ではなく、何が命令等に含まれるかを覚えるようにしましょう。

地方公共団体の措置

行政手続法第46条では、地方公共団体の活動については意見公募手続の規定は適用されないと定められています。ここは引っかけ問題として問われやすいので注意が必要です。

ただし公正の確保と透明性の向上を図るための措置は執らないといけません。少しややこしいですが、行政手続法の規定は直接適用されないものの、同じような趣旨は及ぶと覚えておきましょう。

 

 

意見公募手続の流れ

意見公募手続は、以下の流れで行う必要があります。

  • 命令等の案・関連資料の公示
  • 国民による意見の出
  • 提出意見を考慮する
  • 結果の公示

それぞれで重要なポイントを解説しましょう。

命令等の案・関連資料の公示

命令等制定機関(各大臣など)は、あらかじめ命令等の案と関連資料を公示する必要があります。できるかぎり広く国民の意見を聞くようにしなければならないためです。

意見提出の期間は、公示の日から起算して30日以上です。ただし期間を設定できないやむを得ない事情があるときは、例外的に30日以下でもOKとされています。

さらに委員会等の会議により、命令等が設定されるケースもあります。その委員会等が意見公募手続に準ずる手続きを行うとき、自ら実施する必要はありません。

国民による意見の提出

どのような人が意見を提出すべきか、行政手続法では特に指定されていません。したがって全く無関係の人や法人、外国人でも問題なく提出できます。

この辺りも引っかけ問題として問われる可能性があるので、意見の提出は誰でもできると覚えておきましょう。

提出意見を考慮する

提出意見の考慮は、行政手続法の第42条にも定められています。命令等制定機関は、国民から提出された意見について十分に考慮しなければなりません。

ただし必ずしも意見を採用する必要はないので、考慮と区別して覚えてください。

結果の公示

結果の公示については、行政手続法第43〜45条で細かく定められています。これらの内容はいずれも重要であるため、対象と方法に分けて解説しましょう。

公示しないといけない内容

公示しないといけない内容は、行政手続法43条第1項、4項、5項に定められています。1項、4項、5項の内容は次のとおりです。

  • 1項:意見公募手続により命令等を定めた
  • 4項:意見公募手続したが命令等を定めない
  • 5項:意見公募手続せず命令等を定めた

いずれにおいても、公示すべき内容とされているのが「命令等の題名」です。こちらは全ての項で共通とされているので、必ず覚えてください。

その他に関して、公示が必要と規定されているのが以下の事項です。

  公示すべき内容
1項関係 ・公示日
・提出意見(意見がなかったらその旨)
・考慮結果と理由
4項関係 ・公示日
・命令等を定めない旨
5項関係 ・命令等の趣旨
 (明らかに適用除外事由に当たるときを除く)
・意見公募手続しなかった旨と理由

なお1項関係で提出意見がなかったとしても、再度意見公募手続を経る必要はありません。

どのように公示するか

結果の公示方法については、行政手続法の第45条に定められています。当該条文では「電子情報処理組織」「その他の情報通信技術」とあります。

表現がややこしいですが、要するに公示方法はインターネットを使うのが基本です。

 

意見公募手続で問われやすい内容

意見公募手続の問題では、何が対象になるかが狙われやすい印象です。対象とされるもの4点、特に行政指導指針も対象になることを忘れないようにしましょう。

他にも適用除外の内容や公示すべき内容、地方公共団体の措置も問われやすいといえます。記述式でも以前出題されたため、しっかりと説明できるようにしてください。