どーも、ヤマトノです。
前回は『均衡国民所得』について解説していきました。
計算問題がやたら出てきますが、確実に得点源としておくことが大切です。
今回も公務員試験のマクロ経済学では超重要な「乗数理論」についてまとめていきます。
1.乗数理論とは?
正直、そこまで理論の話をしても仕方ない部分はありますが・・・。
乗数理論の仕組みについて解説していきます。
ただ、公務員試験を解く上では必要の無い知識を書いていく形となるため、不要だなと感じたら「2.」以降の計算問題に飛ばしてください。
・乗数理論の大まかな内容
乗数理論とは、民間企業の投資や政府の支出、減税・増税等が行われたときに国民所得がどこまで変化するかを示す値です。
民間企業が投資もできないくらい金銭的余裕が無ければ、その影響で国民も貧乏になってしまうでしょう。
こういった不況を防ぐため、政府は公共事業の増加や減税を試みます。
国の経済状況は、民間企業や政府等によってアップダウンを繰り返しているのです。
乗数理論は、上記の仕組みを具体的な数値を用いて分かりやすく表しています。
・乗数理論の公式の仕組み
均衡国民所得を求める計算でも使われていましたが、乗数理論の計算式にも下記の公式が用いられています。
上記は外国との貿易が行われない、「閉鎖経済(封鎖経済)」と言われる状態です。(鎖国をイメージすると分かりやすいでしょう。)
貿易を考慮した場合は「開放経済」と言われ、式は下記のように変化します。
Xは輸出、Mは輸入を指しています。
公務員試験の乗数理論は、公式に数字を代入して求める問題が基本です。
国家公務員から地方公務員まで幅広く問われるため、確実に得点できるよう押さえていきましょう。
2.乗数理論の計算問題
では、ここから問題を出します。
今回は、
・政府支出
・減税
の2つのテーマから出題しましょう。
とはいえ、計算方法は大きく変わりません。
・政府支出の変化の問題
乗数理論の数値は下記の通りです。
Y=C+I+G
因みに、「限界消費性向」とは所得に占める消費の割合を指します。
つまり、所得が増えると消費も一定の割合で増えていくことを示した数値です。
上記の問題では、「0.6」と定められているため、所得が1億円増加すれば消費は6,000万円増加します。
理屈を覚えるのが厄介であれば、本問題の限界消費性向は「0.6Y」と表せることだけを覚えておきましょう。(無論、問題文の数値によって係数は変わります。)
ここまで押さえたら、後は乗数理論の公式を整理していくだけです。
解は以下の通りです。(単位は兆)
Y'=C'+I'+G'
Y'=0.6Y+3+0.2
0.4Y=3.2
4Y=32
Y=8
正解は3番の8兆円です。
・減税
続いての問題は、税が取り扱われています。
少し難しそうに思えますが、乗数理論のルールを押さえておけば大したことはありません。
まずは、税金のルールだけ説明します。
減税はご存知の通り、課せられている税の金額を低くする政策です。
消費税は基本的に10%が課せられますが、それを5%まで抑えれば減税に該当します。
税額控除は、税金として納めなくてもいいと対象から外す仕組みです。
「ふるさと納税」が税額控除の代表例として挙げられます。
ここから、この問題を解いていきましょう。
問題文では、ご親切に公式が書かれていますが、少しだけ罠が仕掛けられています。
あくまで「減税」による変化しか記載されていないため、解く際には「I」と「G」は無視してOKです。(「T」と関わりのある「C」のみを考慮します。)
順番的に、「T」から整理しましょう。
T=0.2Y-a
税額控除が1増加するので
T=0.2Y-1
次にCの式に当てはめます。
C=0.5(Y-0.2Y-1)+2
C=0.5(0.8Y-1)+2
C=0.4Y-0.5+2
C=0.4Y+1.5
最後にYの式に代入しましょう。
Y=0.4Y+1.5
0.6Y=1.5
6Y=15
Y=2.5
正解は(2)になります。
3.乗数理論のまとめ
今回は「乗数理論」について紹介しました。
Y=C+I+G+(X-M)
の基本的な公式から変化分のみを求める方法です。
ここでは、政府支出の変化と減税による国民所得の変動を見ていきました。
さまざまなパターンで出題される分野であるため、自身でも参考書を購入して過去問に取り組んでいきましょう。
試験に出された場合は、
「変化した値」をマークし、計算問題お馴染みのケアレスミスを防ぐことが大切です。