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ステルス値上げは違法になる?うざいと思われてもしたがる理由

物価上昇がニュースで取り上げられる中、密かに問題となっているのがステルス値上げです。消費者を騙すような手口ではありますが、法律上は問題ないのでしょうか。

この記事では、ステルス値上げの違法性について解説します。法律の関係性をしっかりと押さえ、今後の生活に生かすとよいでしょう。

 

ステルス値上げとは

ステルス値上げとは、消費者に気づかれないように値上げする行為のことです。具体的には、価格を変えずに内容量を減らす方法があります。

袋菓子の場合だと、中にどのくらいのお菓子が入っているかを意識しない人も一定数いるでしょう。実際にはグラム数や枚数が書かれていますが、これらがひっそりと変えられているケースも少なくありません。

また内容量自体は変わりないものの、1個あたりのサイズが小さくなっている場合もあります。明確に公表されていなければ、消費者がうざいと感じるのも無理はありません。

 

ステルス値上げは違法か

ステルス値上げがなされれば、消費者の立場からすると騙された気分になるでしょう。私自身も、あまり快くは思いません。ここでは、法律の立場から解説しましょう。

原則違法にならない

ステルス値上げは、原則として違法にはなりません。内容量の設定は、企業が自由に決められるためです。

計量法に則ってしっかりと内容量が決められており、表記に誤りがなければステルス値上げは違法にならないとされています。

仮にステルス値上げに腹を立て、訴訟を起こしたとしても裁判所は取り扱ってくれないでしょう。

誠実な姿勢は大事

法律上は問題なくとも、企業側はしっかりと消費者に対して内容量を減らした旨を公表した方が賢明です。企業が長く生き残るには、消費者との信頼関係が重視されます。

仮にステルス値上げをしても、しばらくの間は世間に気づかれないかもしれません。しかし長期にわたって購入している消費者からすれば、少なからず違和感を感じます。

むしろ長年応援しているファンは、ある程度の値上げも受け入れてくれるはずです。違法にはならないといえども、値上げを隠す行為は避けたほうが望ましいでしょう。

 

値上げをしたがる理由

令和5〜6年あたりの日本を見てみると、全体的に商品の値上げが続いています。消費者にとっては苦しくなるのに、なぜ企業は値上げをしたがるのでしょうか。その理由を詳しく解説します。

原材料費の高騰が続く

企業が値上げをしたがる理由は、原材料費の高騰が続いているためです。原材料費の価格は、天候不順や世界情勢がカギを握ります。

例えば「小麦」を見てみると、日本はアメリカやカナダから主に輸入しています。

アメリカは面積が大きいので州によっても違いがありますが、カリフォルニア州やフロリダ州は2022年に大規模な天候不順が起こりました。

天候不順が起これば、当然ながら原材料は満足に得られません。世界全体で気候変動が起こる中、原材料の不足が連鎖してしまうわけです。

また世界情勢により、輸出入が停止することも値上げを招く要素の一つです。問題となっている国と直接的に貿易していなくとも、世界全体で動きが止まっていれば間接的に影響が出ます。

この辺りは企業努力でどうにかなる部分でもなく、主に政治が重要なカギを握ります。

企業の人手不足が問題

企業がステルス値上げする理由として人手不足も挙げられます。

社員が少なくなれば、いずれ生産活動がストップするかもしれません。こうした事態に備えるべく、企業は賃上げしてまで人材を確保しようと努めます。

しかし人件費の増加は、想像以上に予算がかかってしまいます。人件費を確保しようと、生産コストをなるべく抑える企業も存在するでしょう。

このように何かを補おうとすれば、別の要素に制限がかかってしまうものです。ステルス値上げを防ぐには、企業の成長を後押しすることが求められます。

国民が値上げに厳しい

企業がステルス値上げをしたがるのは、国民が値上げを厳しく評価することも挙げられます。

実際には値上げをしたところで、商品を購入してくれる国民も少なくないはずです。しかし世間一般的には、値上げをすると経営上不利に働くように感じてしまいます。

なお値上げが続くことに「嫌だ」と感じる国民は、全体で70%弱いるそうです。

参照:値上げに関する意識・行動調査

日本人に限った話ではないと思いますが、国民の値上げに対する見方も少なからずステルス値上げを後押ししているのかもしれません。

フードロスへの捉え方

日本も徐々にSDGsの理念を重視し始めています。その中でも、時折話題に出されるのがフードロスです。

フードロスはまだ食べられる食品を捨ててしまうことで、日本でもよく問題視されています。今では環境問題に取り組むべく、食品の廃棄をなるべく減らそうと努めています。

ステルス値上げで商品の内容量を減らせば、自ずとフードロスを防ぐきっかけにもつながるでしょう。直接的な要因ではないにせよ、少なからず意識している企業もいるはずです。

 

ステルス値上げをなくすのは難しい

最後に、ステルス値上げをなくすのは難しいことを押さえましょう。なぜなら違法性のないステルス値上げは、企業にとって得するからです。

仕事の多様化や少子高齢化が進む中、どうしても企業の人手不足は加速してしまいます。しかし表立って値上げをしてしまったら、今後の経営にも負担がかかります。

このような障壁を乗り越える策として、ステルス値上げは極めて便利なのです。

顧客から「うざい」と思われても、購入する人がいる限りはさまざまな企業でステルス値上げが今後も行われるでしょう。