最近は「労働問題」がよく話題になるなぁ
少しずつ権利が重視されているね!
特に労働三権が大事なんだ!
じゃあ、公務員の労働三権はどうなっていると思う?
公務員って割と特殊な仕事よね…
どうなっているんだろう?
今回は公務員に労働三権が適用されるか見てみよう!
どーも、やまとのです!
今回は国民の権利であり、三代義務の1つでもある勤労の権利及び義務を見ていきましょう。
その中でも、労働三権と公務員の関係について解説します。
なお、生存権や教育を受ける権利については以下で紹介しています。
公務員試験の頻出度はまずまずですが、仕事する上でも重要になるので押さえた方はいいです。
特に、次の3点は何度も復習してください。
- 公務員と労働基本権
- 労働三権を理解する
- 労働基本権と裁判
公務員と労働三権の関係を理解し、勤労の権利の範囲は問題なく解けるようにするといいでしょう。
ユニオン・ショップやストライキといった、さまざまな制度との関係性も見ていきます。
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労働三権と公務員
我々、労働者が持つ重要な3つの権利を労働三権といいます。
労働三権は
- 団結権
- 団体交渉権
- 団体行動権
の3つが該当します。
- 団結権は労働組合等を結成できる権利
- 団体交渉権は賃金引上げなどを交渉できる権利
- 団体行動権はストライキを起こせる権利
以上のようにそれぞれの権利を覚えておくといいです。
これらは一般的な労働者には等しく認められますが、一部制限される職種もあります。
それが、国や自治体で仕事をする
公務員です。
公務員といってもさまざまな業種があり、保障される労働三権もそれに応じて異なるので気をつけなければなりません。
公務員の業種と認められる労働三権を表にまとめてみたので、とりあえずはこれをしっかりと押さえましょう。
ここに書かれている現業公務員と非現業公務員の違いについて説明すると、
- 現業公務員はごみ収集作業員のような非権力的業務
- 非現業公務員は一般事務職員のような市民生活に密着した権力的業務
を指します。
労働組合とは
労働組合は、労働者が団結権を行使する際の基本ともいえる存在です。
仕事では、以下のようなトラブルに巻き込まれる恐れもあります。
- パワハラやセクハラ問題
- 賃金不支給問題
- 退職させてくれない
- 理不尽な異動
会社側が権利を濫用すれば、
労働者の命にも関わるかもしれません。
労働組合は労働者の心身を守るために必要不可欠な存在なのです。
労働組合と公務員の関係
公務員においても
- 警察
- 自衛官
- 消防士等
を除いた職種では団結権が認められています。(非現業公務員は、労働組合法の適用を受けないものの団体を結成できる)
なお、労働組合に加入は任意であり、原則的には加入を強制されるものではありません。
県庁や市役所で勤務される方は、組合に加入するか否かを決めるため、入庁した段階で選びましょう。
ユニオン・ショップ協定
ただし、実際は日本において
ユニオン・ショップ協定という制度が存在します。
ユニオン・ショップ協定とは、入社した一定期間後に労働組合への加入を義務付ける制度です。
批判はありながらも、積極的に労働組合を団結させるのが望ましいという観点からこの制度は生まれました。
ただし、ユニオン・ショップ協定による労働組合への強制加入は、労働者の労働組合選択の自由や他の労働組合への加入を侵害しない範囲で許されていると考えられています。
三井美唄労組事件
さらに、労働組合からの除名処分(強制脱退)は司法の対象になることもあります。
三井美唄労組事件について紹介します。
北海道美唄市の市議会選挙で、労働組合から候補者が決まっていたにもかかわらず、ある人物(Xさん)が選挙に立候補しました。
この行為が原因でXさんは処分を受けますが、逆に「処分が公職選挙法に違反する!」と訴訟を起こします。
裁判は最高裁まで進み、結果的には労働組合側の処分が違法と結論が下りました。
ただし、最高裁は「立候補しないよう思い留ませることはセーフ」と判断しています。
勧告や説得の領域を超え、立候補を取り止めるよう要求し、さらに処分を下したのが違法とされた要因です。
三井美唄労組事件については、こちらの記事でより具体的に取り上げているため参照ください。
労働基本権と裁判
労働三権や勤労の権利を総称した概念が、労働基本権です。
憲法でいうと27条及び28条の定めをいいます。
ここでは、憲法の具体的な内容について解説しましょう。
裁判では直接適用説を採用
憲法は、他の法律を用いて国民に適用されるという間接適用説が基本的な考え方です。
しかし、憲法27条や28条の場合はその規定の性質上、国民においても直接適用できるという直接適用説が採用されています。
そのため、各々の具体的な権利侵害についても、裁判で争うことができると考えられているのです。
団体行動権(ストライキ)
最後に、ストライキの内容について解説します。裁判や公務員との関係をしっかりと押さえてください。
ストライキと裁判
労働三権の1つとして
ストライキを起こせる団体行動権を行使できると紹介しました。
ストライキは「こんな職場で仕事なんかしてやるか!」と職務を集団的に放棄する行動を指します。
ストライキをすると、会社は大きな損害を被ります。
では、このストライキがたとえ正当なものだったとしても、労働者らは刑事罰や民事上の責任を負わなければならないのでしょうか?
正解は『×』です。
憲法28条の解釈は、ストライキなどの争議行為で会社に危害が及んでも、それが正当である限りは刑事罰及び民事上の責任を負う必要はないとしています。
ただし、あくまで『正当である限り』ということは押さえておきましょう。
暇つぶしとか訳の分からない理由でストライキをすれば、多額の賠償金を払わないといけなくなる可能性もあります。
仕事について悩み、転職を考えている方もいると思います。
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公務員とストライキの関係
一方で、公務員の場合は団体行動権が一切認められていません。
つまり、ストライキは基本的に無効です。
このルールは、国家公務員法や地方公務員法に基づいて決められています。
公務員は、利益を求める団体ではなく、あくまで全体の奉仕者として仕事をしなければなりません。
ストライキで仕事が遅れたら、国の政策が回らなくなります。結果的に損をするのは国民です。
こうした理由により、全ての公務員でストライキが禁止されています。
まとめ
今回は、労働三権と公務員の関係について紹介しました。
公務員は、普通のサラリーマンとは立場が異なります。
そのため、労働三権の全てが認められているわけではありません。
上に挙げた、表の内容はしっかりと押さえましょう。最低限、下記の2点は必ず押さえなければなりません。
- 警察や消防士は労働三権が全て認められない
- 団体行動権はいずれの公務員も認められない
加えて、三井美唄労組事件などのような有名な判例も出題される可能性はあるため、いつもと同じように結論部分から先に覚えてください。
終わりに表をもう一度提示するので、しっかりと整理しましょう。
ご覧いただき、ありがとうございました!