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共有・合有・総有の違い|行政書士試験向けにわかりやすく解説

行政書士試験では、たびたび共有・合有・総有について出題されることがあります。しかし3つとも意味が似ており、どのように異なるかがわからない方もいるでしょう。

この記事では、行政書士試験に一発合格した筆者が、共有・合有・総有の違いをわかりやすく解説します。行政書士試験や宅建試験を受験される方は、ぜひ記事を参考にしてください。

 

共有・合有・総有

共有と合有、総有はいずれも特徴が似ています。これらを勉強する際には、まず以下の表を覚えるようにしてください。

行った場所 共有 合有 総有
例(財産)   相続財産   組合財産   権利能力なき社団
の所有する財産
持分権


潜在的な持分のみ
処分は認められない

分割請求

持分権や分割請求の意味も含め、どのような違いがあるのかをわかりやすくまとめます。

共有=相続財産

共有とは、複数人で1つの物を共に所有しているような状態です。皆さんも、日常生活で「この道具をみんなで共有しよう」と話し合ったことがあるかと思います。

民法では第249条に定められており、各共有者に持分が存在するのが特徴です。持分とは、共有者がそれぞれ所有物に対して発動できる権利を指します。

たとえば2人の子どもが相続で家をもらうような場合、持分権は2分の1ずつ得られます。持分の範囲であれば、自由に処分することも可能です。

また共有の場合は、分割請求も認められています。こちらは共有の状態を解消し、所有権をどちらか一方に決める請求のことです。

合有=組剤財産

 合有とは、一定の団体を作ったうえで目的物を共に所有している状態です。上の表では、組合で所有する財産を例に出しました。

合有の場合は、原則として持分権が認められていません。例外的に、潜在的な持分のみが保障されています。

潜在的な持分とは、組合を脱退した際に持分に応じた払戻請求権のことです。とはいえ、一般的には持分権を有していないため、処分はもちろんのこと分割請求も不可能とされています。

要するに財産は組合全体のものであると認識しておくと分かりやすいでしょう。

総有=権利能力なき社団

合有よりも、さらに組織で財産を持つといった側面が強いのが総有です。こちらは、権利能力なき社団の持つ財産が主に該当します。

総有の場合は、団体のルールがより強力になるため持分権はおろか、処分も分割請求も認められません。ちなみに、権利能力なき社団は法人格を持っておらず、以下の要件に該当する団体を指します。

  • 組織を備えている
  • 多数決の原則を採用
  • メンバーが変わっても団体が存続
  • 運営や財産管理の事柄が決まっている

こちらも民法の試験では問われやすいので、あわせて押さえてください。

 

共有の持分権と使用

共有者は、持分権に従って自由に使用することが認められています。ただし、個人特有の使用方法があるため、しばしば争いが起きるケースも少なくありません。ここでは、判例について取り上げてみましょう。

共有物の明渡し

明渡しとは、土地や建物から立ち退いて引き渡すように要求する行為です。共有については、こうした争いが一定数見られます。

たとえば、建物Aについて持分の価格が過半数を超えている人が、単独で占有している共有者に対して明渡し請求をしました。果たして、このような請求は認められるでしょうか。

正解は「✕」です。共有者は、全員が建物全体を使用できる権利を有するためです(持分には応じる)。持分権が少ないからといって、他の共有者を追い出す権利は認められません。

第三者が占有した場合

次に、共有者の一人が他の共有者と相談せずに、第三者へ使用を許したとしましょう。この場合、他の共有者は第三者に対して明渡し請求ができるでしょうか。

こちらも先程と同様、正解は「✕」です。使用権を与えられた第三者に対し、追い出すことは認められません。

それぞれの共有者が自分の持分の範囲であれば、どのように使用しようが勝手だからです。占有を認められた第三者も、その共有者と同等の権利を獲得できます

損害賠償請求権

共有者と関係ない第三者が、家を勝手に占有して売っ払ったとしましょう。この場合は、それぞれの共有者が損害賠償を請求できます。

しかし、損害賠償として認められる金額は自己の持分の範囲のみです。仮に建物の価格が5,000万円で持分が5分の1であれば、1,000万円分しか請求が認められません。

 

合有と総有の具体的な内容

合有と総有の内容について、異なる視点からも紹介します。組合と権利能力なき社団の性質の違いにも触れるので、しっかりと相違点を押さえてください。

組合と財産の権利

組合の場合は、潜在的な持分の請求のみ認められているのが特徴でした。財産を合有している組織ですが、権利の内容も細かく定められています。

たとえば組合自体が債務を抱えていた場合を想定しましょう。このとき、債務に対する責任は組合が合有的に負うものとします。一方で全組合員の責任と同じ意味を持ち、各個人が責任を負うべきだと考えられています。

基本的には個人ごとに割合が定められているものの、債権者が把握し切れない場合は全員に等しい割合で請求が可能です。

また、債権者が組合員個人に対する権利を有していた場合についても説明します。組合員個人への債権に関しては、組合財産全体の差し押さえができません

あくまで個人に対して権利を行使する必要があります。このように、組合では個人にも損失割合に応じた負担が強いられます。

権利能力なき社団の財産

権利能力なき社団では、個人の持分権を認めていません。個人が出資した財産も、団体が全面的に活用する体制が採られています。債務の関係についても、組合と権利能力なき社団とでは異なることを押さえてください。

同じように団体が債務を抱えていた場合、構成員(代表者も含む)は個人的な責任を負いません。権利能力なき社団が、全てを一切の責任を負うと考えられています。

なお、債権者は構成員の出資した財産も差し押さえできません

 

共有に関するまとめ

この記事では、共有・合有・総有についてそれぞれの意味と違いについて解説しました。共有の範囲は、所有権の分野では極めて問われやすい部分です。持分権と分割請求権について、認められているか否かを最初に区別してください。

加えて、合有と総有では持分権の内容や債務に関する取扱いが異なります。問題で出題されても、しっかりと解答できるようにしましょう。なお共有の分野については、筆者のYouTubeでも詳しく紹介しています。

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