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教育を受ける権利と普通教育を受けさせる義務の関係性

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どーも、やまとのです!

今回は、憲法26条に規定されている教育を受ける権利および普通教育を受けさせる義務の関係を解説します。

前条である憲法25条の生存権は以下の記事で紹介しています。

「教育を受ける権利」と「普通教育を受けさせる義務」も、我々の生活において欠かせない権利のひとつです。

公務員試験においては、重要な判例さえ押さえれば特に難しくありません。

公務員試験を受ける方、その他行政書士を受験される方はぜひ参考にしてください。

 

教育を受ける権利と義務

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この権利は憲法26条に保障されています。

憲法26条は2パターンの規定がありますが、

  • 第1項は国民は能力に応じて等しく普通教育を受けられる
  • 第2項は親には子どもに普通教育を受けさせる義務を持つ

と記されているので覚えてしまいしょう。

つまり、

  • 第1項は権利
  • 第2項は義務

ですね。

ここでは、憲法26条を深掘りして説明しましょう。

教育を受ける「権利」を持つ者

勘違いしやすい部分として、
教育の義務は子どもにあるわけではありません。

あくまで子どもは教育を受ける権利を持つだけに過ぎないのです。

ちなみに、教育を受ける権利は国民に等しく有します。

つまり、大人にも十分に保障されている条文です。

学齢期を過ぎても、高校や大学をもう一度経験する方も少なくありません。

保護者の教育にかかる義務

一方で、保護者は子どもに普通教育を受けさせる義務を持ちます。

この義務を破ると、刑罰の対象にもなり得るので気を付けましょう。

過去には、子どもをアイドルにしようと学校を休ませていた親に対して書類送検された事例もありました。

これが

  • 教育を受ける権利
  • 普通教育を受けさせる義務

の大雑把な内容です。

次は公務員試験対策という形で整理します。

 

 

教育を受ける権利の実践

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では、ここで「教育を受ける権利」の出題内容をまとめます。

この権利もさまざまな視点から、試験に出た過去があります。

決して頻出度が高いわけではないものの、複雑な内容ではないので自身の中でも整理してください。

明治憲法に規定はあったの?

結構勘違いしやすいのですが、
明治憲法には「教育を受ける権利に関する規定はありません」でした。

歴史が好きな人なら「森有礼が学校令を公布するなど教育に関する法律はあっただろ」と思うかもしれませんね。

しかし、あくまで憲法の範囲外で保障されていたにすぎません。

戦後に公布された日本国憲法で初めて教育を受ける権利が憲法上で保障され、教育に関するルールは法律によって整備するようになりました。

高校学習指導要領と法律

学校教育には学習指導要領というものがあります。

先生はこの要領に従って授業を進めなければなりません。

しかし、先生にも教育の自由はあります。

学習指導要領は法的な拘束力を持たないとする考え方は正しいでしょうか?

正解は『×』です。

国は教育の内容や方法を決める義務があります。

そのため、学習指導要領は法規としての性質を帯び、先生はその要領に従って授業を進めていくのが必須条件となります。

義務教育の無償

現在、義務教育は無償となっていますがこの範囲がどの程度にわたるかを最高裁で争われたことがありました。

そこで判例は「無償とは、授業料の不徴収である」と結論を出します。

つまり、教科書学用品に関しては最高裁の判断の中では無償にあたらないとしました。

ただし、教科書は現在法律において無償で配布されています。

判例と法律はきちんと分けてくださいね。

公務員試験は判例の内容を覚えるべきなので、教科書もとりあえずは無償にあたらないと頭に入れた方がいいでしょう。

加えて、授業料を法律で有償とするのは違反となります。

 

 

旭川学力テスト事件

憲法26条において超有名な判例ですね。

この事件が起こった背景には、「学テ」と言われた全国中学校一斉学力調査があります。

当該調査は現在行われている学力テストの前身です。

ただし、当時は学力調査について激しい反対運動が行われていました。

その反対派はとうとう旭川の学校に乗り込んで、学力調査を阻止しようと教師らに傷害を負わせてしまいます。

当然のごとく逮捕・起訴されて裁判に発展してしました。

この判例は長いので、以下の項目に分けて説明していきましょう。

  • 教育権は誰が持つか
  • 教師の教授の自由
  • 学習権の意義

 

教育権は誰が持つか

まず、子どもの教育についての決定権に関する問題を説明します。

より詳しく言えば、

  • 国家が教育権を持つのか
  • 国民(教師も含む)が教育権を持つのか

が問題視されました。

最高裁は次のように判旨します。

『問題に対する結論は、当然には導かれない。』

「何ともまあ漠然とした結論…」と思うかもしれませんが、学説的に考えると複雑みたいですね。

国家に教育権があるとも、国民に教育権があるとも明確には判旨しませんでした。

折衷説として
「どちらも(国家も国民も)教育権を持ちますよ」と結論づけました。

 

教師の教授の自由

最高裁が折衷説を採用したことで、教師にも「教授の自由」が認められました。

とはいえ、大学の教員のように
完全な教授の自由が認められているわけではありません。

この辺りは問われることが多いので間違えないよう注意が必要です。

学習権の意義

最後に子どもの学習権をまとめましょう。

子どもには学習権という権利があり、
これを大人に対して要求できるとされています。

つまり、国に対して教育を整備するよう求めることができるのです。

このように人間が人間らしくあるため、国へ保障するよう要求する権利は社会権といわれています。

つまり、教育を受ける権利
社会権の性格を持つ権利といえるんですね。

併せて、国に統制されることなく教育を受けられる自由権の性格も持ちます。

 

まとめ

以上より、本日は

教育を受ける権利
普通教育を受けさせる義務

について勉強していきました!

今日やった内容は専門科目も行う試験ではいつ問われてもいいといえるでしょう。

最後にまとめておきますので、最悪機械的に暗記しちゃってください。

  • 明治憲法には教育を受ける権利は保障されていなかった
  • 学習指導要領も法的性格を持つ
  • 義務教育の無償はあくまで授業料

【旭川学テ事件】

  • 教育権は国家も国民も持つ(折衷説)
  • 教師には完全な教授の自由はない
  • 子どもは学習権を大人に請求できる

ご覧いただきありがとうございました!