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不動産の物権変動では登記が重要!第三者との関係もマスターしよう

どーも、やまとのです。

前回から物権の内容に入りました。

物権法定主義の考え方から、法律によってさまざまな定めが設けられています。

今回は不動産の物権変動における「登記」の必要性について書いていきましょう。

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不動産の所有と登記

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不動産を所有する場合は、登記が必須です。

家や土地といった不動産は、スマホや財布のように持ち歩けるものではありません。

自分の物だと主張したい場合は、登記をして第三者に証明する必要があります。

仮に登記されていない場合は、その後の手続き次第では家や土地を失う危険性も生じるのです。

この辺りの基本的なルールは、公務員試験にかかわらず生活する上でも必要不可欠な知識となります。

では、ややこしい応用パターンを見ていきましょう。

 

登記が必要な物権変動

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ここで、さまざまな物権変動と登記の関係性について紹介します。

因みに、物権変動とは「権利者の変更」の手続きです。

売買や相続等で所有者が変わることは頻繁に起こるでしょう。

その際には、不動産上の手続きで登記が必要となる場合があります。

さらに、第三者が関わると所有権の在り方もややこしくなってしまいます

事例ごとにまとめていきましょう。

取り消しと登記の関係

不動産を売買する予定が、突然契約を取り消される場合もあるでしょう。そのとき、登記は下記のように取り扱われます。

まず、取り消しする前に第三者が現れたケースです。家の売買契約をしたものの、トラブルが発生して取りやめになりました。

しかし、物権変動の手続きの最中に買い手が第三者へ売っ払ったとします。

もし、この取り消しが強迫制限行為能力を理由とする場合は、売り手は登記せずに家を取り戻せます。

ただ、取り消した原因が「詐欺」によるものだと、登記をしなければ善意の第三者に対抗できません。(第三者が悪意なら登記は不要)

僕のブログを読んでいる方は、善意と悪意の違いも大丈夫かなと思いますが、初めての方のために参考記事を貼ってみますね!

次に取り消しした後に第三者が現れたケースです。

この場合は、「制限行為能力」や「強迫」を理由とした手続きであっても、暫く経ったのに何も対処しなかった売り手側にも落ち度があります。

そのため、登記をしなければ第三者に対抗できません。

解除と登記の関係

不動産の取引では、取り消しと似たような制度に解除があります。

これは、買い手がお金を支払えなくなった場合に売り手側が契約を破棄する仕組みです。

第三者との関係では、解除前も解除後も変わらず登記が必要とされています。

売り手と第三者、どちらが早く登記したかで所有者が決まると押さえましょう。

時効と登記の関係

続いて、取得時効との関係性も見ていきます。当該制度に関しては、下記の記事を参考にしてください。

取得時効は期間の経過によって、所有者が決まる制度でした。

物権変動においては、度々関わっていきます。

不動産を時効で取得した場合、基本的に登記は必要ありません

また、時効が完成する前に第三者が現れても、登記をしないで所有権の主張ができます。

期間の経過によって、第三者から受け継がれると理解されるためです。

しかし、時効の完成後に第三者が現れた場合は、登記が無ければ対抗できません

「時効が完成した後に、元々の所有者が家を売っ払ったケース」が該当しますね。

これもさまざまな例外があり、以下の場合であれば登記しなくてもOKです。

  • 第三者が背信的悪意者に該当
  • 第三者の登記後に再度時効取得

背信的悪意者は、「相手を騙そう」などと意図を持っている悪意者のことです。

相続と登記の関係

不動産の物権変動では、相続との関係も重要なポイントとなります。

相続が行われると、あらゆるシチュエーションが起こるため、それぞれを分けて考えていかなければなりません。

例えば、兄妹等と共有する場合は、自己の持ち分を登記なく対抗できます。

登記は第三者に対抗できるものの、この行為だけでは効力を発生させられません。

つまり、相続の効果が優先されるため、自分が取得できる財産部分は主張できるのです。

他にも、相続を放棄した場合も登記は不要とされています。

放棄の効力は絶対的なものです。登記よりも優先されるべき事項である点を押さえていきましょう。

遺産分割と遺贈の登記

一方で、不動産の遺産分割や遺贈に関しては登記が必要です。

双方の手続きは、しっかりと世間に対して証明をしなければなりません。

自己の持ち分の相続や放棄のような絶対的な制度では無いため、登記が無ければ第三者に対抗できなくなるのです。

相続のカテゴリーの中でも、シチュエーションによって結果が変わってくるので問題を解くときは注意しましょう。

 

 

中間省略登記とは?

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不動産の物権変動に第三者が絡むケースには、中間省略登記も無視することはできません。

例えば、「Aさん→Bさん→Cさん」の順番で家が売買されたとします。

売り渡される際には、当然ながら登記も求められます。

登記の基本的なルールも、「Aさん→Bさん→Cさん」の順を守らないといけません。

ただし、3人全員の同意があったら、AさんからCさんまでBさんを挟まずに省略して登記が可能です。

では、仮にBさんの同意が得られないまま登記を省略した場合、AさんやCさんは無効を主張できるのでしょうか?

正解は、物権変動に矛盾が無い場合は「✕」です。

中間省略登記の全員同意は、専らBさんの抗弁権が重視されています。

物権変動の手続きを踏まえても、何ら影響を受けないAさんやCさんが無効を主張することは望ましくありません。

引っ掛け問題で問われる可能性もあるため、確実に得点したいところですね。こちらの問題集でひたすら練習しましょう。

 

不動産の物権変動のまとめ

不動産の物権変動は、「登記」が大きな鍵を握ります。

第三者に権利を主張する際には絶対に欠かせません。

時効取得や取り消し、相続等とさまざまな形で物権変動は行われます。

最後にまとめておきますので、確実に押さえてください。

公務員試験では、非常に重要な範囲です。

「登記が必要な物権変動」

  • 取り消し後に第三者が登場
  • 詐欺が原因の取り消し前に現れた第三者との対抗(善意のみ)
  • 売買契約の解除
  • 時効の完成後の第三者との対抗
  • 遺産分割
  • 遺贈

 

「登記が不要な物権変動」

  • 制限行為能力と強迫が原因の取り消し前に現れた第三者
  • 時効取得
  • 時効の完成前の第三者との対抗
  • 相続における自己の持ち分
  • 相続の放棄

不動産の物権変動と登記に関する範囲は、複雑な問題が出題されるケースも少なくありません。

ただし、焦らずに基本を押さえて簡単な問題は解けるように準備しましょう。

  • 登記の意味を押さえる
  • 解除・時効・相続との関係を把握
  • 中間省略登記を押さえる