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どーも、やまとのです。前回は『失踪』について見ていきました。
今回勉強する内容は、心裡留保と虚偽表示の違いです。
本来、条文では失踪の次は以下のように続きます。
- 法人
- 物
ただし、これらは内容が濃いわけではありません。そのため、ブログでは『意思表示』の分野に進んでいきます。
ちなみに、勉強する際には次のテキストがおすすめです。
飛ばした範囲は追々アップするかもしれません。無事にアップできたらお知らせします。今回は心裡留保および虚偽表示の違いを中心に意思表示の分野を解説しましょう。
瑕疵のある意思表示
さて、みなさんは『瑕疵』の意味を押さえていますか。以前、私のブログでも紹介しました。
法律分野で使われるため、必ず押さえてください。
瑕疵と意思表示の定義
ここでも簡単に説明すると、瑕疵(かし)は「欠陥」と同じ意味です。相手と契約を結んだものの、要望や条件が満たされていない状態を指します。
意思表示は、以下のように法律の効果を発生させる表示行為です。
- コンビニで肉まんを注文した
- アパートを借りる契約を結んだ
このように、契約時で相手に内心を伝達する行動が表示行為に該当します。
意思表示の瑕疵の種類は5つ
意思表示をする人は、『表意者』と呼ばれます。
つまり、瑕疵のあるとは「表意者の行為に欠陥が見られる状態」を表しました。
瑕疵のある意思表示の種類は、大きく分けて5つです。
・心裡留保
・通謀虚偽表示
・錯誤
・詐欺
・強迫
の5つがあります。
公務員試験では全て勉強して抑えなければなりません。
心裡留保=『冗談』
心裡留保といきなり漢字が難しいですが、これは『しんりりゅうほ』と呼びます。
聞いたこともないような言葉であるものの、これは単純に『冗談』のことです。
例えば、何気ない会話の中で急に
「あの家をお前に売るわ〜」
と言われても、普通は
「冗談言ってんじゃねーよ!」
みたいにさらりと流されますよね?
それが
「え!?本当ですか?じゃあ、明日にでも必要書類を集めますね!」
と本気で準備を進めた場合、この取引は果たして有効となるのでしょうか?
正解は『◯』となります。
理由は、冗談を言った人を擁護する必要が無いからです。
しかし、取引が有効になるのは相手が
・冗談だと本気で知らなかった
・冗談と知ることもできなかった
時のみとされています。
上記の例では、家が別荘などに見えたら有効になるかもしれません。(あくまで想像です)
ただ、明らかに別の友人の家とかだったら嘘と分かりますよね?
それであれば取引が有効にならない可能性も高まります。
通謀虚偽表示は注意しよう
この範囲で最も難しいのが通謀虚偽表示かなと僕は思います。
少し説明が長くなるので、図解も用意しますね!
例えば、A郎くんは借金が積み重なって持ち家が近いうちに差し押さえられるとします。
しかし、A郎くんは住んでいる家を手放したくありません。
そこで、差し押さえから逃れるためにその家を表面上B太くんに売っているかのようにA郎くんは見せかけました。
あくまで表面上なのでやり取りは登記等の書面だけ。
実態は変わらずA郎くんが住み続けるという状態です。
この行為は犯罪にあたる可能性もあり、民法上でも無効とされています。
一方で、条件次第では
有効に働くこともあるのです。
第三者が関わるケース
A郎くんとB太くんは書面上だけのやり取りで、何とか執行官の目を欺こうとしました。
と思いきや、B太くんが裏切ってその不動産を事情の知らないC子さんに売り飛ばします。
A郎くんからすればビックリ仰天で、慌てて通謀虚偽表示だから手続きは無効だと主張しました。
果たして、B太くんとC子さんの契約は無効になるのでしょうか?
正解は『×』です。
第三者からすれば関係のない話で、
2人でそもそも悪さをしているのに
C子さんの権利まで奪う必要はありません。
ただ、これは善意であることが条件なので、通謀虚偽表示の事実を知っている第三者への契約は無効となります。
ここで、民法の善意と悪意を押さえましょう。
これはごく一般に使われるような『良い人』『悪い人』という意味ではなく、
・善意→事実を知らない
・悪意→事実を知っている
と分類されます。
悪意があってそれをさらに悪用する人は『背信的悪意者』といいます。
この辺りをスムーズに置き換えられるかどうかで民法の勉強の捗り方も変わるでしょう。
通謀虚偽表示に関してはもっと複雑なケースがあるのですが、それは応用編としてまとめていきます。
錯誤とは
次に、錯誤の内容について解説します。
錯誤の意味
錯誤という言葉も少し意味が捉えづらいかもしれませんが、『勘違い』と押さえておくと分かりやすいです。
例えば、「『こち亀の3巻』を購入しようと思ったら、店員さんに『2巻』を渡してた」という場合がこれに当たります。
錯誤には
・要素の錯誤
・動機の錯誤
の2種類があります。
要素の錯誤
要素の錯誤は、表意者の目的や取引の状態において重要性の高いものです。
もし、要素の錯誤があると認められれば法律行為を取り消すことができます。
先程の例に出てきた、こち亀の3巻と2巻では大きな違いがありますよね?
このケースでは重要性の高い錯誤といえるので、購入者は取り消しが可能です。
動機の錯誤
他方で、動機の錯誤とは表意者が意思表示した動機が事実と違っていた状態を指します。
分かりづらいので具体例を出すと
「テーマパークができると聞いてその地域の家を購入したら、その噂は間違いだった。」というケースが該当します。
表意者の認識とのズレは
「テーマパークができるという噂」にあり、
家そのものの認識が間違っていたわけではありません。
この錯誤が取り消せるかどうかというところですが、原則は取り消しが不可能とされています。
ただし、動機の錯誤が発端でも、
後に要素の錯誤になり得る場合は取り消しできることもあります。
その辺りは引っかけ問題として出されるかもしれないので気をつけてください!
錯誤のその他の注意点
次に錯誤の範囲で問われやすい箇所をまとめていきます!
まず、いくら錯誤があったとしても
『表意者の重大な過失』によるものだった場合は取り消しできません。
普通なら間違いなく気付くのに、
「著しく注意力が散漫だった場合」が該当します。
その他にも、錯誤の取り消しは表意者にしかできないことも気をつけましょう。
あくまで本人の勘違いを守る規定なので、第三者が錯誤による取り消しをするのはできないです。(ただし、本人の意思を受け継ぐ『代理人』や『承継人』であれば別。)
また、錯誤の取り消しは善意無過失の第三者に対抗することはできません。
上記でも書きましたが、
『善意』は事情を知らない状態です。
『無過失』は過失のない状態、
つまり『注意していれば知り得た状態』ではないことが条件となります。
この要件は通謀虚偽表示の場合と若干異なるので区別して覚えましょう!
詐欺と強迫の区別
最後に詐欺と強迫をまとめていきます。
詐欺は皆さんもお分かりの通り、
相手を騙す行為です。
強迫は相手に何かするよう迫ることですね。
ちなみに、脅迫と強迫は
全くの別物なので押さえてくださいね。
脅迫は相手の生命や身体に害を与えるぞと脅す行為です。
強迫は無理矢理要求することなので、刑法的には強要罪に近い意味合いになります。
詐欺または強迫に遭って意思表示をしてしまった場合は、それを取り消すことができます。
ただ、ここで気をつけなければならないのが第三者が現れた場合です。
・詐欺と第三者との関係
ここでは、例を出しながら紹介しましょう!
(例)
B太くんがA郎くんに
「腕時計が壊れているなら修理してあげるよ」と言いました。
A郎くんは何て心優しいのだろうと腕時計を渡しますが、B太くんは何とその時計をC子さんの誕生日に自分のものだとプレゼントします。
ちなみに、C子さんはこの腕時計がA郎くんの所有物であることを知りません。
この時、A郎くんはC子さんから腕時計を返してもらえるのでしょうか?
元々、A郎くんの物だから返して貰えるんじゃないの?
ラビーくんは返してもらえると思ったようですが、実はこの場合C子さんに腕時計を返す義務は働きません。
詐欺の取り消しは、
『善意無過失の第三者』
に対抗できないとされています。
なぜなら、騙されたA郎くんにも問題があるからです。
せめて一緒にいる時に修理をお願いするとか方法はいくらでもありますからね。
・強迫と第三者
では、この場合はどうでしょうか?
(例)
A郎くんはB太くんから
「C子にお前の腕時計をプレゼントするからよこせよ!」と強引に腕時計を渡すよう迫ります。
A郎くんは怖くて腕時計を渡してしまいました。
B太くんは何食わぬ顔でC子さんに
「ハッピーバースデー、C子」
とその腕時計をプレゼントします。
C子さんは事実を知りません。
詐欺のケースで納得行かなかった方はここも悩むところでしょう。
ただし、ここからが詐欺と違う部分です。
強迫の場合は、例え第三者が善意無過失だったとしても対抗できるようになっています。
その理由は、詐欺と違ってA郎くんに何の非の打ち所がないからです。
この両者の違いは、公務員試験でも問われやすいので十分気をつけてください!
まとめ
今回は民法の中でも超重要な範囲である
『意思表示』をまとめてみました!
とりあえず
・心裡留保
・通謀虚偽表示
・錯誤
・詐欺
・強迫
の5つの種類があることは頭に入れておいてください!
そして、これらは全て第三者との関わり方が試験問題に出題されやすいです!
試験対策用に問題集でたっぷり練習してください!
本腰を入れて勉強していきましょう!
ご覧いただき、
ありがとうございました!