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抵当権と物上代位権の関係性|効力が及ぶ範囲についても解説

公務員試験の民法において、難関となる範囲のひとつが抵当権でしょう。特に物上代位の関係や法定地上権の扱いは、初めて習ったときに苦戦したのを今でも覚えています。

この記事では、抵当権や物上代位権の関係性を中心に解説します。公務員試験の民法で苦戦されている人は、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

 

抵当権の効力が及ぶ範囲

抵当権とは、目的物を債務者(抵当権設定者)に占有させつつも、債権者が優先的に弁済を受けられる権利のことです。

主な例として住宅ローンの設定が挙げられます。抵当権の効力は、土地や建物以外にもさまざまな範囲に及ぶのが特徴です。

地上権と永小作権

抵当権は、地上権や永小作権に対しても設定できます。

地上権とは、他人の土地で工作物や竹林を使用するための権利のことです。一方で永小作権は、小作料を支払って他人の土地で耕作・牧畜する権利を指します。

例えば建物を所有したい人が結んだ地上権に対し、抵当権を設定するケースがあります。仮に弁済できない場合、その権利を抵当権者が競売にかけられるわけです。

地上権は、権利そのものを第三者に売却できます。所有権の7割程度の価格で売却できるケースもあります。

賃貸借契約で土地を借りている場合は、借地権に対して抵当権を設定できません。しかし借りた土地の上に自らが所有する建物(借地人の所有物)を建て、それに抵当権が設定されたら効力は土地にも及びます。

イメージがわきにくいですが、地上権も抵当権を設定する価値の高い要素であることを覚えておいてください。地上権と永小作権の内容は、以下の記事でも触れているので参考にするといいでしょう。

付加一体物にも及ぶ

抵当権が行使されると、付加一体物にも効力が及ぶのも特徴です。付加一体物とは、目的となる不動産と一体になっているもの全てを指します。

主な例として挙げられるのが、石垣や立木です。これらは抵当権が設定された後に一体となった場合でも、抵当権の効力が及ぶとされています。

また抵当権が設定されたときに存在する従物も対象となります。従物の具体例が、石灯籠や庭石です。抵当権の対象がガソリンスタンドであれば、店が所有する地下タンクや洗車機にも効力が及びます。

ただし抵当権の目的が土地の場合、その上に建っている建物は特約を結んでも効力が及びません。構造的に土地と建物の双方を売っ払うしかありませんが、あくまで土地にかかった費用のみが弁済の対象となります。

抵当権と利息の関係

抵当権者は、利息やその他定期金に関しても行使が可能です。しかし民法で制限が設けられており、満期となった最後の2年分のみとされています。制限がないと、利息があまりにも膨れ上がる危険があるためです。

一方で根抵当権になると、利息は最後の2年分に限定されません。元本が確定するか否かにも左右されない点が特徴です。

根抵当権については、抵当権の記事を執筆した後にまとめようと思います。

 

 

物上代位権とは

物上代位権とは、目的物が消滅した際に発生する金銭に対して行使できる権利を指します。

例えば、抵当権を設定していた家が火事で消失したとしましょう。そのとき抵当権者は、代わりに火災保険金を請求できる権利が得られ自己の弁済に充当できます。

物上代位権を行使する際には、必ず差し押さえをしなければなりません

仮に目的債権が譲渡され、第三者への対抗要件が備えられても自ら差し押さえすることが認められています。

なお物上代位は、先取特権の範囲で出てくる規定です。抵当権では、その規定を準用する形で物上代位について定めています。

物上代位性が認められる物権は、以下の記事でも詳しくまとめているので参考にしてみてください。

物上代位の対象となる債権

物上代位の対象となるものとして、以下の要素が挙げられます。

  • 買戻費用(買戻代金請求権)
  • 目的物の賃貸による賃料債権
  • 不法行為による損害賠償請求権

正直、この辺りは暗記の要領で覚えてしまった方が楽です。物上代位の対象となるものでは覚えづらいかもしれませんが、対象外となるものが1つしかありません。

そのため、次の見出しに出てくる内容を優先的に覚えるのをおすすめします。

物上代位の対象外

物上代位の対象外となる債権は、転貸料債権です。公務員試験レベルはおろか、行政書士レベルでもこの内容さえ押さえてしまえば基本的には問題ありません。

転貸とは、賃貸した目的物を又貸しする状態です。

AがBに建物を貸しており、BがさらにC(第三者)へ貸した場合を想定してください。仮にBがAに対し、賃借料を全然払っていなかったとしましょう。

この場合、Aは転借しているCに対して転貸料を請求できます。ただし最高裁判例では、転貸料債権について物上代位を認めませんでした

Bが所有者とほぼ同義と認められるのであれば、例外的に物上代位の対象になるともされています。

とりあえず公務員試験で転貸料の話が出てきたら、債務者が所有者と同一視されない限りは、物上代位を原則認めない点を思い出せるようにしましょう。

 

抵当権と物上代位のまとめ

今回の記事では、抵当権と物上代位の関係性を中心に解説しました。抵当権は基本的なルールとして、効力の及ぶ範囲をしっかりと覚えてください。

特に、付加一体物の定義や利息の範囲は細かすぎると思うかもしれません。しかしこの内容も覚えておくと、公務員試験で選択肢を一気に削りやすくなります。

物上代位は、言葉の意味を押さえつつ対象外となる債権を優先的に覚えましょう。債務者を所有者と同一視しない転貸料債権のみが対象外、そのほかは対象と認識しても問題はありません。

物上代位は抵当権以外の担保物権にも絡んでくる内容です。留置権以外には認められたことも併せて押さえておくといいでしょう。