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先取特権をわかりやすく解説!共益の費用とは何を意味しているか

先取特権も、公務員試験で出題されるケースの多い分野です。ルールが極めて独特であるため、重要なポイントを優先して押さえる必要があります。

この記事では、共益の費用を中心に先取特権の制度をわかりやすく解説します。この内容を読んで、公務員試験の問題をしっかりと解けるようにしてください。

 

先取特権とは

先取特権の制度の内容を示している図

先取特権とは、他の債権者に優先して弁済を受けられる権利のことです。先取特権は、何を目的にするかで大きく3つの種類に分かれます。

  • 一般先取特権
  • 動産先取特権
  • 不動産先取特権

民法では、この3つの種類の中でどれが優先的に弁済を受けられるかが記されています。ざっくりではありますが、順番を問うケースもあるのでしっかりと押さえてください。

 

 

先取特権の種類と順位

一般先取特権・動産先取特権・不動産先取特権に含まれている債権の内容を取り上げます。そのうえで、優先的に弁済を受けられる順番も解説しましょう。

まずは、ざっくりと順番を表で示します。

この表を参考にしつつ、それぞれの種類の内容をチェックしてみてください。

  目的物が動産 目的物が不動産
第1順位 (共益の費用が優先)
動産の質権
不動産の賃貸借
旅館の宿泊
運輸
(共益の費用が優先)
不動産の保存
第2順位 動産の保存 不動産の工事
第3順位 動産の売買
種苗・肥料の供給
農業・工業の労務
不動産の売買
不動産質権
不動産抵当権
一般先取特権
第4順位 一般先取特権 未登記の一般先取特権

一般先取特権

一般先取特権に含まれる債権の内容は、大きく分けて4種類あります。

  • 共益の費用
  • 雇用関係
  • 葬式の費用
  • 日用品の供給

これらは全て民法の第306条に定められているものです。

この中で最も馴染みのない言葉が共益の費用だと思います。共益の費用については少し詳しく説明したいので、後半でまとめるようにします。

一般の先取特権は、債権額が全体的に少額であるのが特徴です。したがって順位も基本的には下位に来ます。

目的物が不動産の場合、登記すれば不動産売買先取特権と同順位となります。

ただし共益の費用については、例外的に全ての先取特権よりも優先されるのが特徴です。したがって動産先取特権や不動産先取特権より順位が高くなります。

動産先取特権

動産先取特権の種類として挙げられるのは全部で8つです。

  • 不動産の賃貸借(第1順位)
  • 旅館の宿泊(第1順位)
  • 旅客または荷物の運輸(第1順位)
  • 動産の保存(第2順位)
  • 動産の売買(第3順位)
  • 種苗または肥料の供給(第3順位)
  • 農業の労務(第3順位)
  • 工業の労務(第3順位)

これらの先取特権の中で、最も優先順位の高いのが不動産賃貸・旅館の宿泊・運輸の3つです。

その次に動産の保存が優先され、あとは全て同じ順位となります。

不動産の賃貸借で敷金を受け取っている際には、敷金で弁済を受けない債権の部分のみに先取特権を有します。言い換えれば敷金でカバーできる分は対象外です。

さらに複数の債権者が動産を保存するケースもあるでしょう。この場合は先ではなく「後の」保存者が優先される決まりとなっています。

不動産先取特権

不動産先取特権では、以下のような種類があります。

  • 不動産の保存(第1順位)
  • 不動産の工事(第2順位)
  • 不動産の売買(第3順位)

不動産先取特権を争うには、必ず登記が必要です。

とはいえ民法のルールを見てみると、登記に関しては極めて厳格となっています。そのため現実では、あまり活用されていないのも特徴のひとつです。

不動産の保存であれば、保存したあと直ちに登記を済ませなければなりません。

不動産工事では、工事によって不動産の価格が増加し、なおかつ現存している場合のみに認められます。

 

先取特権の効力

次に先取特権の効力を見てみましょう。特に押さえたい重要なポイントを紹介するので、しっかりと目を通してください。

第三取得者に目的物を譲渡

動産の目的物を第三取得者に譲渡した場合は、先取特権が行使できなくなります。仮にこのルールを反するような特約があり、第三取得者が特約を知っていて(悪意)譲り受けても先取特権は使えません。

こうした特徴もあり、第三取得者の善意や悪意は問わないとされています。また引渡しは、実際に目的物が移動しない占有改定も含まれるので注意が必要です。

占有改定の説明は、以下の記事でもしています。覚えていない人はぜひ参考にしてみてください。

一般先取特権の効力

一般先取特権を取得した人は、まず不動産以外の財産から弁済を受けると民法でルールが定められています。そのうえで不足がないのであれば、不動産から弁済を受けることはできません。

先程も説明しましたが、建物や土地といった不動産は高額であるケースが多いです。したがって、なるべく不動産が競売の対象にならないように設定されています。

また一般先取特権者の場合、目的物が不動産であれば特別担保の目的となっていないものから弁済を受けます。

なお特別担保とは特定の目的物に、質権や抵当権が設定された状態のことです。質権者や抵当権者を優先的に保護するのを理由に、これらの担保が設定されていないものから弁済を受けるように記されています。

不動産保存と不動産工事

不動産保存および不動産工事の先取特権を有している場合、ルールに則って登記すれば質権者や抵当権者よりも優先されるのが特徴です。

不動産の保存については、上述のとおり保存行為が完了したらすぐに登記をしなくてはなりません。

一方で不動産工事の場合は、工事を始める前に予算額を登記する必要があります。仮に実際の費用が予算額を上回ると、超過した分は先取特権の効果が発動しません。

こちらも先程説明しましたが、先取特権が認められるのは工事によって不動産の価値の増加が現存している場合のみです。どれほど価値が増加しているかは、裁判所が選任した鑑定人が評価するものとします。

 

 

共益の費用とは

最後に一般先取特権者が有する共益の費用を説明しましょう。

共益の費用とは、ある債権者が他の債権者と共同の利益を得るために支出した費用となります。主な例として挙げられるのが強制執行にかかる費用です。

強制執行をするには、申立費用や郵便切手を支払わなくてはいけません。これらの金額を合わせると、約1万円弱はかかります。

対象物が不動産になると、約10万円程度かかる予納金も必要です。他の債権者の利益を得るためにも、共益の費用は動産先取特権や不動産先取特権よりも優先されます

 

先取特権は条文が重要

先取特権は馴染みもあまりなく、イメージしながら勉強するのが難しいかと思います。ただし過去問を見てみると、これまで出題された問題は条文の内容がほとんどです。

抵当権のように多くの判例知識を覚える必要はなく、問題自体は比較的単純なものになっています。勉強さえしてしまえば、難易度はそこまで高くありません。

先取特権は、一般先取特権・動産先取特権・不動産先取特権に規定されている種類を押さえることが先決です。

その中でどの順番で優先されるかを押さえつつ、例外もきちんと覚えるようにしましょう。過去問ベースで解き進めることが、先取特権の問題に対処するコツです。