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情報の非対称性とは?具体例も合わせて内容を押さえよう

ミクロ経済学を勉強する際には、頭の中で日常生活に置き換えることが重要です。イメージしやすい内容のひとつに情報の非対称性があります。特に押さえたい種類が、レモンの原理やモラルハザードです。

ここでは、情報の非対称性について具体例も合わせて解説します。それぞれの用語の意味を押さえ、どの状況で問題が生じやすいかも押さえてください。

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情報の非対称性とは

情報の非対称性は、主に情報格差とほとんど同義です。例えば、市場には大きく分けて売り手や買い手と2種類の主体が存在します。

基本的に商品の情報は、売り手の方が豊富に持っています。この現象自体は特に珍しくないものの、情報格差は市場の失敗を招く要因のひとつです。

パレート最適(最適な資源配分)が実現されるには、情報の非対象性をなるべく改善する必要があります。パレート最適の意味については、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

 

情報の非対称性と具体例

情報の非対称性として、まずは2種類の現象を紹介します。

  • レモンの原理(逆選択)
  • モラルハザード

ミクロ経済学においては、どちらも有名な内容です。主にどのような内容なのか、具体例も用いながら説明します。

レモンの原理(逆選択)

レモンの原理(逆選択)とは、情報格差が生じているために粗悪品を購入してしまう現象を指します。よく具体例に挙げられるのが中古車の購入です。

アメリカは、粗悪品のことを「lemon」と表現します。果物のlemonと同じつづりです。レモンの皮が厚くて、外見では中身が見えない様子を由来としています。

例えば、本来の価値が10万円に満たない車があったとしましょう。中古車市場では、10万円に満たない車でも20〜30万円で売られているケースがあります。

買い手からすれば、無駄なお金を支払っている状態です。経済学の言葉を使うと、価格メカニズムが正常に機能していないのを示しています。

買い手が無駄なお金を支払っている以上、当該中古車市場ではパレート最適が実現されていません。結果として、市場の失敗が生じてしまいます。

モラルハザード

モラルハザード(道徳的危険)は、事故の防止に備えた対策が逆に注意を疎かにする現象です。主な具体例として、自動車保険が挙げられます。

自動車保険に加入すれば、たとえ事故を起こしても保険会社が弁償してくれます。ドライバーの生活を守る上では欠かせない制度です。

ただし、自動車保険に加入したことが、かえってドライバーの不注意を招く恐れもあります。結果的に、事故を起こすリスクが上がるのがモラルハザードの一種です。

他にも、医療保険の加入によって何かあるとすぐに病院へかかる現象も具体例として挙げられます。

 

情報の非対称性の解消法

情報の非対称性が横行していると、市場の秩序が乱れてしまいます。そのため、さまざまな解消方法が考案されています。

ここでは、主な解消方法について紹介しましょう。

シグナリング

シグナリングとは、情報を持つ側が情報を持たない側に商品の情報を公開することです。シグナルは「信号を送る行動」を指し、ブランド戦略の一環とされています。

インターネットでも、売り手側が買い手側に情報を届けるケースは少なくありません。商品の強みをコンテンツとして配信すれば、買い手は情報を念頭に置いたうえで購入するかを決められます。

結果的に情報格差を解消でき、市場の失敗をある程度は防げるでしょう。複雑な知識を要する投資の世界でも、頻繁に使われる手法です。

ただし、シグナリングは企業だけが発信するわけではありません。例えば、採用される従業員が学歴などの情報を公開するのもシグナリングの一種です。

スクリーニング

情報の非対称性をなくすには、情報を持たない側が情報を提供するよう求めることも重要です。このような行為は、一般的にスクリーニングと呼ばれています。

スクリーニングの主な例が、スーパーでの試食です。皆さんの中にも、お肉コーナーで焼肉やウィンナーを試食した経験のある方はいるでしょう。試食も、買い手側がどの程度美味しいかを探る行為です。

また、売り手と買い手の立場ではありませんが、採用面接も求職者から情報を提供してもらうスクリーニングです。

保険会社も同じような行動を取ります。見ず知らずの人が契約するため、保険会社も契約者の素性を確かめなければなりません。

そこで、スクリーニングとして2つの契約形態を提案します。A案は保障が大きくて掛金も高いもの、B案がそこまで大きな保障はないものの掛金が低いものです。

事故を全く起こさない人であれば、基本的に掛金の低いB案を選びます。わざわざ負担を大きくしてまで、経験のない事故の心配をする必要はないためです。

このような方法で、保険会社も相手の運転のスキルや性格を分析しています。

自己負担金の設定

自己負担金の設定は、主にモラルハザードを改善するための方法です。保険の存在が事故のリスクを高めやすい点を考慮し、契約者側にも一定の負担額を支払わせます

例えば、車両保険で自動車修理の免責額を10万円に設定したとしましょう。実際に事故が起きた際に、80万円の修理費用がかかったと仮定します。

この場合、免責額として設定した10万円は自身で支払わないといけません。一方で、残りの70万円は保険会社が代わりに払ってくれます。自己負担が一切ないよりは、自動車運転にかかる緊張感も増すはずです。

なお、自己負担金の設定と似た方法として保険金の減額もあります。2度目以降に事故を起こした場合は、1回目よりも保険金を少なくする方法です。

何度も事故を起こす反省しない人に対し、保険会社が徐々に大きな負担をかけます。こちらもモラルハザードを克服するうえでは欠かせない考え方です。

今回は、保険について多く取り上げています。保険の内容は、初心者では完全に理解するのは極めて困難です。しっかりとプロに相談しましょう

 

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まとめ

この記事では、情報の非対称性について具体例を用いながら解説しました。主に覚えてほしい内容は、以下の2点です。

  • レモンの原理
  • モラルハザード

さらに、情報の非対称性を解消する手段として次の内容も覚えてください。

  • シグナリング
  • スクリーニング

これらの内容はイメージしやすいため、実際の試験でも正解しやすいポイントです。落ち着いて問題文を読めば、勉強した方なら答えられます。

しかし、情報の非対称性は終盤に習う範囲であり、勉強が追いつかなくなる方もいるかもしれません。ミクロ経済学に限った話ではありませんが、なるべく早く1周目を終わらせて簡単なところからマスターするのをおすすめします。