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賦課方式と積立方式の違いとは?社会保障の予算が高い理由

社会保障を勉強するうえで、必ず押さえておきたいポイントが賦課方式と積立方式の違いです。日本は世界と比べて税金はさほど高くないものの、保険料の額は大きいといえます。

日本の財政に目を向けても、社会保障費に多くの予算をかけているのが特徴です。

この記事では、賦課方式と積立方式の仕組みを解説するとともに、なぜ日本は社会保障費が高いのかを説明しましょう。

 

賦課方式と積立方式の違い

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公的年金を納める制度には、大きく分けて2つあります。

  • 積立方式
  • 賦課方式

それぞれの制度の違いを押さえつつ、日本にはどのような方法がふさわしいかを国民全員で考えることが大切です。

積立方式の仕組み

積立方式とは、自分で納めた金額をそのまま将来の老後に引き出す方法を指します。この方法は、いわば自己責任の制度です。

納めた金額が大きければ、その分大きな額を年金として受け取ることもできます。自分の分を納めているにすぎないので、人口変動に左右されない点が強みです。

しかし、インフレーション時に不利になるという弱点もあります。今のお金の価値が将来も全く同じとは限りません。

100万円分納めても、遠い将来には50万円分の価値にしかなっていないことも国によってはあるでしょう。

今のところ、日本の通貨は世界中で見ても大きな信用を得ています。何の理由もなしに、貨幣価値が突然下がる可能性は著しく低いといえます。

とはいえ、大きな戦乱によって国が壊滅状態になったら話は別です。このあたりも踏まえ、保険は基本的にギャンブルとなるので何が正解かは断言できません。

賦課方式の仕組み

賦課方式とは、若者が納めた年金を現在の老人に充てる制度です。

納めたお金は、そのままの現代の老人を助ける費用となります。何十年先の自分に充てるわけではないため、インフレーションの影響を受けない点がメリットです。

ただ、積立方式とは反対に人口変動にはとことん弱いというデメリットもあります。老人の割合が多く、若者が少ない高齢社会では若者の負担はかなり大きくなります。

そのうち年金を納めることが難しくなり、今の若者の老後は殆ど貰えなくなるという現実も考えられます。

年金には公的年金のほかにも、民間企業が提供している種類(生命保険)もあります。

ただし生命保険はよく考えて加入しないと、自らの可処分所得を必要以上に減らしてしまうので注意が必要です。

この内容が詳しくまとめられている本を紹介するので、気になる人は購入してみてください。

 

日本は修正積立方式

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日本の場合は、修正積立方式を採用しています。こちらの方法の特徴は、賦課方式と積立方式の良い点を合わせていることです。

とはいえ、その実態はほとんど賦課方式に近い内容となっています。

現在の若者が納めている年金は、高齢者の方に使われています。

以前、麻生太郎が2,000万円の貯金がないと老後は厳しくなりそうと口にし、炎上したこともありました。ただし、この失言はある意味国会の本音なのかもしれません。

国民年金は16,520円払わなければなりません。令和4年度よりは減額しましたが、それよりも前の時代と比べたら相変わらず高いままです。

私たちの可処分所得が低いのも、税金もそうですが保険料が大きな要因となっています。

年金のシステム自体が崩壊するのは、現実的にはあまり考えられないといえます。しかし、改良を重ねていかねければ国民の負担はますます増えるばかりです。

 

 

社会保障費が高い理由

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では、一体なぜ日本の社会保障費は高く設定されているのでしょうか?

その原因については、以下の2つの観点から説明できます。

  • 国民皆保険
  • 少子高齢化

基本的な部分にはなりますが、日本の公的年金の仕組みについて概要をしっかりと押さえてください。

国民皆保険について

まず、日本の場合は必ず保険に入らなければなりません。

日本は国民皆保険制度を採っており、病院にかかった際には本来の診療費の3割に支払いを抑えることができます。

この医療保険の財源となっているのは国民健康保険料です。ただし、国民健康保険料は世帯所得で納付する金額が変動します。

いっぱい稼ぐ世帯は、より多くの保険料を払わなければなりません。このような世帯に限って、なかなか病院に通うような状態ではないケースもあります。

もしもに備えて納付しても良いですが、ちょっと勿体ない気もしますよね。

おまけに保険適用外の治療も少なくないので、病院にかかるときは気をつけてください。

少子高齢化が著しい

国民皆保険だけでは、社会保障費が高い理由を説明できません。特に大きな要因となっているのが、少子高齢化が著しいことです。

少子高齢化は文字通り、子どもの数が少なくなる一方で、平均寿命の増加により老人の数が増える現象を指します。

上述したとおり、日本の保険は事実上賦課方式の制度を採用しています。つまり少子高齢化が進むほど、保険料の金額も上げなければなりません。

金額を底上げしなければ、数が増えていく老人を支えきれないためです。

正直な話、少子高齢化の進行を遅らせることは可能でも、完全にストップさせるのはできないでしょう。

別の方法を編み出すなどと、国には早めの改革が求められます。

保険の内容に詳しくなるには、自分で資格を取る方法も有効です。社労士試験でおすすめしたいテキストも紹介しましょう。

 

年金の支払いに備えよう

今回の記事では、賦課方式と積立方式の違いについて解説しました。日本は修正積立方式を採っていますが、実態は賦課方式の近いのが特徴です。

そのため少子高齢化が続いている日本では、今後も社会保障費の金額は上がることが予想されます。可処分所得は、ますます減っていくかもしれません。

そこで、私たちは自分で稼ぐための手段をいくつか持っておくことが重要です。以前、お金を稼ぐための方法について別の記事でもまとめました。

以下の記事も参考にしつつ、自分自身で年金の支払いに備えるようにしてください。