公務員試験のミクロ経済学では、需要の価格弾力性の勉強が欠かせません。
公式をしっかりと押さえ、計算問題を解けるよう準備する必要があります。
ここでは、需要の価格弾力性の公式と計算問題について解説します。
しっかりと勉強し、試験でもスラスラと解答できるようにしてください。
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需要の価格弾力性とは?
そもそも、需要の価格弾力性という言葉自体が聞き慣れないかと思います。
簡単に説明すれば、価格が上下したときに需要量はどの程度変化するかを指し示す数値です。
例えば、バッグが3,000円から4,000円に値上げしたとします。大半の人が違うバッグを選ぶか、購入自体を避けるはずです。
しかし、お米が3,000円から4,000円に値上げしたらどうでしょうか?
お米はバッグとは異なり、生活においては欠かせません。多少値上がりしても、仕方ないからと構わず買う人も多いでしょう。
このように、同じ値段分増加しても商品によってニーズは大きく変化します。
こうした現象を経済学の公式で示したものが、需要の価格弾力性です。
需要の価格弾力性の公式
続いて、需要の価格弾力性の公式を確認します。はじめは慣れないと思いますが、マスターしてしまえば簡単です。
機械的にスラスラと解答できるようになります。
公式を押さえる上で、特に注意したいポイントが以下の2つです。
- +と−の符号に注意
- 分母と分子の配置に注意
- 公式は主に2つある
では、それぞれの意味も踏まえて説明しましょう。
オーソドックスな公式
まずは、公式の中でもオーソドックスなタイプを紹介します。
こちらは、需要量と価格の変化をそのまま分数に当てはめる形です。以下の画像をご覧ください。
左側の分数は、主に需要量と価格の変化量を示します。分子に需要量(x)、分母に価格(p)が来るため配置に注意しましょう。
ここで、左側は必ず「−」を掛け算すると覚えてください。なぜなら、需要曲線は負の関数になるのが基本だからです。
反対に、右側は元々の需要量と価格です。
ただし、左側とはそれぞれ分子と分母が反対の配置となります。
公式を間違えるだけで正答できなくなるため気をつけてください。
需要関数を使った公式
他にも、需要関数を使った公式があります。とはいえ、考え方自体はオーソドックスな公式と同じです。
先程の需要の価格弾力性を求める式では、左側が需要量の変化を価格の変化で割り算しました。
このときに使っている計算方法は「微分」です。
微分は、関数でいえばある地点での「変化の割合」を示しています。
オーソドックスな公式では、左側が「△D/△P」でした。つまり、1次関数に直すとD=aP+bの変化の割合を指します。
そこで、この式をPであらかじめ微分する方法が需要関数を使った公式です。
わざわざDとPを求める手間も省け、数式も簡単にした形で問題を解けます。
時間との勝負になる公務員試験では、ぜひ覚えておきたいコツです。
- 需要の価格弾力性の公式は2つ
- 問題に合わせて使い分けると良い
- 「−」の掛け算し忘れに注意
計算問題に挑戦しよう
では、需要の価格弾力性の計算問題にチャレンジしましょう。
出題する問題は上のとおりです。
公式は、どちらのパターンを使っても構いません。問題に合わせ、うまく使い分けるようにしてください。
(1)のパターンの解き方
まずは、(1)のパターンについて解説します。こちらは、需要関数が書かれていない文章問題です。
はじめに、価格が1,000円から1,500円に増加したと書かれています。
この影響により、消費量は800個から500個まで減少しました。この場合の需要の価格弾力性を求めます。
ここでは、オーソドックスな形の公式を使いましょう。
まず、価格と消費量の変化量はそれぞれ以下のとおりです。
- 価格の変化→+500
- 消費量の変化→−300
公式に当てはめると、「3/5(5分の3)」と求められました(何度も書きますが、「−」の掛け算を忘れてはなりません)。
次に、元々の価格と消費量は問題から簡単に数値を出せます。
- 元の価格→1,000
- 元の消費量→800
すると「5/4(4分の5)」と分かるはずです。
これらを掛け算すれば、需要の価格弾力性は「3/4(4分の3)」と導き出せました。
(2)のパターンの解き方
続いて、(2)のパターンの問題を解いてみます。
こちらは、すでに需要関数が書かれているタイプです。
この場合も、どちらの公式を使っても答えは出せます。本番は、得意な方を使えばOKです。
ここでは、せっかくなので需要関数を使った公式で答えを出しましょう。
需要関数は、「D=-4p+2」とあります。まずは、Pで微分してみてください。
微分のやり方が覚えていない方は、こちらの記事も合わせて読むといいでしょう。
微分の基礎的な計算方法を紹介しています。
しつこく確認するものの、需要の価格弾力性では微分するときに「-」を付け忘れないよう注意してください。
すると、「4」と求められるはずです。
元の価格は1,000円、消費量は400であるため需要の価格弾力性は10と出せました。(e=4×(1000÷400))
計算問題を練習したい方は、以下のテキストの購入をおすすめします。
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何度も繰り返し解きながら、似たような問題が出されても解けるようにしましょう。
- 元の数値と変化量を把握する
- 公式の確認を常に行う
- 「−」の掛け算し忘れに注意
- 繰り返し計算問題を解く
需要の価格弾力性の図解
最後に需要の価格弾力性を図で表します。ここで使うグラフは大きく分けて2つです。
これらの解き方を把握しつつ、需要の価格弾力性の特徴を捉えましょう。
需要の価格弾力性の大小関係
A、B、Cと3つの点がありますが、この中で需要の価格弾力性が最も高いポイントはどこでしょうか。
同じグラフの線上にあるため、違いがいまいち分かりづらいかもしれません。
需要の価格弾力性を図解で求めるには、解き方をしっかりと押さえる必要があります。
需要曲線(D)は、右肩下がりに描かれています。なお、こちらは最も一般的な曲線の形です。
このときは、以下の特徴を持つと押さえてください。
- X軸(横軸)に近づくと需要の価格弾力性は小さくなる
- Y軸(縦軸)に近づくと需要の価格弾力性は大きくなる
つまり、図の場合は「C>B>A」の順番で需要の価格弾力性の大小関係を導き出せます。
そのため、需要の価格弾力性の最も大きいポイントは「C」です。
弾力的と非弾力的の見分け方
ここでは、2つのグラフを用意しました。
需要曲線(D)が横に引かれているものと、縦に引かれているものです。
これらのグラフから、需要の価格弾力性が弾力的か非弾力的かを見分けられます。
ピンボールゲームで遊んでいるとイメージしてください。
需要関数が横線の場合
左側の図であれば、横軸とグラフによりボールが上下で何度も弾むはずです。
そのため、需要曲線が横線の状態は「弾力的」と表現されます。
こちらは、価格を下げると需要量が無限に大きくなる状態(最も大きくなる状態)です。
現実的ではありませんが、安易な値上げは避けるべき財といえます。
需要関数が縦線の場合
反対に縦軸と平行に引かれていれば、天井がないためピンボールは何度も弾みません。
この場合の需要曲線は「非弾力的」です。価格を変化させても、需要量が変化しない財を指します。
それぞれの特徴を次のように捉えましょう。
- 需要曲線が横線→弾力的(需要の価格弾力性が最も大きい)
- 需要曲線が縦線→非弾力的(需要の価格弾力性がゼロ)
試験に出されても解けるよう、頭の中でしっかりと整理してください。
- 通常の需要曲線は縦軸に近づくほど需要の価格弾力性が大きくなる
- 横線は需要の価格弾力性が無限大(弾力的)
- 縦線は需要の価格弾力性がゼロ(非弾力的)
なお、需要の価格弾力性の図解については僕のYouTubeチャンネルの方でも詳しく紹介しています。
需要の価格弾力性を「動き」で捉えられるほか、均衡価格の変動についても触れているのでぜひ参考にしてみてください。
まとめ
今回は、需要の価格弾力性について紹介しました。
はじめに定義をしっかりと押さえたうえで、計算問題をスラスラ解けるよう練習しましょう。
公務員試験でも狙われやすいジャンルのひとつです。公式を頭に入れ、試験本番で正答できるよう準備してください。
また、図解の問題も練習しておくとより万全です。慣れてしまえば難しくありません。
最初は苦戦するかもしれませんが、何度も繰り返し練習すれば問題なく解けます。
- 需要の価格弾力性の理屈を押さえる
- 計算問題を繰り返し解く
- 図解で説明できるようにする