公務員試験を受験される予定の皆様、お疲れ様です!
今回もミクロ経済学より解説ブログを更新しています。前回の内容と合わせて勉強を進めてください。
本日は、上級財と下級財について解説します。加えて、下級財の説明で必ず出てくるギッフェン財も取り上げましょう。
それぞれがどのような意味を持つ財なのかを押さえてください。
上級財とは?
まずは、上級財について説明します。聞き慣れない言葉だと思いますが、経済学の世界では頻繁に出てくる用語です。
具体的な定義を具体例とともに覚えましょう。
上級財の定義
上級財とは、所得が上がると購入量も上がる財のことです。いまいち分かりづらいため、具体例をあわせて紹介します。
例えば、月に得られる所得が5万円でした。この所得の場合、たとえ食品でも数多く買おうとはなかなか思わないはずです。
では、所得が20万円まで上がったらどうでしょうか。生活にも余裕ができ、単純に買える食品の量が増えます。
このように所得の増加に伴い、購入量も増えるものが上級財です。
上級財をグラフで表す
ミクロ経済学では、上級財をグラフで簡単に表せます。下図をご覧ください。
縦軸に所得、横軸に数量を設けたグラフがあります。このときに注目するポイントはグラフの傾きです。
図のa点では、横軸で見ると正の方向に線が引かれています。この場合、図は上級財を指し示していると覚えましょう。
- 上級財は所得の増加で購入量も上がる財
- 上級財は正の傾きになる
下級財とは?
ミクロ経済学では、上級財のほかに下級財の概念があります。
あまり身近なものではありませんが、公務員試験を解く上では違いを区別しなければなりません。
どのような財にあたるかを、同じく定義とグラフでの表し方について書きましょう。
下級財の定義
下級財は、上級財と反対の意味を持ちます。つまり、所得が上がっているにもかかわらず購入量は減る財です。
皆さんの中には、本当にこのような財があるのかと疑問に感じる方もいるでしょう。下級財の具体例として、私なら「駄菓子」を出します。
薄給だったバイト時代は、少しでも安いものと数十円で買える駄菓子を間食用に買っていました。
社会人になり、ある程度給料が入るようになるとそれなりの値段がするお菓子を買うようになります。
反対に駄菓子の購入量が減りました。そのため、私個人であれば駄菓子が下級財にあたります。
このように上級財や下級財は、必ずしも特定の財が該当するわけではありません。
人によっては、駄菓子の味が好きであえて購入する方もいるでしょう。
私の場合は、単純に価格で判断したため所得の増加とともに駄菓子の購入量が減っただけの話です。
ここまで説明すれば、ある程度は下級財の捉え方も理解できたでしょう。
なお、上級財と下級財の内容はYouTubeでも詳しく紹介しています。イメージがつきやすくなるかと思いますので、ぜひあわせてご覧ください。
下級財をグラフで表す
下級財をグラフで表すときも、定義の特徴をしっかりと頭に入れてください。理屈がわかれば、迷うことなく簡単にグラフが描けます。
同じように、縦軸に所得で横軸に数量の図を取ります。そこで、グラフを次のように描きました。
ここでは、b点より先の傾きに注目してみましょう。すると、横軸から見て負の方向(左側)にグラフが動いているはずです。
所得が上昇しているにもかかわらず、数量が減っている状態を指しています。
まさしく、下級財の特徴そのものです。そのため、b点以降のグラフは下級財を示していると判断できます。
理屈をしっかりと押さえてしまえば、問題なく解けるため繰り返し練習しましょう。
- 下級財は所得の増加で購入量が減少する財
- 下級財は負の傾きになる
ギッフェン財は下級財の一種
公務員試験を勉強すると、ギッフェン財も出題されます。こちらもミクロ経済学において、欠かせない要素のひとつです。
ギッフェン財とは下級財の一種に含まれます。つまり、所得が上がっても消費量を下げてしまう点が特徴です。
では、通常の下級財とはどのような点で異なるのでしょうか。
代替効果と所得効果
ここで押さえるべきポイントが以下の2点です。
- 代替効果
- 所得効果
代替効果とは、2つの財を見比べたときに片方の価格の変動がそれぞれの消費量にどう影響するかを示しています。
例えば、おにぎりとパンがあったとしましょう。
どちらも同じくらい好きだと仮定した場合、パンだけが値上がりするとおにぎりを中心に購入するはずです。
反対に、パンの購入量は相対的に減少します。
このように2つ以上の財の価格変動が、消費量に影響することが代替効果です。
所得効果は、単純に所得の変動が財の購入に与える影響を指します。
所得効果で考えると、商品の値上げは家計的に損した気分になるでしょう。
しかし、ギッフェン財は下級財であるため、所得効果では購入量が上がります。
ギッフェン財は所得効果が大きい
ギッフェン財は、代替効果よりも所得効果の方が大きくなる財です。
通常の下級財であれば、所得効果よりも代替効果の方が大きくなります。
ここが下級財とギッフェン財を見分けるときのポイントです。
先程の例を使えば、パンが値上げした場合は代替効果で購入量が減少します。
しかし、所得効果では値上げにもかかわらず購入量が増加するはずです。
これらを見比べたとき、通常の下級財は代替効果の方が大きく変化します。「代替効果>所得効果」により、購入量はわずかに減少します。
ギッフェン財の場合は、「所得効果<代替効果」です。
そのため、代替効果での購入量の減少よりも所得効果による増加の方が大きく影響します。
ギッフェン財を押さえるうえで重要なポイントとなるため、しっかりと覚えておきましょう。
ギッフェン財とグラフ
つづいて、ギッフェン財をグラフで説明します。
図を参考にしつつ内容をチェックしましょう。
代替効果と所得効果の動き
この図を説明する前に、「X財の価格が減少した」ことを前提に話を進めます。(横軸と縦軸のXとYは「数量」を指す)
代替効果で示されるポイントがE1、所得効果で示されるポイントはE2です。
試験では、自ら判断しなければなりません。簡単に解けるよう、理屈を説明します。しっかりと覚えてください。
代替効果は、あくまで2つの財を見比べたときのそれぞれの購入量を見ます。
片方の消費量が上がれば、もう片方のものが下がるはずです(予約制約線の傾きが変わる)。
要するに、効用自体は変動しません。そのため、U1の範囲で点は動きます。
一方で、稼ぎが大きくなれば単純に財を購入できる量は増えます。言い換えれば、所得効果は効用を変化させる点が特徴です。
これらを踏まえると、U1からU2に移動したE2が所得効果で変化した部分に該当します(予算制約線が平行移動)。
所得効果が大きければギッフェン財
E1が代替効果、E2が所得効果の動きを示していると分かりました。
まず、X財の価格が減少しているものの、最終的にE2で数量が落ちているためこちらは下級財です。
ここから、このグラフがギッフェン財か否かを判断します。
先程も書いたとおり、ギッフェン財の特徴は「所得効果>代替効果」です。通常の下級財とは逆の特徴を持ちます。
図を見てみるとE0からE1への動きよりも、E1からE2への動きの方が大きくなっています。
つまり、こちらはギッフェン財を指し示したグラフです。
このように財の特徴を押さえ、図でどのように描かれているかを判断しましょう。
- ギッフェン財は下級財の一種
- 所得効果が代替効果より大きい
- グラフの動きを押さえることが大切
まとめ
今回は、以下の3つの財について紹介しました。
- 上級財
- 下級財
- ギッフェン財
上級財は、所得が上がると購入量も増える財です。一方で、下級財は所得の増加が購入量の減少を招きます。
ギッフェン財は下級財のひとつです。しかし、通常の下級財とは異なり代替効果よりも所得効果が大きくなります。
これらの特徴を押さえ、公務員試験の問題にチャレンジしてください。
- 財の種類と特徴を押さえる
- 具体例を把握すると良い
- 図解の問題にも挑戦する