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異時点間の最適消費とは?公式と計算方法をわかりやすく解説

公務員試験のミクロ経済学では、しばしば異時点間の最適消費の計算問題が出題されます。勉強するときは、公式と予算制約線の関係をしっかりと勉強しなければなりません。

この記事では、公務員試験に一発合格した筆者が、異時点間の最適消費の計算方法をわかりやすく解説します。公務員試験のミクロ経済学を勉強されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

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異時点間の最適消費とは

異時点間の最適消費とは、現在の消費・所得と来期の消費・所得を見て、効用最大化を分析する手法です。皆さんも大きな買い物をするとき、今の所得だけではなく将来の所得も考慮して、買うかどうかを判断するでしょう。

所得は、今と将来では金額が異なる場合もあります。仮に現在は学生でも、来年の就職先が決まっていたら、来年以降に給料が入ることを見越した買い物ができます。

異時点間の最適消費を使えば、利子率を考慮した計算も可能です。利子率を計算に入れると、消費者の効用をより具体的に求められます。

 

異時点間の最適消費の計算方法

異時点間の最適消費を計算するには、以下の工程を踏む必要があります。

  1. 予算式の公式を押さえる
  2. 数値を公式に代入する
  3. コブ=ダグラス型で求める

手順ごとに、どういった計算が必要になるかを見ていきましょう。

予算式の公式を押さえる

予算式は、しばしば以下の公式で整理されます。

C_1+\dfrac{C_2}{1+r}=Y_1+\dfrac{Y_2}{1+r}

こちらの公式は、基本的に自分で作れるようにしましょう。来期の消費には、利率を考慮することを押さえておけば、考え方はそこまで難しくありません。

今期と来期のを捉える

異時点間の最適消費を計算する際のポイントは、今期と来期に分けて計算することです。ここでは、所得を例に出して考えましょう。

たとえば今期の所得が300、来期の所得は440得られる人がいました。所得は「貯蓄」につながるため、S_1+\dfrac{S_2}{1+r}に代入しましょう。

代入した結果、式は以下のように求められました。

300+\dfrac{440}{1+r}

この計算をするときは、利子率も考慮しなければなりません。ここではrを10%と見立てて、代入してみましょう。

300+\dfrac{440}{1+0.1}

上記の式を計算した結果、最終的に所得は700と求めることができました

コブ=ダグラス型に当てはめる

異時点間の最適消費では、予算制約線のほかに効用関数も書かれています。予算制約線で求めた所得から、「今期の消費量」を求めていきましょう。

ここでは効用関数を以下のように表してみました。

U=C_1^{0.6}・C_2^{0.4}

効用関数を求めるには、コブ=ダグラス型の計算を用います。コブ=ダグラス型について、公式は以下のとおりです。

U=C_1^{a}・C_2^{b}

C_1=\dfrac{aY}{P_1(a+b)}

この式にそれぞれの数値を代入すると、以下のようにまとめられます。

C_1=\dfrac{0.6×700}{1×1}

したがって今期の消費量は、420が正解です

 

応用問題に挑戦しよう

ここで異時点間の最適消費に関する応用問題を紹介します。難易度は高いですが、こちらも重要なテーマとなるので併せて押さえてください。問題文はこちらです。

◆この記事でわかること◆
若年期に所得Y=20を得ている人が、退職後の老年期は元利合計を取り崩し、消費に充てるものとする。貯蓄は利子率はr=10%で運用する
このときの若年期の貯蓄はいくらになるか
なお効用関数は以下のとおりとなる
U=C_1^{0.6}・C_2^{0.4}

 

この問題では、予算式をどのように作るかがポイントです。計算方法について詳しくまとめていきましょう。

予算式の作り方

まずは予算式を作りますが、このケースでは「若年期」「老年期」をそれぞれ整理する必要があります。若年期の消費は、ひとまずC_1で表しましょう。

一方で老年期の消費は、貯蓄から元利合計を取り崩さないといけません。貯蓄はY-C_1で表します。

さらに貯蓄は利子率が10%で運用されるため、1.1(Y-C_1)が老年期の消費C_2となります。これらの式を整理し、Yの式に直していきましょう。

C_2=1.1(Y-C_1)

C_2=1.1Y-1.1C_1

1.1Y=1.1C_1+C_2

Y=C_1+\dfrac{C_2}{1.1}

若年期の貯蓄を求める

予算式が整理できたら、若年期の貯蓄をそのまま求めます。効用関数を利用し、コブ=ダグラス型で算出しましょう

まず予算式から、若年期の所得は1×C_1、老年期の所得は\dfrac{1}{1.1}×C_2と表せます。つまり若年期の価格は「1」です。

これらの情報を頼りに、若年期の消費量を求めていきましょう。

C_1=\dfrac{0.6×20}{1×1}

計算した結果、若年期の消費量は12です。先程も説明したとおり、貯蓄は「所得−消費」から求めます。

所得20から消費量12を差し引くと、若年期の貯蓄は8です。最終的に求めたいのは若年期の貯蓄であるため、老年期の部分は基本的に無視で問題ありません。

 

ミクロ経済学のおすすめ本

異時点間の最適消費は、何度も練習問題を解くことが大切です。練習問題にチャレンジしたいのであれば、以下のテキストの購入をおすすめします。

 

こちらの問題集は毎年改訂されており、公務員試験の変化に対応しているのがポイントです。分野ごとにわかりやすく整理されているため、初学者にも使いやすいでしょう。

もう少し難しい問題にチャレンジしたい方は、スー過去も併せて使ってみましょう。

 

このテキストはボリューミーであり、難易度ごとに問題が収録されています。地方公務員だけではなく、国家総合職を受験される方にも使えるテキストです。

 

異時点間の最適消費のまとめ

異時点間の最適消費は、予算式やコブ=ダグラス型の公式を押さえることが大切です。2つの時期に分けるので、どちらを求める問題かを入念にチェックしましょう。

特殊な計算をする分野ではあるものの、慣れてしまえば問題なく解けるようになります。ここで紹介したテキストも使いつつ、繰り返し問題を解いてみてください。