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贈与契約と解除|書面によらない贈与のルールについて徹底解説

公務員試験の契約の分野で、1番最初に出てくるのが贈与契約です。この贈与契約では、しばしば解除できるか否かが問題に出題されます。

この記事では、書面によらない贈与を中心に解除権のルールを解説します。公務員試験の民法を勉強されている方は、つまずかないよう記事に目を通してください。

 

贈与契約とは

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まずは贈与契約を簡単に説明します。

贈与とは、当事者の一方が他方に対して目的物を無償で与える行為を指します。父であるAが、子どもBに対して自転車をあげる行為が主な例です。

基本的には無償および片務契約となりますが、契約内容によっては貰った側が何か負担をするケースもあります。負担付贈与であれば、有償および双務契約になるのが特徴です。

無償の贈与も負担付贈与も、当事者間の合意で成立する諾成契約となります。

贈与した側は贈与者、受け取った側は受贈者と呼びます。これらの呼び方も一緒に覚えましょう。

 

書面によらない贈与と解除

書面によらない贈与をイメージしやすいように示したイラスト

正直な話、民法の贈与契約は問題自体が難しくありません。他の範囲と比べると、点数の取りやすい分野に含まれます。

その贈与の中でも、少し頭を悩ませるのが書面によらない贈与と解除の関係です。

書面によらない贈与とは

書面によらない贈与とは、言葉の通り書面を使用しないで交わした契約を指します。しかし書面にもさまざまな種類があるので、該当するか否かは裁判でもいくつか争われてきました。

まず司法書士に作成してもらったうえ、内容証明郵便で送付されたものは書面に該当します。

他にも売渡証書が受贈者に、代金の受領書が贈与者に渡っても、無償で渡す意思が他の証拠書類で認められたら書面による贈与です。

このように一見贈与に見えない行為でも、当事者の意思を尊重して「書面による贈与」と判断するケースがあります。

贈与と解除の関係

民法第550条の規定で、書面によらない贈与は各当事者が解除できる旨が示されています。その理由は、無責任な贈与があちこちで行われるのを防ぐためです。

解除権は各当事者にあることから、贈与者と受贈者の双方が有しています。さらに解除権には消滅時効がないので、期間の制限なく行使できるのが特徴です。

しかし民法第550条には「ただし、履行が終わった部分については、この限りではない」と定められています。

つまり履行が完了した部分については、解除権の行使が認められていません。この「履行が終わった部分」の意味を、もう少し具体的に解説しましょう。

履行の終わった部分:動産

動産の履行が終わった部分とは、引渡しが完了していることを意味します。動産は、基本的に内容を公示せずに目的物の引渡しを行います。したがって、占有権が移転しているか否かが主なチェックポイントです。

なお贈与における目的物の引渡しには、占有改定も含まれます。民法の記事では度々説明していますが、占有改定とは目的物を移転させずに占有者を切り替える行為です。

要するに占有改定を済ませてしまえば、贈与者も受贈者も贈与契約の解除ができなくなります。しかし受贈者は、占有改定では即時取得が認められない点にも注意が必要です。

この辺りの内容は、以下の記事でも詳しくまとめています。今回の内容と同じく、公務員試験では押さえておきたい範囲になるので併せて確認してみてください。

履行の終わった部分:不動産

不動産の履行が終わった部分とは、登記が済んでいる状態のことです。

不動産は目的物が移動したか否かではなく、登記されているかどうかで履行の有無を判断します。

裏を返せば、引渡しされていなくとも登記さえされていれば贈与は完了します。この場合においては、贈与者による契約の解除は認められません。

 

贈与契約の種類

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贈与契約にもさまざまな種類があります。そこまで難しい内容ではないので、これらも併せて押さえるようにしましょう。

負担付贈与

負担付贈与とは、受贈者に一定の負担をさせるのを条件とした贈与を指します。主な具体例が、家を贈与する代わりに残っている住宅ローンの支払いをお願いするケースです。

贈与者が贈与するのみならず、受贈者が負担することで成立するので双務契約かつ有償契約の関係に立ちます。なお、それぞれに同時履行の抗弁権を認める点も特徴的です。

仮に受贈者が負担しない場合、贈与者は契約の解除もできます。

定期贈与

贈与の内容によっては、定期的に一定の目的物を引き渡すケースもあるでしょう。定期贈与においては、贈与者か受贈者のいずれかの死亡で効力を失います。

正直、公務員試験ではそこまで覚える必要のない範囲です。

「こういう贈与もあるんだな」くらいの感覚で読み流してくださいね。

死因贈与

死因贈与とは、贈与者の死亡によって効果が発生する贈与のことです。この性質を見ると、遺贈と同じ内容ではないかと感じた人もいるでしょう。

しかし死因贈与と遺贈は、大きく以下の相違点があるので区別して覚えてください。

  死因贈与 遺贈
単独での行為
年齢制限 成年から 15歳から
代理人の行為

 

贈与契約と解除のまとめ

この記事では、贈与契約と解除のルールについて解説しました。贈与契約は、以下の特徴を持つ契約であることをしっかりと押さえましょう。

  • 片務契約
  • 諾成契約
  • 無償契約

しかし負担付贈与になると、有償契約および双務契約に代わります。

さらに書面によらない贈与であれば、贈与者も受贈者も契約の解除が可能です。このように無責任な贈与に関しては、民法も解除権を適用させる幅を広げているわけです。

贈与契約の内容は、他の契約と比べるとそこまで複雑ではありません。過去問の内容を中心に押さえて、狙われやすいところから中心に勉強しましょう。