皆さんは、口約束でお金の貸し借りをしたことがありますか?
「しっかりと返してくれるだろう!」という油断が、想像を絶するトラブルを招くケースもあります。
今回は口約束でお金の貸し借りする際の注意点を紹介します。どのような被害に遭うかを記事から押さえ、
・お金の貸し借りを口約束でする怖さ
・お金を貸し借りする際の注意点
口約束の効果
売買や貸し借りといった取引を結ぶのを、契約と呼びます。契約といえば「小難しい書類にサインして成立する」とイメージするかもしれません。
しかし、民法では「方法自由の原則」が存在するため、口約束でも問題なく契約が成立してしまいます。
ただし、以下のような例外も存在するので念のため紹介しましょう。
- 借金等の保証人になるとき
- 片方が一般消費者、もう片方がプロの事業者と知識の差が大きい場合
- 雇用者と労働者の関係
- 建築工事の請負
お互いがフラットな関係で契約を結ぶ際には、口約束で取引を進めるのが一般的です。
このように民法の性質を理解しなければ、さまざまなトラブルを引き起こす恐れがあります。
債務不履行となりやすい
口約束で契約を進めると、証拠が残らなくなる可能性も高まります。債務不履行の問題にも関わるため注意しなければなりません。
債務不履行とは債務を提供しない行為全般を指し、主に以下の種類があります。
- 履行遅滞
- 履行不能
- 不完全履行
そのなかでも、お金の貸し借りで問題視されるのが返済を遅らせる履行遅滞です。
本来ならば、契約を実現させる義務がある者(債務者)に責任があれば、損害賠償の請求も可能です。
しかし、この場合に契約の立証を請求する側がしなくてはなりません。口約束で契約したと裁判官に伝えたところで、証拠がなければ主張は弱くなります。
ちなみに民法は2020年に大改正が行われ、契約の解除であれば債務者の責任を立証せずともできるようになりました。
債務不履行の詳しい内容は、以下の記事でも解説しています。法律の知識をより深めたい方は、ぜひ合わせて読んでみてください。
お金の貸し借りの注意点
ここで、お金の貸し借りによるリスクをより具体的に解説します。文章をしっかりと読み、最悪の場合自分自身の生活にも悪影響を及ぶことを理解してください。
お金は基本戻らない
まず押さえなければならないのが、貸したお金は基本的に戻ってこないことです。もはや、あげたつもりで貸さなければなりません。
お金をあげると考えた場合、果たしてその人に渡す価値があるかを考えましょう。なかには、いろんな人からお金をせがんで生活しているような人もいます。
子どもの頃にも1人くらいは「ちょーだい、ちょーだい」と言ってくる人がいたでしょう。すぐに「ケチ」と吐く人は、幼少期もあまり好かれなかったはずです。
そこで痛い目にあって、反省したのであれば治るかもしれません。しかし、大抵はそういう子どもがワガママな大人に育つような気がします。
このような人にお金をあげたところで、相手は何の有り難みも感じていません。時が経てば、同じようにお金をせがまれることもあるでしょう。
お金を貸す際には、相手の人間性をしっかりとチェックしなければなりません。ロクでもない人間であれば、できる限り距離を置くのをおすすめします。
自分の生活が苦しくなる
大金だなと思うお金は絶対に貸してはいけません。
生活が苦しくなり、最悪な場合は相手に恨みをもって事件に発展するケースもあります。
生活に余裕がなくなると、人はどうしても視野が狭くなってしまいます。コツコツと働くだけでもお金は貯められますが、事件を起こしたら世間的にも悪者扱いされて生きづらくなるでしょう。
またお金の貸し借りのみならず、友人や知人と高級品の売買契約を結ぶ人もいます。このような契約も、私は決して推奨しません。
その人物が会社に勤めていて、契約書も渡されたうえでの取引であれば別です。ただし、書面も交わさないで売買契約を結ぶのは絶対に避けましょう。
詐欺師は、我々の身近に潜んでいます。昔の友達も、大人になって人格が歪んでしまった人もいるかもしれません。
訴訟問題に発展する恐れ
こちらがお金を貸しているにもかかわらず、相手から訴訟されるリスクも存在します。よく見られるのが、お金を返すように半ば脅迫じみた請求をした場合です。
お金の貸し借りを巡り、相手との議論でヒートアップすることもあるでしょう。しかし頭の良い人であれば、発言を記録して逆に訴訟を提起するケースもあります。
仮に相手の請求が一部認められれば、自身も賠償金を支払わなければなくなります。結果的に返ってくる金額が少なくなってしまうのも本末転倒です。
また民事訴訟といえども、逆に訴えられたら社会的にも印象は悪くなります。
お金の貸し借りは危険
今回はお金の貸し借りを中心に口約束の取引がいかに危険なのかをまとめてみました。
口約束の怖い部分として、以下の2つがあると思います。
- 債務不履行が起こりやすい
- 立証が難しい
最後にいえるのが、結局大抵の人は自分が可愛いということです。
無論、自分自身を1番大事に思うのが悪いわけではありません。現に筆者自身も、誰よりも自分が良くありたいと思っています。ある種人間の性ともいれるでしょう。
自分が嫌だなと思う仕事は受けませんし、場合によっては価格交渉もします。
本当に他人のために自分を犠牲にできる人は凄いですが、統計を取ってもそう多くないんじゃないかなと想像しています。
したがって、人間は結局自分自身が1番可愛いのだと、どこかで割り切ることが重要です。
民法の詐欺に関する規定は、強迫に関するものより緩く設定されている部分があります。
つまり民法上でも「騙されるアナタも悪いよね」といった主旨が含まれています。
詐欺と強迫の内容は、筆者の書いた記事でもまとめています。公務員試験の受験者や資格試験で法律を使う方は目を通してみてください。