どーも、ヤマトノです。
前回はマクロ経済学から貯蓄・投資バランスについて解説しました。
今回は、GDPデフレーターの計算を紹介していきます。
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名目GDPと実質GDP
まずは、下記の違いを説明しなければなりません。
- 名目GDP
- 実質GDP
GDPは「国内総生産」を指し、国内で生産された価値を把握するための数値です。
ちなみに、GDPの細かい説明に関しては以下の記事を参考にしてください。
名目GDP
GDPは、国内で生産された財に対して価格を掛け合わせた指標です。
例えば、日本でインスタントラーメンのGDPを測る場合を想定しましょう。
生産された個数が10億個だった場合、1個が300円で販売されていたら全体では3000億円の価値があったと仮定できます。
名目GDPは、名前の通り見たまんまの情報を統計にまとめる手法です。
この世は景気の変動で物価が上がったり、下がったりします。
300円で売られていたインスタントラーメンが、3年後では330円に値上げされることなど当たり前に起こるでしょう。
その場合の名目GDPの値は、
10億個×330円=3300億円と併せて高まります。
簡単に表せば、名目GDPは価格を重視して捉えたGDPと表せるのです。
実質GDPとは
次に、実質GDPを取り上げていきます。
こちらの数値は、物価変動を考慮せずに計算された指標です。
先程と同じように、インスタントラーメンの例を出すと10億個生産された商品の価格が300円であれば、全体の価値は3000億円でした。(基準年)
しかし、物価変動で翌年に値段が330円になった場合は、実質GDPではどのように計算されるのでしょうか。
正解は物価変動を考慮しないので300円のままで計算します。
生産量が10億個であれば、価格が330円に上がっても10億個×300円の計算式が正解です。
もし、価値が上がるからと次の年に生産量を上げても、実質GDPは基準年の300円を基に求めていきます。
例:生産量が15億個になった
15億個×300円=4500億円
経済の実態を把握するためには、物価変動を取り除いて生産量の動向のみを把握する必要もあります。
そこで、生産量を重視した実質GDPの概念が生まれました。
GDPデフレーターとは
では、ここで本日のメインである
GDPデフレーターの計算方法について解説しましょう。
そもそも、GDPデフレーターとは国内の物価が上昇しているか、下降しているかを調べる数値です。
まず、公式を押さえてください。
実質GDPは価格が基準年と同じ数値を用いるため、名目GDPの値が上がると物価が上昇し、反対に名目GDPの値が下がると物価下落を表します。
言い換えれば、名目GDPの上昇は「インフレーション」を指し、反対に名目GDPの下降は「デフレーション」を指しているのです。
公務員試験では、度々GDPデフレーターの計算問題が出題されます。
コツを掴むとそこまで難しくはないため、以下の内容も参考にしながら得意分野の1つにしましょう。
過去に出題された問題も勉強の参考にしてください。
リンク
GDPデフレーターの計算
下記の章も合わせて、2パターンの問題を出題します。
下記の情報を基に答えてください。
財はXとYの2つがあった場合、2021年(基準年)と比較して、2025年のGDPデフレーターを求めましょう。
Xの価格=1
Yの価格=1
Xの生産量=50
Yの生産量=50
Xの価格=1
Yの価格=3
Xの生産量=100
Yの生産量=150
①
②
③
④
基本的に財は2つ設けられているパターンが殆どです。
ここで実際に問題を解いてみてください。
もし、分からない方や既に答えを出せた方は下記の解答を参考にしましょう。
名目GDPから計算する
まず、名目GDPの値から求めていきます。
XとYの2種類の財がありますが、それぞれ分けて生産量と価格を掛け算し、最後に2つを合わせて求めるだけで問題ありません。
さらに、今回は2025年のGDPデフレータを算出するため、計算に用いるデータは2025年のものだけでOKです。
2025年のデータから計算すると、
1×100(Xの名目GDP)と3×150(Yの名目GDP)をした後に双方の数字を足しましょう。
すると、550と解が出てくるはずです。
これが2025年の名目GDPの合計を指します。
実質GDPを計算する
続いて、2025年の実質GDPを求めましょう。
ここで注意しなければならないポイントが、計算に使う価格の値です。
実質GDPでは、物価変動を算出の材料には含みませんでした。
言い換えれば、「価格は基準年の数値を使う」ことが基本的なルールです。
生産量はそのまま2025年のデータを使えるため、Xの実質GDPに関しては1×100で求められます。
しかし、Yの実質GDPは価格だけ
2021年(基準年)の値を使わないといけません。
そのため、1×100+1×150がYの正しい実質GDPの求め方です。
XとYをそれぞれ合わせると「250」と答えが出ます。
最後に名目GDP÷実質GDPで計算すれば、
と当てはめられるので、約分すると「③」が正解となります。
GDPデフレーターの計算応用
最後は、実質GDPを求めてからGDPデフレーターを出す練習です。
問題はこちら。
ちなみに、A財とB財の割合はちょうど半分になります。
基準年の価格はA財・B財どちらも1です。
比較年では、名目GDPが40%増加していますが、B財の数値は変わりませんでした。
価格変動を見ると、基準年と比較年でA財の価格が20%増加しています。(B財は不変)
比較年の実質GDPを出すとともに、同じく比較年のGDPデフレーターを求めましょう。
1.実質GDP=960、
2.実質GDP=960、
3.実質GDP=780、
4.実質GDP=780、
実質GDPの求め方
ちょっと長いですが、解説していきます。(問題を解いていない方は、まずチャレンジしてください。)
まず、基準年と比較年の名目GDPの変化を見てみると、A財が40%増加してB財は変わらなかったとありました。
基準年の名目GDPは800です。
比較年はA財・B財を合わせて40%増加するため、名目GDPは「800×1.4で1120」と求められます。
A財とB財の割合は「ちょうど半分」なので、それぞれ560と分けられました。
ここまで求めたら、数値が判明していない生産量を出します。(A財の生産量はa、B財の生産量はbを使いましょう。)
A財は価格が20%増加しているため、
・a×1.4=560
B財の価格は変わらないので
・b×1=560
計算していくと、A財の生産量は400、B財の生産量は560と出ます。
さて、比較年の実質GDPを求める際の材料が全て出揃いました。
生産量は先程求めた400(A財)と560(B財)を使いますが、計算に用いる価格は基準年の1です。
丁寧に式を書けば、
比較年の実質GDP=400×1+560×1
で960と求められました。
GDPデフレーターの求め方
わざわざ見出しを別に設けましたが、ここまで来ればGDPデフレーターの計算はあっという間です。
今回は比較年のGDPデフレーターを求めればOKなので、前述で求めた値を使うだけで正解を出せます。
まず、比較年における名目GDPの数値は1120でした。
一方で、実質GDPは960と求められています。
後は、今回紹介した公式に当てはめて計算していくのみです。
すると、1120÷960の計算になります。
分数に直すと。
この後の約分でミスをしないように、
・0から消す
・小さい数字で約分する
は徹底してください。
0を先に消せば、
2で約分すると
後は8で約分できますね。
GDPデフレーターはと求まりました。
正解は1番の選択肢です。
今回のまとめ
今回は
- 名目GDP
- 実質GDP
- GDPデフレーター
の3つについて学びました。
名目GDPは物価変動を含めた
「生産量×価格」の値です。
実質GDPは名目GDPとは違って、物価変動による変化を除いて考えます。
- 名目GDPは価格で見た国内総生産のデータ
- 実質GDPが生産量の動向のみで見た国内総生産のデータ
2つの数値を使って計算すれば、インフレーション(物価上昇)とデフレーション(物価下落)を細かく調べられます。
その値こそが、GDPデフレーターです。
最後に、GDPデフレーターの公式をおさらいしてください。