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従量税と従価税の違いとは?余剰分析の解き方もわかる

どーも、ヤマトノです!

我々が生活するうえで、無視できない要素になるのが税金です。税金にはさまざまな種類と区分があります。

この記事で紹介するのは、従量税と従価税の違いです。

ミクロ経済学を習っていない方は、基本的に初めて聞く名称だと思います。

ここでは、前回の記事で書いた余剰分析と合わせて解説しましょう。

それぞれの内容をしっかりと押さえてください。

公務員試験や大学の試験、中小企業診断士資格を目指す方におすすめです。

 

従量税とは

従量税とは、一定の額を納めさせる税金の種類を指します。

ここで押さえておきたいポイントは、所得やその他の事情により税額が上下しない点です。

要するに、国民が同じ金額を税金として納めます。

従量税の具体例

日本で採用されている定量税は、住民税の均等割区分です。ただし、住む都道府県によって金額が異なります。

完全な従量税とはいえません。

加えて、2024年に森林環境税が導入されます。こちらは、国民に年間1,000円を納めさせる制度です。詳しい制度の内容や導入された背景は以下の記事を参照ください。

とはいえ、森林環境税も所得の低い方は免除の対象となっています。完全な従量税は、日本では見かけないかなと思います。

従量税のメリット

従量税のメリットは、税額を簡単に計算できる点です。

1人1,000円と金額を定めてしまえば、国民の人数をかけ算して合計額を簡単に導けます。

会計報告の資料作成もスムーズに進み、不正を防ぐうえでも役立つでしょう。

一般的に税金の知識に疎い国民にも分かりやすいため、行政を透明化できる手法です。

 

 

従価税とは

従価税は、一定の税率が決められるスタイルです。こちらのタイプも現代に日本で用いられています。具体例を挙げながら解説しましょう。

従価税の具体例

こちらは、主な例として消費税や輸入関税が該当します。

2023年時点の消費税は、食費や新聞紙関連は8%で設定されています。その他の商品は10%です。

このように、商品に応じて税率が変動します。海外では、消費税率の幅がさらに広くなっています。

あまり知っている人は少ないかもしれませんが、輸入関税も従価税の一種です。

輸入関税は、国で定められた税率とWTO(世界貿易機関)で定められた税率の2種類があります。

一つひとつ紹介するわけにもいかないので、とりあえず従価税の一種ということだけ押さえてください。

従価税のメリット

従価税のメリットは、インフレに対応できる点です。

仮に100円の商品に10%の税率を乗じる場合、税込価格は110円になります。

一方で、1,000円に上がったとしても、税込価格が1,100円に引き上げられるのが従価税です。

このように物価が上昇しても、柔軟に対応できる特徴を持ちます。

 

従量税と余剰分析

従量税と余剰分析の関係を解説しましょう。

余剰分析は、生産者や消費者が感じる「損得」について解析する手法でした。

需要曲線と供給曲線を使えば、どの程度の利益を得られたかが分かります。具体的な余剰分析の求め方は、以下の記事でまとめています。

ここでは、従量税を考慮したときの考え方をしっかりと押さえてください。

従量税を取り入れた考え方

例えば、企業が商品を1つ生産する際に、一律で500円の税金がかかったとします。

企業は通常かかる費用に上乗せする形で、政府に対して税を納めなければなりません。

つまり、従量税を入れると企業側(生産者側)は「損した」と感じます。生産活動を圧迫することから死荷重が発生します。

この考え方をまずは頭に入れておいてください。

従量税と供給曲線

従量税が企業側に課された場合、グラフに変化が見られるのは供給曲線です。

生産者側は供給する際のコストが高くなるため、供給曲線を上側にシフトさせます。

図を見ても分かるように、シフトすると三角形が出現します。この部分が死荷重です。

無論、消費者側に従量税を課せば需要曲線がシフトする形となります。

ただし、公務員試験レベルであれば供給曲線をシフトさせる方法が一般的です。

問題を解く場合は難しいことを考えず、供給曲線を動かすと覚えておくといいでしょう。

従量税の計算方法

実際の公務員試験に出題されるスタイルで、従量税の計算方法を解説します。

需要曲線と供給曲線が以下のように求められました。

  • D=32−P
  • S=10+P

まずは、この段階で均衡点の数量と価格をそれぞれ計算してしまいます。

計算は連立方程式をするだけですが、D(需要)とS(供給)のままだと分かりづらいのでX(数量)に統一してください。

  • X=32-P
  • X=10+P

すると、数量21で価格が11と求められるはずです。

続いて、従量税が10と仮定します。従量税については、供給曲線をシフトさせた状態で均衡点の数量と価格を算出するだけです。

供給曲線が上側にシフトするのは、コストがその分高くなったことを示しています。

そのため、式を
P=−S+10に改めましょう。

この状態で右辺に「+10」します。するとP=−S+20に式を直せました。

あとは需要曲線を用いて、均衡点の数量と価格をそれぞれ求めてください。

  • X=32-P
  • X=20+P

連立方程式で解くと数量26、価格6となりました。

従価税と余剰分析

公務員試験レベルの場合は、従価税の計算はあまり出題されません。

とはいえ1回も出題されなかったわけではないため、従量税を計算できるようになったタイミングで勉強しましょう(優先順位は従量税)。

従価税と供給曲線

従価税も、基本的には供給曲線をシフトさせます。しかし、動かし方が異なるため注意してください。

従価税の場合は、数量が増えるほど税額も大きくなります

1個300円の商品に10%の税率を乗じると税額は30円分ですが、5個になると税額は150円です。

この特徴から、従価税が加わった場合は供給曲線を次のようにシフトさせます。

平行移動ではなく、傾きを変えるのが従価税と余剰分析の特徴です。

すると、従量税と同じように死荷重が発生しました。

従価税は計算が複雑

従価税の余剰分析の問題で、注意すべきポイントは計算が複雑な点です。

例えば、需要曲線が
D=32−P

供給曲線が
S=10+Pとします。

この場合、均衡点の数量と価格はそれぞれ21と11です。

ここで従価税が20%だったとしましょう。

従価税を考慮した価格(P')は1.2Pとなります。

変化するのは供給曲線であるため、
S=10+P
P=S-10
P'=1.2(S-10)
P'=1.2S-12
となるはずです。

ここで再度需要曲線と連立方程式を解けば、答えが導き出せます。

需要曲線と供給曲線が交わるポイントは、DとSの値も同じです。

Xか何かで統一して計算するといいでしょう。

すると数量20で価格12と求められます。

 

まとめ

今回は従量税と従価税の違いについて解説しました。

いずれも余剰分析には重要な内容です。計算は従量税の方が簡単で、おまけに出題される確率も高くなっています。

そのため、まずは従量税から先に練習するといいでしょう。

余剰分析に慣れてきたら、応用の形で従価税の方も解けるよう勉強してください。