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ISバランス(貯蓄投資バランス)とは?計算方法をわかりやすく解説

公務員試験のマクロ経済学の勉強において、ISバランス(貯蓄投資バランス)の計算方法を押さえなければなりません。しかし普段の生活では使わない用語であるため、意味が理解できずに困っている方もいるでしょう。

今回の記事では、公務員試験に一発合格した筆者が、ISバランスの計算方法についてわかりやすく解説します。公務員試験を受験される方は、ぜひ参考にしてください。

 

ISバランスとは

ISバランスとは、貯蓄投資バランスと呼ばれており、国全体の経済バランスを測る指標のことです。マクロ経済学においては、経済を民間部門・政府部門・海外部門の3つに分けて考えます。

たとえば国が民間企業に投資をするときは、赤字を覚悟する必要もあるでしょう。一方でどんどん投資をしていくことで、家計や民間企業は潤います。

このようにお金をどこに使うかを考えるには、全体のバランスを把握しなければなりません。ISバランスは、マクロ経済学でも重要な考え方といえます。

 

ISバランスの計算式

ISバランスの計算式は、GDPの基本的な計算式を押さえつつ、民間部門・政府部門・海外部門に分けて考える必要があります。ここではGDPの一般的な公式に加え、各部門での計算方法をまとめてみましょう。

GDPの基本的な計算式

GDPには大きく分けて3つの考え方がありますが、支出面で見たGDPは以下のように計算されます。

Y=C+I+G+X-M…①

Yは国内総生産(GDP)、Cが消費、Iが民間投資、Gが政府支出、Xが輸出、Mが輸入です。マクロ経済学の基本となるため、この式はしっかりと覚えてください。

さらにISバランスは、貯蓄と投資のバランスを押さえる考え方です。「投資」は、上記の支出面におけるGDPの計算で求められます。一方で「貯蓄」の視点に立ったGDPも考慮しないといけません

皆さんの貯蓄(S)は、所得(Y)から消費(C)と税金(T)を除いて計算できます。この仕組みを式にまとめると、次のように表せます。

S=Y−C−T…②

ここまで整理したら、②の式に①を代入してみましょう。そのときの式が下記のとおりです。

S=C+I+G+X-M-C-T…③

ここからは、民間部門・政府部門・海外部門に分けて計算していきます。なおGDPの公式については、下記の記事で詳しく解説しているので併せて参考にしてください。

民間部門:貯蓄−投資

民間部門では、家計と企業の貯蓄および投資を示しています。マクロ経済学では、貯蓄(Savement)を「S」、投資(Invest)を「I」で表すことを覚えてください。

そのため家計や企業がどのくらいの貯蓄を有するかは、「S−I」で計算されます。したがって上記の③の式は、以下のように作り変えることが可能です。

(S−I)=G+X-M-T

政府部門:政府支出−租税

政府部門とは、国内の財政のことです。政府が公共投資を行うには、政府支出(G)をする必要があります。

また政府のお金が足りなくなったら、国民から「租税(T)」という形で回収します。ここで押さえてほしいのが、民間部門と政府部門の関係です。

政府がどんどん財政出動をしたら、民間企業は潤いやすくなります。単純に考えると、政府が公共の建物を増やせば、建築会社の仕事が増えるからです。

一方で政府が国民に増税をしたら、家計や企業は所得税や法人税、消費税などの負担が大きくなります。つまり財政の赤字は、家計や企業にとって貯蓄超過(黒字)となるわけです。ここまでの関係式をまとめると、次のように表せます。

(S−I)=(G−T)+X-M

海外部門:輸出−輸入

政府の支出が民間の貯蓄に良い影響を与えても、財政の赤字がどんどん大きくなってしまうのは問題です。そこで財政赤字を、民間以外からも補填する必要があります。その補填先となるのが、海外部門です。

海外に製品を輸出し、資金を得ることで財政も潤うようになります。よく円安で日本の製品が安く買われる点が問題視されますが、輸出が増えるうえでは円安にもメリットはあるわけです。このように輸出と輸入の関係も考慮すると、式は以下のようになります。

(S−I)=(G−T)+(X-M)

 

ISバランスの計算問題

ISバランスの公式を示した図

ISバランスの公式を用いて、いくつか計算問題を出していきましょう。ここでは基本問題・経常収支の求め方・応用問題の3つに分けて解説します。

ISバランスの基本問題

国の民間貯蓄が80兆円で政府支出が50兆円、租税が30兆円で輸出50兆円・輸入20兆円だったと仮定します。以上の数値を用いながら、民間投資を求めてみましょう

まずは先程説明した公式に、それぞれの数値を代入していきます。

(S−I)=(G−T)+(X-M)

すると、「80−I=50-30+50-20」と式が作れます。あとはこの式を計算していけば、民間投資(I)は30となりました

経常収支の計算問題

マクロ経済学では、経常収支を求める問題も出されます。マクロ経済学での経常収支とは、貿易・サービス収支のことです。つまり海外部門の「(X-M)」が該当します。

ここで民間投資が8兆円・民間貯蓄が15兆円・政府支出が10兆円・租税が6兆円の数字を用いて、国の経常収支はいくらになるかを求めましょう。同じくISバランスの公式に当てはめて考えます。

(S-I)=(G−T)+(X-M)

すると「15-8=10-6+(X-M)」と式が作れます。あとはこの式から、経常収支にあたる(X-M)を計算して求めるだけです。

計算すると経常収支(X-M)の値は、3兆円の黒字と求めることができました。数値だけではなく、黒字か赤字かも押さえてください。

ISバランスの応用問題

ISバランスの問題に慣れてきたら、応用問題にもチャレンジしてみましょう。少々長いですが、以下の例題を解いてみてください。

財政収支が40兆円の赤字、経常収支が55兆円の黒字だった場合、次のうちから正しいものを選びなさい

①貯蓄超過が15兆円
②貯蓄不足が15兆円
③貯蓄超過が65兆円
④貯蓄不足が65兆円

 

応用問題ではあるものの、これまでと同じく以下の公式に当てはめれば計算できます。

(S−I)=(G−T)+(X-M)

財政収支とは、政府支出と税収の差額を指しています。つまり(G-T)の値にそのまま代入して問題ありません。ただし「赤字」であるため、負の符号になることに注意してください。

経常収支は先程も説明したとおり貿易・サービス収支を指すので、(X-M)に代入できます。ここまで求めたら、あとは上述の公式に代入するだけです。

その結果、「(S-I)=−40+55」と式が作れました。計算すると(S-I)の値は、15となります。

選択肢には「貯蓄超過」と「貯蓄不足」とありますが、(S-I)は「+15」です。つまり黒字であるため、貯蓄のほうが投資よりも大きいことがわかります。

したがって最終的な答えは、①が正解となります。たとえ応用問題でも、ISバランスの公式に当てはめれば、ある程度は簡単に解けます。

 

ISバランスのまとめ

今回は貯蓄・投資バランス(ISバランス)の計算方法と、経常収支の求め方について解説していきました。ISバランスの問題を解くときは、必ず以下の公式を押さえてください。

(X-M)=(S-I)+(X-M)

さらに経常収支は、マクロ経済学において貿易・サービス収支を指します。(X−M)の部分だと知っておけば、公務員試験でも問題なく対処できるでしょう。