マクロ経済学の投資関数では、加速度原理の内容が出題されることもあります。特に国家総合職を目指している人は、しっかりと準備をしておかなければなりません。
ここでは、加速度原理の公式について解説します。投資関数の基本的な分野になるので、しっかりと計算方法を押さえてください。
加速度原理とは
加速度原理とは、ある国の投資が国民所得の変化に比例しながら変化するという考え方です。
投資で利益を得るためには、自身もいくらかの資金を持っていなければなりません。仮に資金が少なければ、投資額も基本的に少なくなるはずです。
このように加速度原理では、投資と国民所得の関係を単純に捉えています。公式を押さえるうえでも、しっかりと考え方の中身を理解してください。
加速度原理の公式と背景
加速度原理の公式は下記のとおりです。
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なぜ、このような数式が作られるかも踏まえて解説しましょう。
加速度原理の公式の仕組み
投資の値を求めるには、t期の国民所得(Y)からt-1期の国民所得を引き算し、資本係数(V)を乗じます。
ちなみに資本係数は、で計算されるのが特徴です。Kは資本、Yは国民所得もしくは生産量と捉えましょう。
ちなみに加速度原理では、資本係数を一定と考えます。問題を解くときのポイントにもなるので、これらの特徴を覚えてください。
加速度原理の具体例
加速度原理の公式だけ見せられても、何を示しているかわからない人もいるでしょう。そこで、具体例を挙げながら背景について解説します。
資本と生産量の関係
まずは、資本と生産量がそれぞれ何を指すのかを説明します。
資本とは、商品を作るための要素のことです。造船工場を例に出せば、船を作る従業員や機械が主な資本となります。
ここではわかりやすく機械で例えましょう。生産量は船と考えます。
仮に船を1隻作るのに機械が3台必要になるのであれば、資本係数はで3です。
したがって仮に船を50隻作る際には、必要な機械は150台となります。
来期の生産量について
もし船の売れ行きがよいと判断され、来期では今期よりも5隻多く作るとしましょう。しかし資本係数が一定の加速度原理では、機械の数を増やさないと船の数も増えません。
上記で求めた資本係数の値は3でした。資本係数の計算式に当てはめると、来期で必要となる機械の数は15台です(5隻×3)。
さらに、この計算は加速度原理の公式を用いても求められます。
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ここまで来れば、投資関数にかかる加速度原理の仕組みをイメージできるでしょう。
加速度原理の計算問題
最後に加速度原理の問題を1問だけ紹介します。資本係数の求め方や加速度原理の公式が理解できていれば、そこまで難しい問題ではありません。
ただしマクロ経済学自体がイメージしづらい内容ではあるので、たとえ間違えても落ち込まないでください。本番に解ければ問題ないので、気軽にチャレンジしてみましょう。
加速度原理に関する例題
一方で来期の国民所得に関しては280まで増加する見込みです。
A国の資本を420と仮定するとき、来期の投資の値はいくらか?
なお加速度原理に基づいて投資の値を求めるものとする。
〜選択肢〜
①45
②50
③52
④55
上記の問題について、加速度原理の公式を使いながら計算してみてください。
例題の答えと解説
例題について、来期の投資の値はいくらになるかを解説します。
まずは、資本係数の数値について求めましょう。ここで求めたいのは、来期の投資の値です。そのため資本係数の数値を出すときも、来期の国民所得を使う必要があります。
資本係数を求める式は以下のとおりです。
この公式に資本や来期の国民所得の数値を当てはめましょう。すると次のようになります。
最終的には、資本係数は小数で1.5と求められました。続いて、加速度原理の公式を用いて来期にいくら投資するかを計算します。
ここで用いる数値は今期の国民所得である250、来期の国民所得である280、資本係数を指す1.5です。こちらも公式に当てはめて計算してみてください。
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すると、以下のように式を作れるはずです。
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計算した結果、来期の投資は45と求められました。正解は①です。
加速度原理のまとめ
この記事では、加速度原理の公式や計算方法について解説しました。加速度原理は、投資関数の中でも基本的な内容のひとつです。
実際に計算自体も複雑ではなく、ある程度勉強すれば問題なく解けるようになります。
公務員試験で集中的に問われる機会は少ないと思いますが、公式はある程度押さえておいてください。