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デュルケームの「社会分業論」を解説!機械的連帯から有機的連帯へ

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社会は、さまざまな形に姿を変えています。前回説明したスペンサーは、この状態を「進化」に例えて解説していました。

一方で、社会はさまざまな種類の仕事が増えたことで、より強く結束したのではと考えた方がいます。それが、社会学でお馴染みのデュルケームです。

今回は、デュルケームの社会分業論について説明していきます!

 

デュルケームとは?

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まずは、デュルケームについて説明しましょう。

本名はエミール・デュルケームであり、フランスの社会学者としてさまざまな観点から研究をしていました。

少し社会学を勉強した方は、自殺論の方が強いイメージを持っている人もいると思います。

 

ただし、デュルケームは「社会分業論」も非常に有名です。

少し話は変わりますが、彼は社会には1つの大きなルールが存在しており、それを読み解いていくことが重要だと考えるようになります。

人々は「社会が設定した規範」に従い、各々行動すると提言したのです。デュルケームの考え方はマクロ社会学と呼ばれます。

ちなみに、マクロの対義語はミクロですが、こちらは暮らしている人々が自分たちで新しくルールを作っている社会です。

どちらの見解が正しいかは、国や時代によって大きく異なるのかもしれません。

 

 

社会分業論の考え方

さて、ここからが本日の本題です。

デュルケームが唱えた社会分業論について解説しましょう。

はじめに、皆様は公務員試験を目指している方が多いと思いますが、公務員もたくさんの会社や機関と手を組んで仕事にあたります。

現在、大学生の方はあまりピンと来ないかもしれませんが、どの仕事もあらゆる職種の方と協力しながら事業に上手く生かしているのです。

私はブログの他にライターとして活動していますが、企業に力を貸していただく機会は多々ありました。

現代社会では、世界中のたくさんの人々が手を組んで仕事に取り組んでいます。とはいえ、これまでの時代も同じような働き方だったわけではありません。

日本にも弥生時代に農耕社会が訪れてからは、大半の方が農作業に従事する毎日だったはずです。

デュルケームは、こういった社会の変化を「社会分業論」でまとめていきました。

そこで、人々が同じ生活をしていた社会は機械的連帯、異なる生活で1つの社会を作り上げる社会は有機的連帯と区別します。

それぞれをもう少し具体的に説明していきましょう。

日本史の勉強をもう一度見直したい方は、こちらの本がすごく分かりやすいです!(高校の教科書を少し簡単にした内容ですね。)

 

より詳しく知りたい方は、こちらの本も読んでみましょう!

 

機械的連帯とは

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日本の歴史で例えれば、機械的連帯は弥生時代のように全員が農作業で働いている社会です。

  • 全員が朝早く起きて
  • 田んぼや畑で農作業をして
  • 夜が来たら寝る

このような規則的な生活を全員が行っている状態を表現しました。

デュルケームは、機械的連帯を環節社会とも表します。環節とは、たくさんの輪が繋がっている状態です。

苦手な方もいるはずなので画像は控えますが、芋虫やミミズは環節で体が作られているので「環形動物」と言われています。

デュルケームは全員が同じ周期を繰り返して生活している機械的連帯が、環形動物に思えたようで環節社会と表現しました。

有機的連帯とは

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現代日本のように、さまざまな仕事があって生活スタイルもバラバラな社会を「有機的連帯」とデュルケームは唱えます。

具体例も交えながら詳しく紹介しましょう。

有機的連帯の具体例

例えば、レストランが1つの料理を客に提供する時、どのくらいの方が関わると思うでしょうか。

勿論、そこで従事している人が役割の中心を担いますが、他の職業によって支えられているからこそ成立します。

料理を出すためには、農業従事者や加工業者がレストランに食材を届けなければなりません。

他にも、メニューの美味しさを伝えるためのPR活動を別の機関に協力してもらうケースもあるでしょう。

公式サイトを作るのであれば、ホームページ作成を誰かに依頼する場合もあります。

国や地方自治体から、補助金を貰う企業も現れるはずです。

このように1つの企業が活動していく際には、さまざまな個人や法人と関わりを持ちます

日本も有機的連帯を形成している国のひとつです。

分業は社会の繋がりを強化する

では、上記の場合は人々が全員同じ時間帯で仕事をしているでしょうか。恐らく、働く時間帯もバラバラだと思います。

特に個人事業主はあえて夜に活動している方もいますし、レストランも夕方から本格的に開店する店は少なくありません。

有機的連帯の社会では、仕事やプライベートの時間は全員が異なります。

この生活スタイルをデュルケームは「分業」と表し、有機的連帯は分業社会とも言い換えられました。

ちなみに、スペンサーの話でも有機と言葉が使われましたが、有機的とは人間のようにたくさんの細胞によって構成されている状態です。

多種多様な仕事と生活スタイルを「有機的」と捉えて、デュルケームは有機的社会の名称を作りました。

一見、有機体連帯の方が社会にまとまりがないように見えますが、分業が進むと道徳の価値観も磨かれていって強い絆が生まれると考えられています。

 

社会分業論のまとめ

今回はデュルケームが唱えた
社会分業論について説明していきました。

機械的連帯と有機的連帯の意義を簡単にまとめます。

機械的連帯は、全員が同じ暮らしをしている状態です。弥生時代のように、農業しかなかった社会が主に該当します。

一方で、有機的連帯は人々の生活スタイルが多種多様なつながりのことです。それぞれ異なる仕事をしながらも、知らないうちに関わり合っています。

そして、社会の連帯感が強化されるのは、全員が異なる生活をする有機的連帯である点も押さえておきましょう!