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どーも、やまとのです。
前回はデュルケームの「社会分業論」について解説しました。
今回はデュルケームの説の中でも有名な『自殺論』を紹介します。
タイトルがやたら怖い印象を受けるかもしれませんが、非常に重要な内容なので確実に押さえていきましょう。
自殺論で論じた自殺4種類
デュルケームはフランスで生まれた社会学者でしたが、彼が生きていた時期は1858年〜1917年の59年間でした。
亡くなったのは第一次世界大戦中。
旧友や息子をテロや戦争で失い、心に大きな負担を抱えたまま生涯を終えました。
19世紀後半、ヨーロッパ社会では「自殺」が問題視されます。
デュルケームはなぜ人々が自ら命を絶ってしまうのかを『自殺論』で考察していきました。
著書において、自殺の種類を大きく4つに分けます。
自己本位的自殺
自己本位的自殺とは、
「集団の結びつきが弱くて起こる自殺」を指します。
言い換えれば、「孤独」を抱えていた状態ですね。
- 身寄りが誰もいなくなった
- 引っ越した先に頼れる人がいない
と寂しい感情が強くなったとき、突発的に自殺する人が多くなっているとデュルケームは『自殺論』にまとめました。
日本も高齢者を筆頭に孤独を抱えて自殺するケースが跡を絶ちません。
そこまで深入りせず、公務員試験用に「自己本位的自殺」は「孤独を感じる」ことによって引き起こされる自殺と覚えておきましょう。
集団本位的自殺
では、集団の結びつきをより強めれば良いのでしょうか。
実はそこまで単純な話ではなく、かえって強固な集団に属しているが故に自殺してしまうケースもあるのです。
このような現象を「集団本位的自殺」とデュルケームは論じました。
『自殺論』によれば、人々は社会の結びつきが強くなると、自己犠牲の精神が生まれて簡単に自らの命を捧げる状態が美しいと捉えてしまうんですね。
スペンサーの話で「軍事的社会」の状態を解説したことがありました。
このように国民が全体主義の社会に所属していると、国のために命を落とす行為が生まれてしまいます。
太平洋戦争中の日本がまさに集団的本位自殺の状態でしたね。
日本のために死ぬことが美しいと教えた軍隊教育の罪は一生拭えないと僕は思います。
宿命的自殺
宿命的自殺は集団的本位自殺とは異なり
「慣習」の価値が強すぎたために、個人の欲求が抑えつけられて自殺するケースです。
デュルケーム自身が特に具体例を『自殺論』で述べたわけではないので、上手く説明できないかもしれませんが、社会の規制が強すぎて命を落とす状態とすれば分かりやすいかもしれません。
僕が例を挙げるとすれば、不倫をしてしまって自殺するケースですかね。
社内恋愛がバレてお互いの家庭をめちゃくちゃにしてしまい、SNSでも拡散されて生きることに絶望を覚えて自殺するプロセスが「宿命的自殺」に当てはまります。
アノミー的自殺
最後に、アノミー的自殺を解説しますが、こちらは宿命的自殺とは反対に個人の欲求が強すぎるがために自殺する状態です。
慣習の力が弱まる分、良い影響が与えられるのではと思ってしまいますが、社会がある程度の抑止力を持っていないと「欲望」で心が落ち着かなくなります。
よく具体例に述べられる社会現象が、
「不況」と「好況」です。
社会全体が不況に陥ると、失業者も増えて人々の欲求が満たされなくなってしまいます。
日本でもリーマンショック時に自殺者が増加しました。
景気が良くなれば万事解決なのかと考えたくなるものの、デュルケームの『自殺論』だと同様に自殺者が増えると述べられています。
経済が急激に成長すると、人々は身の丈に合わない欲求まで追いかけてしまうそうです。
結果的に物足りなさを感じ、この世にいる意味を見出せないまま自殺に走るとデュルケームは考えました。
アノミーの意味
デュルケームが著した『自殺論』で出てきたアノミー。
この言葉は後にアメリカの社会学者であるマートンにも受け継がれました。
デュルケームはアノミーを「無秩序な社会」と捉えます。
社会による規制が弱くなり、それが原因で個人の欲望を抑えられなくなると考えました。
一方で、マートンはアノミーを
「文化的目標」と「制度的手段」の不釣り合いと表現します。
例えば、お金持ちになりたいと目標を持っていました。
しかし、日本には「法律」によって他人のお金を奪ったり、騙し取ったりしてはいけないと定められています。
万が一、この法律の力が弱まって、処罰されないようになったら何が起こるでしょうか。
恐らく、強盗や詐欺が横行して社会は乱れてしまうはずです。
マートンは、これらの状態を『逸脱行動』と表現しました。
詳しくは以下の記事に掲載しています!
デュルケームからマートンに渡ったアノミーは、それぞれ意味合いが異なるので区別して押さえてくださいね!
公務員試験突破に向けて、オンラインの講座や参考テキストを調べておくようにしましょう。
『自殺論』・アノミーの整理
今回はデュルケームの『自殺論』から4つの類型について見ていきました。
- 自己本位的自殺
- 集団本位的自殺
- 宿命的自殺
- アノミー的自殺
上記の4種類の意味は確実に覚えた方が賢明です。
また、アノミーの意味は
・デュルケーム
・マートン
で大きく変わるのでチェックしておきましょう。
地味にデュルケーム→マートンと「アノミー」の言葉が受け継がれる過程を反対に答えてしまう人もいるので注意してください。