どーも、ヤマトノです。
前回までデュルケームについて解説しました。
今回からはアメリカの社会学者である
マートンについて詳しく見ていきます。
逸脱行動と準拠集団の2種類を理解しながら、公務員試験でも問われやすい文化的目標と制度的の違いを押さえていきましょう。
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逸脱行動の具体的な中身
まずは、逸脱行動の基本的な内容を振り返ります。
先程、ペーストした記事も参考にしながら言葉の意味を押さえてください。
マートンはデュルケームの「アノミー」を自分なりに解釈して、アメリカの社会で問題となっていた逸脱行動に当てはめていきました。
社会が乱れる原因には、文化的目標と制度的手段のズレが挙げられます。
いくらお金を増やしたい(目標)と思っても、法律(制度)の力が弱かったら強盗や詐欺ばかり起きて秩序が無くなってしまうでしょう。
マートンは、逸脱行動が起こる原因と人々の態度や理念との関係を具体的に考察しようと試みます。
そのためには、個人が見せるであろう社会に対する態度を洗いざらい例示しなければなりません。
そこで、「同調」・「革新」・「儀礼主義」・「逃避主義」・「反抗」の5つを提示しました。
マートンはこれらの態度から
文化的目標と制度的手段のズレを「承認」・「拒否」・「現行価値の拒否と新しい価値の承認」の3つのいずれかを当てはめます。
下記の表をまずは確認してください。
表の内容を細かく解説していきます。
こちらのブログをある程度読んだら、実際に問題集で一通り解いてみてくださいね。
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同調
同調では、文化的目標及び制度的手段を共に承認しています。
大半の方が
- お金を稼ぐ
- 結婚をする
- 出世する
などのように目標を持って生きているはずです。
さらに、掲げた目標を達成するために、法律や規則を逸脱しようと考える方は殆どいないでしょう。
夢を持ちながらも、しっかりとルールを順守している良好な状態です。(逸脱行動には当てはまりません。)
革新
革新では文化的目標が承認されつつも、制度的手段が拒否されています。
目標を持っているものの、ルールを無視して達成しようとする状況です。
具体例は「強盗」・「詐欺」等と以前から挙げている行為が該当します。
僕の勝手な感覚だと「革新」は格好良い言葉と思っているのですが、マートンの説では良い意味ではありませんね。
逸脱行動が起こされる典型的な例です。
儀礼主義
儀礼主義では文化的目標が拒否されて、制度的手段が承認されています。
目標を持つことができない個人がルールだけを守っている状況とは、具体的に何が挙げられるのでしょうか。
よく引き合いに出される例が、同調圧力です。
日本も当てはまるポイントが多いと感じますが、利益を無視して他人と同じ行いをする方も少なくはないでしょう。
制度を守っているとはいえ、目標がスルーされている点で儀礼主義も逸脱行動に該当します。
逃避主義
逃避主義は文化的目標や制度的目標の双方において拒否される、最も最悪なケースです。
目標も持たず、規範も守らない状況は「拡大自殺」が挙げられます。
あまり良い例ではありませんが、生きることに絶望した方が引き起こす逸脱行動と捉えましょう。
反抗
反抗が最も説明するのが難しいですが、文化的目標と制度的目標の双方で現在の価値を拒否して、新しい価値を承認するケースです。
現状を否定して、新たなものを追い求めるよう人々は行動を起こします。
長い歴史の中で、世界中で革命家が躍動しました。
最も、革命によって社会が是正されることもありますが、マートンの考えでは反抗も逸脱行動の1つに分類されます。
準拠集団の内容
マートンが唱えた社会学では、
「準拠集団」も重要なポイントです。
教育や産業等、全ての方があらゆる業界で「集団」の一員となります。
大抵の方にとって集団は、主に家族からスタートし、学校や仲間、企業等とライフステージの変化とともに移り変わるでしょう。
その中でも、各人に強い影響を与える集団は、準拠集団と呼ばれます。
具体的な準拠集団の種類
例えば、14歳の中学生にとっての準拠集団は、自身が通っている中学校であるはずです。
35歳でバリバリ営業しているサラリーマンは、会社が該当すると思います。
しかし、必ずしも準拠集団は1つに限られるわけではありません。
中学生がボランティア活動に取り組む大人たちから影響を受けることもありますし、サラリーマンがスポーツのクラブチームに依存するケースも考えられるからです。
どの準拠集団の所為でアイデンティティが作られるかは、場所やタイミングに応じて大きく異なります。
そして、同じ集団に所属している他人と過ごすことで、自分自身と他者の双方を評価する基準が作られていくのです。
準拠集団の重要な機能
準拠集団の所属の大切な要素は、
「集団に受け入れられたい」と抱く要望です。
皆さんもとある集団から仲間外れにされてしまうと、強い孤独や不安を感じてしまいますよね?
大抵の場合は、追い出されないためにルールを遵守します。これが、いわゆる規範的機能です。
準拠集団の機能を生かすためには、社会全体が開放的な状態でなければなりません。(身分の差を考慮せず、あらゆる階層を行き来できる社会)
例えば、国が厳格なカースト制を敷いていたら、下位の身分のものは上位の身分の集団に所属できないでしょう。
「基本的にどの準拠集団にも入って大丈夫だよ」と社会全体が認めることで、各人はあらゆる集団でアイデンティティを作れます。
葛藤との関係
準拠集団の所属に関する選択には、
「葛藤」が含まれます。
簡単な例で言うと、
小学校の野球チームとサッカーチームが休み時間で遊んでいた場合、あなたは双方の一員で日によってどちらで遊ぼうか決めていました。
しかし、校庭が狭くて両チームが縄張り争いで喧嘩したとします。
そうなると、あなたは野球とサッカーの双方のチームにも所属していたため、どちらの味方をすればいいか分からなくなるでしょう。
このように2つ以上の集団に属していた人が、完全に一方の味方になることが難しい状況を葛藤と表します。
ちなみに、マートンではなくパークが唱えた説ですが、葛藤によって2つ以上の集団を彷徨っている方が「マージナルマン」です。
また、葛藤とは少し違った概念ですが、必ずしも人は望んだ準拠集団に属すとは限りません。
中には、選択権が無くて渋々集団の一員となっている方もいるはずです。
自身があまり歓迎していない準拠集団を「消極的集団」と表現します。
逸脱行動と準拠集団まとめ
今回はアメリカの社会学者、マートンの説から逸脱行動と準拠集団の2つを見ていきました。
逸脱行動に関しては、下記の表を参考にすれば問題ありません。
準拠集団を勉強する際には、以下の5点を押さえましょう。
- 複数の準拠集団に所属する
- 受け入れられるよう規範を守る
- 開放的な社会だと機能が生きる
- 葛藤が生じるケースもある
- 消極的集団も存在する
そして、本文では触れませんでしたが、過去に所属していた集団やこれから所属したいと考えている集団でも影響を受ける可能性があります。
必ずしも、準拠集団は現在所属しているところとは限らないんですね。
当該ポイントも押さえておくといいかもしれません。