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時効の完成猶予と更新。民法の改正で制度がどう変わったのか?

民法が改正されたことで、時効の内容も新たな言葉が誕生しました。

  • 時効の完成猶予
  • 更新

これらは元々、時効の停止や中断と定められたものです。この記事では、時効の完成猶予と更新がどのような制度なのかを具体的に紹介しましょう。

なお、時効の基本的な仕組みについては下記の記事で詳しく取り上げているのでチェックしてみてください。

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時効の完成猶予と改正

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まずは、時効の完成猶予について解説します。

名前をそのまま読み解くと、「時効の成立を遅らせる」みたいな意味にとれますね。

具体的にどう影響を及ぼすかを見ていきますが、とりあえずは旧民法の内容をざっくり説明していきましょう。

改正前は「時効の停止」

民法が2020年に大きく改正されたことは皆さんもご存知かと思います。

古いテキストを使っている方は、内容が全然違うので気を付けなければなりません。

時効も大きく変わった制度の1つであり、改正前までは「時効の完成猶予」という言葉はありませんでした。代わりに、時効の停止が設けられていました。

単なる言い換えのような印象も受けますが、実際は制度に若干の違いもあるんですね。

時効の停止は、権利が行使できなくなったときに時効の進行を一時ストップする状態です。

  • 未成年者や成年被後見人の財産
  • 婚姻を解消した夫婦の権利
  • 相続財産
  • 天災が発生した

等が主に該当します。

夫婦の権利は婚姻を解消してから6ヶ月間、相続財産も相続人が確定してから6ヶ月間は時効が完成しません。

天災で時効の完成が難しい場合の停止期間は、障害が消滅してから2週間です。

改正後が「時効の完成猶予」

民法の改正で「時効の停止」の言葉は無くなり、代わりに時効の完成猶予が登場しました。

大雑把な制度の中身は同じですが、対象がかなり広げられています。

改正前までは主に上記の4パターンが対象でしたが、時効の完成猶予は裁判上の請や強制執行といった事例にも適応しています。

ただ、ここで改正内容の全貌を紹介する前に時効の中断と更新の関係を見ていきましょう。(時効の完成猶予の具体的な中身を見たい方は「3.」にスキップしてください。)

 

 

時効の更新と改正

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では、時効の更新を解説していきます。

こちらも、制度改正で改められた言葉です。

同じように、民法の改正前と改正後を分けて紹介します。

改正前は「時効の中断」

民法の改正前では、時効の更新ではなく時効の中断と記されていました。上記で説明した時効の停止は、進行を一時ストップする制度です。

しかし、中断の場合は完全にリセットして再びゼロから進んでいきます

時効が10年に定められていれば、7年くらい経っても中断があったらもう一度0年に戻るんですね。

時効の中断が行われるのは、

  • 請求
  • 差し押さえや仮処分
  • 承認

のいずれかがあった場合です。

請求は「裁判を起こす」、承認は債務者に「一部弁済をさせる」ことで進行がリセットされます。

公務員試験を受ける方は、この辺りの内容を業務でも使うので覚えておいた方がいいですよ。市役所でも頻繁に保険料や保育料の滞納者が現れますので。

改正後が「時効の更新」

既に書いていますが、民法の改正後は時効の更新という言葉が使われています。

時効の更新が行われるきっかけは「時効の中断」と同様で、お互い制度の内容はそこまで変わりません。

ただ、改正後は条文の書き方がより分かりやすくなっています。

時効の中断の場合は上記の3点が主に対象だったものの、請求が却下されたり、差し押さえの手続きが取り消されたりしたら効果は働きません

この内容を別の条文で追記しているんですね。

ただし、時効の更新の場合はいちいち分けずに1つの条文でまとめています。その理由を解説するためにも、次の項目で整理していきましょう!

 

改正の内容

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時効の停止と中断では、それぞれ適用される手続きが異なっていました。

「時効の完成猶予」と「更新」に改正されてからは、手続きの一部に改正前の双方の制度が複合されています。

裁判上の請求は、改正前では時効の中断しか適用されていなかったですよね?

しかし、改正後は

  • 請求が確定される前は「完成猶予」
  • 確定後は「更新」

2つの制度が用いられるようになりました。

他にも、

  • 支払い督促
  • 和解及び調停
  • 破産手続き等

が同様に扱われています。

再度説明すれば、請求や支払い督促が申し立てされている状態は時効は一時停止され、それらが確定するとゼロにリセットされるんですね。

民法の書き方も、時効の完成猶予と更新のルールが1つの条文で説明するようになりました。

因みに、承認は時効の更新のみが、かつて停止事由とされていた内容は時効の完成猶予のみがそれぞれ適用されます。

最後に、まとめで現民法の範囲を解説していきましょう!

 

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まとめ

民法の改正によって、時効のルールは大きく変わりました。

これまで停止・中断と書かれていた内容は、それぞれ完成猶予更新に書き換えられています。

しかし、単純に名称が変更しただけではありません。双方の制度を適用する範囲が、改正前とは大きく異なります。

今後、時効の勉強をするときは改正前と見比べてみてもいいかもしれません。とはいえ、まずは改正後の内容をしっかり押さえることが先決です。

どうしても理解が難しい場合、歴史を振り返る意味で改正前の内容にも目を通しておきましょう。