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マイナス金利解除が発表された!株価と日本経済に与える影響

2024年3月19日、日銀がとうとうマイナス金利解除を発表しました

日経平均株価がの上昇と円安の兼ね合いから、利上げの方向に話を進めたと思われます。

しかしマイナス金利解除の選択には、さまざまな考え方がSNSでも議論されています。この記事では、日銀の判断が今後の株価や日本経済にどう影響を与えるかを考察しましょう。

◆この記事でわかること◆
・マイナス金利の知られざる仕組み
・補完当座預金制度の内容と背景
・金利と株価および日本経済の関係
・マイナス金利解除のメリット・デメリット

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マイナス金利とは

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金融系の勉強をしたことがなければ、マイナス金利という言葉も聞き馴染みないかもしれません。この政策自体、実際には私たちの生活に直接の影響を与えるわけではないからです。

世間一般的にニュースとなる金利は、民間銀行が日本銀行(日銀)にお金を預ける際の利子を指します。

民間銀行は、一般市民から預かっているお金の一部を日銀の当座預金に入れなければなりません。不測の事態が起こっても、支払い準備金を用意できるようにするためです。

とはいえ一般的な当座預金は、利子(利息)が発生しません。会社の経営者であれば、日銀と民間銀行の関係を疑問に感じる人もいるでしょう。

しかし2008年に補完当座預金制度を実施したことで、日銀の当座預金には例外的に利子が適用されました。

この政策の本来の役割は、リーマンショックを起因とする大胆な融資政策を後押しするためです。それが2024年現在も、引き続き民間銀行に適用されています。

個人的には、この補完当座預金制度の仕組みが変だなと思いますが。とりあえず、日銀と民間銀行にはこういった関係性があるのを覚えておきましょう。

 

マイナス金利の事実

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マイナス金利と聞くと、全ての民間銀行が日銀に利子分を支払っているのかと感じるかもしれません。しかし、これについては慎重に物事を調べることが大切です。

実際のところ、全ての民間銀行が日銀にマイナス金利分(-0.1%)の利子を支払っているわけではありません。

2024年1月末、日銀の保有する長期国債の総額は約592兆円でした。

そのうちマイナス金利が適用されている額は、約25兆円程度しかありません

そのほかゼロ金利が採られているのが約281兆円、残りの206兆円分は何とプラス金利(0.1%)が採用されています。

要するに民間銀行のほとんどは、プラス金利で日銀の当座預金から一定の収益を得ているのが見逃しやすい事実です。

ニュースだけを見ると「民間銀行はマイナス金利分を支払っていて可哀想」と思うかもしれません。

ただし実際は、本来利息の付かないはずの当座預金に独自の制度を設け、ある程度の利益を得ているのです。

 

 

マイナス金利解除の影響

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2016年以後、日本では長らくマイナス金利政策が採られました。しかし2024年3月、植田総裁のもとでマイナス金利解除のニュースが報じられます。

この判断により、日本経済と株価にどのような影響を与えるかを考えてみましょう。

株価は理論的に下落するが

どこまで影響力があるかは微妙ですが、マイナス金利解除は事実上の利上げを意味します。世間一般的な理論では、金利が上がると株価は下落するのが定石です。

金利が上がるとなれば、民間銀行も遅れて融資にかかる利子を上げる可能性が高まります。すると企業はお金を借りにくくなり、投資に対して消極的になります。

また一般市民も、利息が高くなれば預金口座にお金を入れる人が増えるのが普通の動きです。したがって株などの有価証券よりも、現金・預金の需要が高くなります。

ただし、日本株は日本人だけが持っているわけではありません。今回の株価高騰も、アメリカを中心に海外投資家が日本株に注目したのが少なからず関わっています。

金利と株価はシーソーの関係といわれますが、それがどこまで現状に影響を与えるかは予測するのは非常に難しいでしょう。

為替への影響は微小か

こちらも理論上では、利上げ政策を採ると為替は通貨高(日本は円高)に傾きます

円高・円安を決める要素はさまざまですが、その中には金利の影響もあります。金融緩和政策を採れば、市中の貨幣供給量は大きくなるでしょう。

経済学で貨幣供給量はマネタリーベースと呼ばれますが、為替は二国間での供給量の大小を基本的には表しています。

しかしながら二国間の貨幣供給量を比べるのであれば、少なからず相手国と政策も影響されるはずです。

日本がマイナス金利を解除しても、相手国がより利上げ政策を強めたら為替は大して変動しません。

無論、短期的には動きが見られる可能性はあります。マイナス金利解除のニュースが流れれば、投資家の警戒心は強くなるためです。

とはいえ、それが長続きするかどうかは別問題です。特に影響がないと判断されれば、為替の動きも落ち着くようになります。

実際問題、3月19日時点では大して為替に変動がありません。すでにマイナス金利解除が織り込み済でありつつ、米国も利上げする流れを見せているためです。

個人的には為替は、しばらく1ドル=140円前後はキープされると思っています。ただし、為替の動きを読むのは難しいので、基本的に外れると思ってくださいね。

日本経済に与える影響

株価の予測が難しい以上、日本経済にどう影響を与えるかも断定的な判断はできません。こちらも理論上は、利上げにはメリットとデメリットの双方を持ちます。

あくまで理論的な内容を取り上げつつ、現実にどう適用されるかを考察してみましょう。

利子収入は上がりやすい

今回のマイナス金利解除において、まず長所となるのが民間銀行の収入が上がりやすくなる点です。

この動きによって日銀は補完当座預金制度の要領を一部変更し、利率を0〜0.1%に一元化すると取り決めました。

元々0.1%の民間銀行はそれなりに多かったですが、この数値に一元化されれば全体的な利益は上がりやすくなるでしょう。

また民間銀行も釣られて利率を高く設定すれば、一般市民の利子収入も上がる可能性が高まります。

無論、日本円の信頼度から利子が劇的に高くなるとは思えません。あくまで微増レベルですが、それでもプラスになるだけでも一定の満足感は得られるはずです。

海外旅行や商品の価格

先ほど為替の影響は微小と予想しましたが、理論どおりに円高方向へ走れば輸入企業も海外商品を購入しやすくなります。そうすれば中小企業も、負担が減ると考えるのが自然です。

つまり店頭で販売されている食品らの価格が、少しは安くなることも考えられます。

同じく円高方向に走ると、海外に行きやすくなるので旅行好きな人も恩恵を受けられます。

とはいえ何度も言う通り、為替の動きは単純ではありません。現に3月19日時点では、日本は依然として円安の状態が続いています。

あくまで理論上の話であるので注意してください。

なおインフレーションに関しては、需要を抑える形で抑えられる可能性もあります。為替に影響がそれほどなくとも、需要が小さくなれば市場で売られている商品の価格は安くなるかもしれません。

景気の縮小に関する懸念

大小を無視すれば、マイナス金利解除の判断により日本の景気は縮小する恐れもないわけではありません。景気が下がるかどうかは、株価の動きにも大きく影響されるので引き続き注視しないといけません。

マイナス金利のメリットは、円安を引き起こしやすい故に大企業の儲けやすくなる点です。

円安に傾けば、日本株や日本の製造品が積極的に買われるため、輸出企業を中心に利益を得やすくなります。輸出のメソッドを持っているのは、物を大量に生産できる資本のある企業です。したがって大企業が高い比重を占めます。

仮にマイナス金利が解除されて企業の投資が消極的になったら、こうした動きが抑えられるケースも考えられます。

ただし、今回見直されるのはあくまで-0.1%の部分です。一般論では景気が縮小すると考えられるものの、実際にどれほどの影響力があるかは何とも言えないところです。

住宅ローンの変動金利に注意

マイナス金利解除により、一般市民が影響を受けるのは住宅ローンを借りているパターンです。そのなかでも、変動金利で借りている人は今後の動きに注目する必要があります。

これまでは、変動金利の利率が低いために人気を集めていました。しかしマイナス金利解除で金利が上昇した場合は、ある程度負担も大きくなる恐れがあります。

日本の変動金利では、適用金利の見直しがあっても返済額は直前の1.25倍までです。また借入時から5年間は、返済額が一定であるというルールも設定されています。

そのため月々の返済額が大幅に増え、今すぐにあっぷあっぷの状態になるのは考えにくいでしょう。

とはいえ総額で考えると、金利が少し上がっただけでも全体的な負担は著しく大きくなる場合も想定されます。

金利タイプの変更もメリットとデメリットがあるので、慎重に検討することが大切です。

住宅購入の知識に自信のない方は、中立の立場で情報を提供してくれる機関に相談しましょう。

 

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失業率の変動にも注意

仮に景気が下がったら、真っ先に注意しないといけないのが雇用問題です。企業の資金繰りが悪くなると、コストのかかる人件費を抑えようという動きになります。

加えて、今の日本はあちこちで「賃上げ」が騒がれている状況です。最低賃金の引き上げ方によっては、企業はリストラ対策に走る可能性があります。

こうした動きを抑えようとすれば、今度は企業の倒産や廃業を招くかもしれません。

あまりにも単純すぎますが、やり方を間違えると一気に不況へ陥ることは考えられます。現実にバブル後の失われた10年を作ったのも、日本銀行の金融政策の失敗が要因のひとつとして挙げられています。

植田総裁には、この辺りを慎重に考えてほしいものです。

 

マイナス金利解除のニュースを受けて

今回のマイナス金利解除のニュースは、個人的には少し早かったかなと感じました。そう思う理由は、ここ最近の株価高騰は少し棚からぼた餅の要素があったためです。

無論、株価高騰の要因に企業努力も絡んでいます。しかし、今回のケースでは少なからず中国の経済状況が悪化した背景もあったはずです。

確かに日本の失業率は全体的に低く、今の状況をデフレと呼ぶのは相応しくありません。ただし賃金と物価の上昇率の乖離に苦しむ人が少なくないなか、このタイミングでマイナス金利解除は時期尚早かなと感じました。

利上げといえども、数値としてはわずか0.1%です。しかも適用されている金額分がわずかである点から、実際にはそこまで日本経済に深刻なダメージを与えるとは考えにくいと思われます。

一方で株価の場合は、企業努力のみならず投資家の需要にも左右されます。景気の要因で下がる可能性は低くとも、日本人による投資が抑制されるケースは懸念したほうが賢明です。

マイナス金利政策の不自然さを是正したいのなら、補完当座預金制度の存在も見直しが必要なのかなと感じています。

この制度がある限り、民間銀行に小遣いを稼がせるためにマイナス金利解除を発表したと思われても仕方ないでしょう。