どーも、ヤマトノです!
今回も公務員試験の勉強をやっていきましょう!
これまでやってきた内容は「専門試験」で問われる内容です。
国家公務員や地方中級・上級公務員等を受験される方は必ずマスターするようにしましょう!
今回は、公務員試験の憲法に出てくる『法の下の平等』について見ていきます。
- 法の下の平等の考え方
- 判例で押さえるべき基準
特に、判例の勉強は必須です。大まかな事件内容と「結論部分」を必ず押さえてください。
公務員試験の受験者のみならず、行政書士や司法試験を受験される方も参考になると思います。
他にも、法学部の大学に通っている学生も必見です。
法の下の平等とは
中学生でも習う法の下の平等ですが、主にどのような考え方を指しているのでしょうか?
定義と裁判の基準について詳しく紹介します。
判例を暗記で覚えるのも悪くはありませんが、余裕があったら基準も押さえておくと理解が深まるでしょう。
法の下の平等の定義
これは憲法14条に定められている内容です。
すべて国民は法の下に平等であり、人種や信条、社会的身分、門地(家柄)などで差別されないと記載されています。
我々の生活においても、最も欠かせない内容のひとつです。
ただし、平等や差別といっても概念が曖昧な部分も多いでしょう。
形的には平等に見えても、実質的な中身が平等にならないこともザラにありますからね。
法の下の平等の裁判基準
ここで法の下の平等で覚えるべきポイントをまとめてみました。
- いかなる場合でも、各人に異なる取り扱いをしてはならないわけではない
- 14条に書かれているのはあくまで例示的なものであり、実際はこれに限定されない
- 法の下の平等は立法と行政、司法をすべて拘束する
この辺りのポイントは問われることもあるので、覚えておいて損はありません。
後はお馴染みの判例を答える問題が並びます。
過去の判例から変わった部分もあるので、しっかりと押さえるようにしましょう。
有名判例の紹介
ここでは、「法の下の平等」における有名な判例を紹介していきます。
選挙に関する判例は、だいぶ多いので以下のリンクにまとめました。
ここでは、特に出題されそうな基本的な内容を取り上げるので必ず頭に入れましょう。
尊属殺重罰規定違憲判決
この判例の内容は結構えげつないです。
記事ではざっくりとしか紹介しませんが、ある家庭内トラブルを抱えた娘さんが父親を殺害しました。
親は一般的に「尊属」と位置付けられますが、昔の刑法は尊属を殺害したら「死刑か無期懲役」の2択しかありませんでした。
そこで司法は「尊属」への殺害に関して、区別を付けるまではいいものの「死刑か無期懲役」に限るのはやりすぎだよねと違憲判決を下しました。
(※違憲とは、憲法に違反した改正すべき法律であると判断すること)
それから刑法は改正されるようになります。
今では、たとえ親を殺害しても死刑か無期懲役の2択に限定されることはありません。
殺人には変わりないため、もちろんやってはいけない行為です。ただ、世の中には一定数「毒親」に悩まされる子どももいます。
僕が知っている事件でも毒親が原因のケースは少なからずあるため、殺人をする前のケアが重要だなと日々思います。
大阪市売春取締条例事件
この事件は売春にかかる条例の内容が地域ごとで違うのはおかしいのでは?と争われた事例です。
しかし、憲法が地方自治体に条例を作成してもいいよと認めており、地域によって違いがあるケースも予期しています。
司法もそこを考慮して、違憲には当たらないと判断しました。
現在も、都道府県や市町村ごとで条例の内容は細かく異なります。
とりあえず、グレーだなと思う商売や行動は謹んだ方が賢明です。
サラリーマン税金訴訟事件
公務員受験現役の頃は、この事件の意味が分かりづらくて苦戦しました。
我々はお金を稼いだらその分「所得税」として税金を納めなければなりません。
所得税にもさまざまな種類がありますが、職業において以下の2つではシステムが異なります。
- 事業所得者(主に個人事業主)
- 給与所得者(主にサラリーマン)
ただ、かつては旧所得税法のこれらの職業における対応が差別的だと訴訟が起こされました。
その原因は、必要経費(交通費等)を税金から控除できるか否かにありました。
※事業所得者には必要経費の特別控除が認められていたが、給与所得者には認められていない。
しかし、司法はこの件が専門的かつ技術的な判断に委ねる以外ないとして、裁量を認めます。
旧所得税法の目的が正当であり、著しく不合理な点が明らかでなければ憲法14条に違反しないとしました。
そして、この事例もまた違法するものではないと判断されたのです。
この判例を勉強した当初は大学生だったので、いまいち税金にピンと来なかったのもあって理解が難しかったですね。
堀木訴訟
この事例は僕の公務員時代の業務にも関わる内容だったので、働いていた頃の方が頭に入っていました。
自治体から支給される手当のひとつに、児童扶養手当があります。こちらは、ひとり親に対して支給される助成金です。
令和4年4月以降は、第一子であれば最大で月43,070円支給されます。
ただし、障害年金や遺族年金をもらっている場合は全額を受け取れません。
今は差額分の支給が可能ですが、堀木訴訟が起こされた当時は併給自体が禁止でした。
結果的に、「障害年金受給者か否かで手当て対象者の判別をつけるのはおかしい」と争いに繋がります。
まあ理屈をいえば、障害年金を貰っている人はそちらを保障されているから児童扶養手当まで必要ないとされています
こうした考え方もあってか、司法も不合理な差別ではないとして結論を出しました。
日産自動車事件
「そういえばレバノンの状況は…」
いや、止めときましょう。笑
これは全く違う話です。
日産自動車の昔は男女ごとに定年年齢が違っていたようです。
- 男性→60歳
- 女性→55歳
この定年年齢が差別にあたるのではと訴訟問題に発展します。
司法の判断は不合理な差別にあたるとし、民法90条違反の判断を下しました。
まあ、今だと定年年齢も男女ともに伸びているんでしょうけど。
この辺が有名判例かなと思います。
- 尊属殺重罰規定違憲判決→違憲
- 大阪売春取締条例事件→違憲ではない
- サラリーマン税金訴訟→違憲ではない
- 堀木訴訟→違憲ではない
- 日産自動車事件→違憲
非嫡出子の相続分規定
では、最後に「非嫡出子の相続分規定」の判例だけまとめてみましょう。
こちらは、民法の相続にかかる規定で生じた問題です。
嫡出子の定義
皆さんは、以下の2つの違いを理解していますか?
- 嫡出子
- 非嫡出子
あまり聞き慣れないかもしれませんが、これらは次のように理解しましょう。
- 嫡出子→法律婚の男女から生まれた子
- 非嫡出子→婚姻関係にない男女から生まれた子
かつて、嫡出子か否かで相続分が大きく異なっていました。
非嫡出子の場合は、嫡出子の1/2しか相続が認められていませんでした。
つまり、兄弟のうち兄が嫡出子で弟が非嫡出子という複雑な関係である場合は、弟は兄の半分しか相続が貰えないこととなります。
そして、この規定を巡る争いが起こります。
平成7年の判例
この民法の規定は法の下の平等に反するということで争われましたが、平成7年時点ではこの規定が著しく非合理とはいえないとして、棄却されてしまいました。
僕が勉強していた頃は、この判例が更新されるかどうかの年だったので、当時はこの判決が正解でした。
大学生だった当時は、非常に理不尽な印象は受けましたね。
相続はあくまで子どもの権利であるのに、嫡出子かどうかで左右されてしまうんですから。
平成25年度の判例
しかし、その考え方にメスを入れたのが平成25年度の判例です。
これまでは憲法に違反しないと判断されましたが、平成25年の判例では「生まれた場所で相続分が変わるのは子どもにとってどうしようもできないだろ」と違憲判決を出しました。
古い問題集を使っていると、この辺りが更新されていない可能性もあるので注意してください。
おすすめのテキストと問題集はこちらです。
- 平成7年度判例→違憲ではない
- 平成25年度判例→違憲
まとめ
今回は、法の下の平等をテーマにあらゆる判例を紹介しました。
まずは、法の下の平等の裁判の基準をしっかりと押さえてください。
そこを把握できたら、さまざまな判例の結論を覚えます。
一番大切なことは、問題集を使った演習トレーニングです。試験本番を想定し、何度も繰り返し解きながらマスターしましょう。
ただし、判例は古くなるケースもあります。過去のものを使うのではなく、必ずアップデートした参考書を購入してください。