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思想良心の自由の判例!信教の自由もわかりやすく解説

どーも、やまとのです!

このブログでは、公務員試験で出題される科目を解説しています。

今回の内容は憲法に出てくる以下の分野です。

  • 思想良心の自由
  • 信教の自由

世界の歴史の中でも、非常に重視されています。日本ではどのように認められているかを知り、公務員試験に備えましょう。

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思想良心の自由とは

f:id:yamatono11:20210621182127j:image思想良心の自由は、我々の価値観や信念に大きな関わりを持ちます。憲法では、特定の思想を抱くことに対する自由を定めます。

では、どのような背景で日本にも思想良心の自由が認められたのでしょうか。歴史や条文の具体的な中身について説明します。

思想に関する歴史

これまでの歴史の中で、特定の思想を抱いていた人々が弾圧されるという事件がたくさんありました。

  • 大逆事件
  • 滝川事件
  • 天皇機関説事件など

場合によっては『死刑』にもなりました。このような風潮が広まれば、おのずと国家が人々の思想をコントロールするようになります。

このような社会を阻止するためにも、日本国憲法では国民が特定の思想を持つ自由を認めました。

思想良心の自由は干渉されない

思想良心の自由は「絶対的」とされ、内心に留まる限りは誰にも干渉されることがありません。

加えて、信教の自由も誰に対しても保障されています。この自由により、宗教上の行為(お祈りやお参り)などは誰にも強制されません。

両者の自由を説明する上で、政教分離の概念も欠かせません。政教分離とは、政治と宗教を一緒くたにしない考え方です。

国や国に付随する機関には、宗教教育が禁じられています。国民に対して、宗教的な活動を強制する取り組みも許されません。

一方で、宗教団体も国から特権を受けてはならないとされています。デリケートな内容にはなりますが、これまでも思想良心の自由と信教の自由に関して多くの判例がありました。

次にその判例を一通り紹介していきましょう。

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思想良心の自由の判例

はじめに、思想及び良心の自由に限定して判例を取り上げてみます。ここで習う判例は、いずれも重要なものばかりです。

本当は全部紹介しなければならないものの、今回は4つに限定して並べていきましょう。

  • 謝罪広告事件
  • 三菱樹脂事件
  • 麹町中学校内申書事件
  • 南九州税理士会政治献金事件

紹介し切れなかった判例は、後日改めて書いていければなと思います。さまざまな科目にわたって記事を作成しているため、もうしばらくお待ち下さい。

謝罪広告事件

謝罪広告事件は、衆院選である議員が誹謗中傷した経緯から始まります。裁判所は、誹謗中傷した方に対して『謝罪義務』を命じました。

議員は、「謝罪を強要するのは内心の自由に反する」と争います。

この件に関して最高裁は、単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度であれば、思想・良心の自由は侵害しないと判断しました。

三菱樹脂事件

これは三菱樹脂株式会社の採用試験で合格を果たした方が、学生運動の参加に関して虚偽の申告をしたとして採用を拒否された事件です。

企業が採用の拒否の際にその者の思想を考慮するのはどうなんだと争われました。

判例は企業が持つ雇用の自由も視野に入れて考えていきます。

最終的には企業が労働者の思想や信条を調査して、採用か否かを判断しても問題ないと結論を出しました。

麹町中学校内申書事件

思想にかかる運動をしまくっていた生徒が、内申書にその運動の内容を書かれて受験した高校を全て落とされてしまいました。

なかなかショックな出来事ですが、生徒側は負けじと国に賠償請求を求めます。(国家賠償請求訴訟)

最高裁は学校側が思想や信条をそのまま書いたわけではないことに目を向け、内申書は思想良心を侵害しないと判断しました。

南九州税理士会政治献金事件

政治献金事件というと『八幡製鉄株式会社政治献金事件』を思い出す方もいるでしょう。

ただ、南九州税理士会政治献金事件は結論が大きく異なります

税理士会は基本強制加入団体であり、脱退の自由が認められていません。加えて、最高裁は税理士会の政治献金が目的の範囲外の行為と判断しました。

したがって、寄付行為を義務付ける本件は違法とされています。

 

信教の自由の判例

次に『信教の自由』に関する判例をまとめていきましょう。

ここで紹介するのは以下の4つです。

  • 加持祈祷事件
  • 津地鎮祭事件
  • 愛媛玉串料訴訟
  • 箕面忠魂碑訴訟

結論部分さえ押さえればいいため、事件の経緯を捉えてください。

加持祈祷事件

この事件は細かく調べるとかなり残虐です^^;

ここでは経緯と結果だけを書いていきますね。

精神異常治療と称した加持祈祷の実態は単なる暴行同然でした。

結果的に被害者は死亡し、最高裁は著しく反社会的として信教の自由を逸脱したものと判断しました。

津地鎮祭事件

三重県の津市が市体育館を設置する際に地鎮祭を行って7633円のお金を支出したのが問題視された事件です。

政教分離原則に違反するのではと住民訴訟が提起されましたが、最高裁は以下のような結論を出します。

  • 本件起工式は宗教とかかわりを持つのは否定できない。
  • しかし、社会の一般的慣習であって宗教活動にはあたらない

愛媛玉串料訴訟

これは愛媛県が靖国神社に対してお祭りに使う玉串料を7万6000円ほど支給した事件です。

津地鎮祭事件と似ているような気もしますが、この事件では愛媛県の行為が違法と判断されました。

起工式とは異なって神社の玉串料奉納が社会的儀礼といえないことが要因と挙げられています。

箕面忠魂碑訴訟

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非宗教団体である遺族会が慰霊祭を忠魂碑前で行うにあたり、市長や教育長が公費を使ってその準備にあたらせました。

また似たような事例ではありますが、果たしてこの件はどのように結論を下されのでしょうか?

司法は遺族会が

  • 宗教を目的とした団体ではない
  • 小学校校舎の建て替えがもう一つの目的にあった

ことを考慮して宗教的活動にあたらないとしました。

他にも

  • 殉職自衛官合祀事件
  • 大阪地蔵像違憲訴訟
  • 空知太神社訴訟

といった公的機関と宗教の問題がありますが、どれも公的機関側に違法が見られないと判断しています。

 

まとめ

今回は

  • 『思想・良心の自由』
  • 『信教の自由』

についてまとめました。

ここで出てくる判例も例外ではなく超重要なのでしっかりと押さえてくださいね!

この記事でも強調していますが、公務員試験レベルであれば判例は結論を優先的に見ていきましょう!

後は内容をおおざっぱに把握すればイメージしやすいかなと思います。

紹介し切れなかった判例については、また別のタイミングでブログなりYouTubeなりで紹介できればなと思っています。