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選挙の原則。5つの原則と議員定数不均衡問題

どーも、やまとのです!

前回から公務員試験の憲法における選挙の範囲に突入しています!

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選挙は日本の政治において欠かせないものですが、漠然とした知識しか知らない方も多いでしょう。

本日は選挙の原則について紹介します。

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日本の選挙の方法

日本は選挙において『全国民』の代表である議員を決めます。

日本の選挙はさまざまなルールがありますが、その背景には選挙の原則があるのです。

では、『選挙の原則』について解説していきましょう。

普通選挙

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我々は18歳になったら選挙権を持ちます。年齢が到達すれば誰でも選挙に参加することが可能です。

しかし、昔は誰でも選挙に参加できるような制度ではありませんでした。

これを制限選挙といい、何と戦後直後まで一定額の税金を納めなければ選挙に参加できなかったのです。

また、年齢も戦前までは満25歳、戦後からは暫く満20歳、平成27年6月から満18歳と次第に引き下げられるようになりました。

平等選挙

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普通選挙とごっちゃになりやすいですが、これは選挙権が1人1票である旨を示した原則です。

我々は選びたい政党や議員は1つ(1人)のみとされています。アイドル総選挙のように1人何回も投票することはできません。

僕個人的には、年齢層の分布が違う中で1人1票を維持し続けると、高齢の方がより投票率が上がるので平等とは言えないんじゃないかという疑問を持っていますけどね(笑)

自由選挙

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さらに選挙は強制されるものではありません。

僕は毎回選挙へいきますが、行かなかったとしても罰則はないですし、本来は投票しないという自由も持ちます。

確かに、選挙に行かないのに文句を言うのもどうかとは思いますが、だからといって行かない人を人でなしのように叩くのもお門違いです。

なるべく行くべきだと僕も思いますが、行かない人を無理に責めることもしないように気をつけています。

秘密選挙

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また、誰がどの政党や議員に投票したのかを内緒にするという権利も我々選挙人は持ちます。

これが秘密選挙であり、憲法の15条4項に定められている規定です。選挙はどのように投票しようがその人の自由ですからね。

その自由を保障するためにも、かなり重要な定めとなります。

直接選挙

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この原則は国民が直接議員を選ぶというものです。その反対の概念の1つは、間接選挙といわれています。

間接選挙があまりピンと来ないかもしれませんが、これは国民が選挙人を選び、その選挙人がまた投票を開始します。

日本は直接選挙が基本ですが、唯一間接的に代表者を決めるものもありますよね?

それが総理大臣を選ぶときです。総理大臣を選ぶには、まず国民が選挙の投票で政党を決めます。

その後に当選した政党の国会議員が指名によって内閣総理大臣を選ぶのです。

これを内閣総理大臣指名選挙といいます。

では、ここでもう1つの直接選挙との対概念である複選制を紹介しましょう。

 

複選制とは

複選制とは、既に選ばれた公務員が選挙をする方法です。

これは準間接選挙ともいわれています。

間接選挙との違いは、国民から選ばれた公務員が選挙人としての地位を持つ効力の期間です。

間接選挙の場合は、選ばれた公務員が選挙に参加できるのは選挙が終了するまでとなります。

しかし、複選制であれば例え選挙が終わっても代表者を選ぶ権利は持続します。

複選制は1890年~1899年に府県会議員や郡会議員の選挙で用いられていました。

ただし、このやり方が維持されると国民の選挙の効力が薄れてしまうため、現在では憲法違反の制度です。

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問題集も併せて紹介します。

 

議員定数不均衡問題

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さて、ここで議員定数不均衡問題の話をしましょう。

この日本は二院制ということで

  • 衆議院
  • 参議院

の2パターンの選挙があります。

それぞれの選挙では、議員定数といって当選できる人数に上限が設けられています。

2020年の議員定数は
衆議院(465人)

  • 小選挙区(289人)
  • 比例代表(176人)

参議院(245人)

  • 大選挙区(147人)
  • 比例代表(98人)

ですね。

私が初めて議員定数を習った中学生の頃よりもかなり変わっています(笑)

国の選挙は各都道府県において当選される代表者の人数も違います。

なぜなら、各都道府県で人口が異なるために、なるべく国民1人1人の一票の価値を平等にしていかなければならないからです。

例えば、東京都と秋田県の人口は大体1310万人も違います。

  • 東京都(約1404万人)
  • 秋田県(約94万人)

それなのに同じ人数が当選するとなれば、東京都は1人の投票が反映され難く、逆に秋田県は反映されやすいといった不平等が生じますよね?

これまで、何度も衆参議員選挙において選挙が不平等ではないかと裁判されました。

その結果をそれぞれ紹介していきます。

衆院選

昭和51年4月14日(最大判)

これは議員定数の不均衡が争われた超有名な事例で、国会の裁量が合理性を有しているといえないような場合は違憲状態であると判旨しました。

一方で、選挙自体は無効としたものではありません。

引っ掛け問題で違憲判決に加えて選挙自体をも無効にしたみたいな選択肢が出されることもありますが、その場合は誤りなので気をつけましょう。

昭和60年7月17日(最大判)

この判例も先程のものと殆ど同じ結論です。

各選挙区における投票価値の較差が最大1:4.40まで開いた当該選挙に関しては期間内に是正する努力が見られなかったとして違憲と判断されます。

しかし、選挙自体は無効とはなりませんでした。

平成11年11月10日(最大判)

この選挙においては、投票の較差が1:2.3』にまで縮まりました。

結構頑張った方ではありますが、やはり2倍を超えてしまったために選挙の違法性が争われます。

最高裁は、議論の余地を残しながらも憲法に違反するとはいえないと判旨しました。

平成25年11月20日(最大判)

これまで較差が2倍以下に押さえるのが難しかったものの、平成24年度の選挙でようやく1:1.9』まで差が縮まるようになりました。

その理由は

  • 1人別枠方式の廃止
  • 衆議院の議席を5つ減らした

ことにあります。

1人別枠方式とは、衆議院選挙の総議席を単純に人口ごと配分するのではなく、まずは全選挙区に1つ議席を置いてから残りの議席を分けていく方法です。

これが較差を生む原因だと判断され、この選挙を機に廃止されました。

ただし、依然として較差は生じたのでそれを争われますが、合理的期間内に是正されなかったとは言えないとして憲法に違反しないと最高裁は結論付けます。

平成26年の衆院選にかかる判決もほぼ同じ結果です。

●参議院

昭和39年2月5日(最大判)

これは参議院選挙で議員定数が争われた初の事例とも言っていいケースですが(有名判例の中では)、どのように議員数を配分するかは国会の立法政策に委ねられるとして

『憲法にも違反しないし選挙も無効にはならない』

と判旨されました。

昭和58年4月27日(最大判)

このときも参議院議員の議員定数が不均衡だと争われます。

当該判例では、衆議院選挙と参議院選挙の性質は異なることに目を向けていきます。

衆議院は『全国を一律にして全国民の代表としての色合いを出す』

参議院は『都道府県ごとの背景を重んじて各地域の住民の意思を反映する』

このように最高裁は捉え、参議院は解散がない故に国民の意思を長期的に反映できることも考えて違憲にはならないと判旨しました。

平成8年9月11日(最大判)

参議院選挙でも一票の価値において較差が生じます。

何と1:6.59の較差が生じ、流石にこれは開きすぎなんじゃないかと思うかもしれませんが、

最高裁は
『投票価値に著しい不平等状態が生じたけど』
憲法に違反するものではない
と結論を下しました。

平成21年9月30日(最大判)

この時の選挙では、較差が1:4.84にまで縮まりました。

その努力を最高裁は考慮して、当該選挙も『憲法には違反しない』と判旨します。

ただ、今後はもう少し議員定数不均衡問題を検討しましょうとも添えています。

平成26年11月26日(最大判)

平成25年に行われた参議院選挙で、やはり一票の格差が原因で争われた事例です。

神奈川県選挙区の選挙人が訴えを起こしました。

実は平成24年10月17日にも東京都の選挙区の違法性について判決が出されましたが、その際は
違憲ではない
『でも、できる限り早めに不平等問題を解消しよう』
と注意が促されます。

この判決から約9ヶ月後の出来事ではありますが、そこで改正されなかったとしても国会の裁量の限界を超えたものではなく『憲法には違反しない』としました。

 

各判例の流れ

正直、これらの内容を網羅するのは公務員試験の憲法としては行き過ぎかもしれません。

それでもブログに書いた理由は、政治学で問われる可能性があるから」です。

政治学では日本の政治史ということで、議員定数不均衡問題の判例が割りと細かく出題される可能性もあります。

他にも、時事問題として問われる恐れも否定できません。

とはいえ、これらの判例を全て覚えるのはしんどいですよね?

ここでは、衆議院と参議院の議員定数不均衡問題の流れを押さえていきます。

衆議院の場合

衆議院選挙においては、初期の頃には

『憲法に違反するけど、選挙は無効にならない』

という判旨が続きます。

平成に入ると立法側の努力が次第に認められ、度々議論の余地を残しながらも違憲とはいえないというような判決が下されるようになりました。

参議院の場合

参議院の議員定数不均衡問題では、『最高裁の違憲判決がない』と押さえてしまっていいと思います。

少なくとも、公務員試験レベルでは確認した限りだと違憲判決を下した判例は見当たりませんでした。

衆議院と違って解散がなく、6年という任期が与えられるので少し判定が甘めになっています。

ただ、場合によっては注意を促した判例もあり、時が経過すると違憲判決を下される事例も今後は出てきそうですね。

違憲にならないためにも、立法側には頑張ってもらいましょう。

 

まとめ

今回は公務員試験に出題される憲法ということで、選挙の原則と判例を細かく見ていきました。

勉強する際には、憲法だけでなく政治学や時事問題の範囲にもなり得ることは押さえましょう。

また、選挙の原則は公務員試験でも非常に重要な範囲なので、自分の言葉で説明できるくらい勉強しておいて下さいね。

ご覧いただき、ありがとうございました!