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期待効用仮説の求め方|どう計算すればよいかをわかりやすく解説

公務員試験のミクロ経済学では、期待効用仮説の範囲も出題されます。ただし計算方法が複雑であり、短時間で解くのは比較的難しい分野です。

この記事では、公務員試験に一発合格した筆者が、期待効用仮説の求め方をわかりやすく解説します。ミクロ経済学を勉強されている方は、ぜひ参考にしてください。

 

期待効用仮説とは

期待効用とは、結果が不確実な状況において、意思決定をしたときの満足度です。経済学では、「期待」は「予測」を意味します。

つまり期待効用仮説は、意思決定をした結果が将来に判明するとき、人々はどこまで投資できるかを示した理論となります。定義が少し難しいため、具体例を用いながら見ていきましょう。

期待効用仮説の具体例

期待効用仮説が使われる例は、宝くじや保険の購入です。宝くじでは、一等賞を獲得できれば数億円のお金がもらえる場合もあります。

ただし当選する確率は低く、全く利益が得られないことも少なくありません。皆さんはリスクも承知のうえで、宝くじを買うかどうか判断するはずです。

保険に関しても、将来起こりうるリスクに備えて今のうちからお金を投じています。お金を払い続けているものの、事故や病気に遭わない方も多いでしょう。

しかし保険に加入していれば、大きい事故が発生した場合の備えとなります。期待効用仮説の考え方をわかっていると、宝くじや保険を買うべきかを判断できます。

期待効用の求め方

期待効用の求め方は、「確率×効用」です。基本的に確率は問題文に書かれていますが、効用は個人の所得から計算しなければなりません。そのため期待効用仮説の問題が出題されたときは、以下のように表で情報を整理しましょう。

所得 効用 確率 期待効用
h h^x 1  h^x 

このように表を作成すれば、期待効用仮説の問題は大体解けるようになります。

 

期待効用仮説の計算問題

期待効用仮説の例題を紹介します。ここでは基本的なやり方を学ぶべく、問題も簡単なものを用意しました。

◆問題◆
所持金5,000円を持つAが、宝くじを買おうか迷っている。
宝くじは20%の確率で所得が1万円になるが、80%の確率でr円分(宝くじの価格)失う。
Aは宝くじの価格がいくらまでなら購入するか。なお宝くじは一口のみの購入で、効用関数のXは所得を表している。
U=X(効用関数)

 

本番では平方根を使った問題も出てくるため、ケアレスミスはしないよう慎重に解きましょう。

問題の情報を表で整理する

まずは問題の情報について、表で整理しなければなりません。ここでは当たる場合と外れる場合の2つに分けて、まとめる必要があります。その結果が以下のとおりです。

所得 効用 確率 期待効用
10,000 10,000 0.2  2,000 
5,000-r 5,000-r 0.8  4,000-0.8r 

表の意味について、それぞれのパターンごとに見ていきましょう。

宝くじが当たった場合

宝くじが20%の確率で当たった場合、所持金は1万円になります。1万円がプラスされるわけではなく、あくまで所得そのものが1万円になるので間違えないように注意してください。

効用関数はU=X であるため、当たる場合の効用は10,000です。期待効用は「確率×効用」で求められることから、「0.2×10,000」で2,000と出せました。

宝くじが外れた場合

宝くじが外れる場合は、単純に所得から一口あたりの金額を引き算します。ただし宝くじの価格は明らかになっていないため、ここでは「5,000-r」と置きましょう。

外れる確率は80%であるため、期待効用を求める式は次のように表せます。

0.8×(5,000-r)

したがって期待効用は、4,000-0.8rです。

宝くじの価格を求める

宝くじの値段を求めるには、当たる場合と外れる場合の期待効用を足し合わせて計算する必要があります。それぞれの期待効用を足した結果が以下のとおりです。

2,000+4,000-0.8r=6,000-0.8r

宝くじを購入しなければ、Aの所持金は5000円のままです。つまり「6000-0.8r」が「5000円」よりも小さくなれば、Aは宝くじを購入します。

この関係を数式に表してみましょう。

6,000-0.8r≧5,000

0.8r≧1,000

r≦1,250

つまり宝くじの値段が1,250円までなら、Aは購入しようと考えるわけです。

 

期待効用仮説と危険

危険回避型と危険愛好型の違いをわかりやすく説明した図

期待効用仮説を勉強する際には、危険回避型と危険愛好型の意味も押さえないといけません。それぞれの定義は、次のように表せます。

  • 危険回避型:堅実な人
  • 危険愛好型:冒険したい人
  • 危険中立型:中間にあたる人

これらの用語についても、具体例を用いながら見ていきましょう。

危険回避型:堅実な人

危険回避型は、堅実な人を指します。ギャンブルを全く好まない人と考えれば、イメージしやすいでしょう。

危険回避型の場合、効用関数の指数が1よりも小さくなることを覚えてください。たとえば50%の確率で、所得が100になるパターンをイメージしてみましょう。

もし危険回避型の思考を持っていれば、効用関数は以下のように表せます。

U=X^{1/2}

指数を「1/2」と置きましたが、0より小さければ危険回避型に分類されます。ここでは計算が簡単になるため、「1/2」としてみました。以上を踏まえて計算してみましょう。

U=100^{1/2}=√100=10

期待効用=0.5×10=5

指数が1/2の場合は、基数を平方根の形にしたうえで求めます。この計算方法さえ知っておけば、実際に出題されても問題なく解答できるでしょう。

危険愛好型:冒険したい人

危険愛好型とは、冒険したい人のことです。ギャンブル好きであり、宝くじや保険を積極的に購入する人と覚えておくといいでしょう。

危険愛好型の効用関数は、指数が1より大きくなるのがポイントです。先程と同じく、50%の確率で所得が100になるパターンを見ていきます。効用関数は、以下のように作ってみました。

U=X^{2}

するとU=100^{2}の式が作れ、効用は10,000と求めることができました。したがって期待効用は10,000に0.5をかけて、5,000と算出できます。危険回避型よりも、期待効用が大きくなると判明しました。

危険中立型:中間にあたる人

危険中立型とは、危険回避型と危険愛好型の中間にあたる人です。効用関数を作るうえでは、指数が「1」となります。

U=X

50%の確率で所得が100になる例を出すと、期待効用は50と求められます。

 

期待効用仮説のまとめ

期待効用仮説の問題を解くときは、必ず余白に表を書くようにしましょう。計算方法が複雑に感じますが、表で整理すれば問題が解きやすくなります。

また期待効用仮説の範囲は、計算だけではなく知識が問われる可能性もあります。危険回避型・危険愛好型・危険中立型の関係をしっかりと押さえておきましょう。

公務員試験のミクロ経済学では、何度も問題を解いて慣れることが大切です。意味を深く理解できなくても、気にせずに問題を繰り返し解いてみてください。