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労働供給量の求め方について徹底解説!計算や意味も押さえよう

私たちが生きていくためには、仕事をしながら稼ぎを得なければなりません。社会に対してどの程度労働を提供するかを示す水準が労働供給量です。

今回は、公務員試験のミクロ経済学より労働供給量の求め方について解説します。

ミクロ経済学を勉強したばかりの方は、労働供給量の意味も分からないかもしれません。主な定義と計算する際のコツを詳しく紹介しましょう。

 

労働供給量とは

労働供給量の求め方を解説する前に、まずは言葉の意味や定義について解説します。

内容を説明できる状態にすれば、計算問題も解きやすくなるはずです。具体例も一緒に覚えてしまいましょう。

労働供給量=労働に使う時間

労働供給量は、一定期間で労働に使う時間のことです。例えば、1日(24時間)の生活状況を見比べましょう。

我々のルーティンは大きく分けて3パターンがあると思います。

  • 仕事(労働)
  • 私生活(家事や趣味など)
  • 睡眠

しかし、ミクロ経済学の分け方は基本的に2パターンです。

  • 労働
  • 余暇(私生活と睡眠)

労働供給量の多い人は、日々のルーティンのうち労働により時間を割きます。まずは、この特徴をしっかりと押さえてください。

労働供給量から影響を受けるもの

次に、労働供給力から影響を受けるものについて紹介します。単純に労働時間の変化により、何が上下するかを考えてみてください。

まず、多くの時間を労働に費やせば得られる所得(給料)が増えるはずです。アルバイトのような時給制で考えると分かりやすいでしょう。

時給1,000円の仕事を5時間する人と8時間する人とでは、後者の方が3,000円分儲かります。しかし、必ずしも多くの時間を働けば幸せになるとは限りません。

家事や子育てを両立している人は、余暇にも時間を割きたいはずです。

この要素から、労働供給量は効用(満足度)にも大きな影響を与えます。

所得だけではなく、効用の観点からも労働について考えることが大切です。それぞれの関係性を押さえれば、労働供給量を求める際にも役立ちます。

なお、労働供給量の話については筆者のYouTubeでも動画で説明しています。動画はより簡単な表現を用いて解説しているため、具体的にイメージしたい方へおすすめです。

youtu.be

  • 労働供給量は労働に使う期間
  • 労働と余暇の2パターンを想定する
  • 労働供給量は効用にも影響を与える

 

労働供給量の求め方

公務員試験で出題される労働供給量の求め方を解説します。内容自体は難しくないものの、計算ミスを引き起こしやすい分野です。

労働と余暇の関係性を押さえつつ、慎重に問題を解く冷静さが求められます。

所得と賃金率を使った求め方

最もオーソドックスな形が、所得や賃金率を使った求め方です。

ミクロ経済学では賃金率と表現しますが、単純に「賃金」と言い換えて問題ありません。

先程の時給制のように、1,000円の時給で8時間労働すれば8,000円の所得になります。

この関係性を式で表すと、所得=労働供給量×賃金率です。

つまり、労働供給量=所得÷賃金率と書き換えられます。

この方法が、労働供給量の求め方として出題される傾向の多いパターンです。

余暇を使った求め方

他にも、労働供給量は余暇を使った求め方もあります。公務員試験で出題されるパターンは次の2通りです。

  • 1日で見た場合
  • 1年間で見た場合

1日で見た場合は、24時間から余暇時間を差し引いて求めます。

一般的には、24時間−16時間(余暇)=8時間(労働)になるでしょう。

1年間で見た場合は、365日間のうちどのくらいの日数を労働に当てたかで判断します。この考え方に加え、効用関数を使った求め方が出題されやすいパターンのひとつです。

  • 労働供給量の求め方は大きく2つ
  • 労働供給量=所得÷賃金率
  • 24時間-余暇=労働供給量

 

 

労働供給量の練習問題

では、実際に労働供給量の計算問題を解いてみましょう。

今回は、合計で2つの問題を出そうと思います。公務員試験では、点数を取るために欠かせない内容のひとつです。

求め方が分からなかった方は、解説部分に注目してください。

練習問題①

労働供給量の練習問題1つ目の内容について記載した図

最初の問題は、以下のように条件が書かれています。

  • 実質賃金率は1
  • Lが余暇時間
  • Wが労働時間

労働時間を労働供給量と言い換えても問題ありません。

つまり、効用関数が最大となるときの労働供給量を求める問題です。

手順ごとに章としてまとめます。整理しながら解き進めてください。

所得(Y)を労働供給量に改める

まずは、所得を労働供給量に改めます。

ここで思い出してほしい計算方法が
Y=賃金率×労働供給量です。

賃金率は1をそのまま使い、労働供給量はW(問題によってはL)で表します。

すると、1×Wで所得(Y)=Wとなりました。

この条件をもとに、式へ代入してみてください。

余暇時間を労働時間に置き換える

続いて、余暇時間を全て労働時間の表記に直します。

今回は1日単位の労働供給量を算出するため、求め方は「24-W」です。

24時間-労働時間=余暇時間の関係性は絶対に覚えてください。

労働供給量を求める

紹介した条件を整理し、労働供給量(W)を求めます。ここまで計算できれば、後は簡単な数式を解くだけです。

労働供給量の難しいポイントは、賃金率や余暇時間、所得との関係性です。

ただし、いくつかの要点さえ押さえてしまえば簡単に正答できます。計算方法はこちらです。

U2YL+3L−3W^{2}
U2W(24−W)+3(24−W)−3W^{2}
U48W−2W^{2}+72−3W−3W^{2}
U−5W^{2}+45W+72
U'−10W+45
W4.5(4時間半)

問題を解くときは、しっかりと手順を覚えてしまいましょう。

こちらの内容も、YouTubeで動画として投稿しました。動画の方が分かりやすいかもと思ったら、ぜひこちらも参考にしてください。

youtu.be

練習問題②

労働供給量の練習問題2つ目の内容について記載した図

つづいて、2問目も解説します。上記の問題にチャレンジしてみてください。

ここで出題される効用関数は、先程の問題とは異なり「u=xy型(コブ=ダグラス型)」です。こちらの詳しい内容については、以下の記事にまとめてあります。

加えて、先程の問題にはなかった消費税が絡んでいます。「%」の文字を見るだけで計算が嫌になる方もいるでしょう。

ただし、「u=xy型」に関しては気にする必要がほとんどありません。そのあたりも踏まえ、問題を解説しようと思います。

所得と消費量の関係性を押さえる

まずは、所得と消費量の関係性について押さえましょう。ここでは所得を全てY財に消費すると仮定されています。

つまり「所得=Y財」の式が成り立つはずです。所得は「労働所得+非労働所得」で表せます。

さらに労働所得は労働供給量×賃金率でした。式に表すと5Wです。

非労働所得は30であるため、「5W+30」となります。X財は価格が1であり、「Y×1=Y」です。

「所得=Y財」は「5W+30=Y」と表せます。

効用関数に出てきたYを5W+30に直せば計算できます。

労働供給量で微分する

このような効用関数が出てきて、なおかつ「最大化」の文字があったら「微分」を使うと押さえてください。しかし、先程の問題にも出てきた文字の置き換えが必要です。

Y(消費量)のまま計算するのではなく、必ず求めたい労働供給量(W)に直しましょう。また、L(余暇)に関しては「24-W」と置き換えます。すると、以下の計算ができるはずです。

UYL
U(5W+30)(24−W)
U−5W^{2}+90W+720
U−10W+90
W9

後は、微分して最大化した場合の効用関数を作ります。ここまで計算した結果、答えは9時間と求められました。

u=xy型は消費税を無視してOK

効用関数が「u=xy型(コブ=ダグラス型)」の場合、消費税は無視してOKです。

念のため、理屈を紹介しましょう。消費税(10%)が入ると、労働供給量と賃金率を使った式が以下のように作れます。

Y×1.11.1Y(課税後)
5W+301.1Y

Y\dfrac{(5W+30)}{1.1}

先程とは違い、小数点が入った数字となりました。計算がややこしくなるものの、まずは効用関数に当てはめましょう。しかし、消費税の算出した部分は以下のような形に直せます。

U\dfrac{1}{1.1}(5W+30)(24−W)

効用を最大化するため、計算で用いる方法は微分です。

外に出した消費税の部分\dfrac{1}{1.1}は、結局微分により消えてしまいます。

そのため、答えは消費税ない場合と変わりません(9時間のまま)。

  • 所得=労働供給量×賃金率を押さえる
  • 労働供給量(1日)=24時間−余暇
  • u=xy型は消費税を無視してOK

 

まとめ

今回は労働供給量の求め方について解説しました。

労働供給量の意味や計算方法をしっかりと押さえてください。また、消費税を含めても答えは基本的に変わらないと覚えておきましょう。

ミクロ経済学ではやや複雑な範囲ですが、マスターすると公務員試験の合格に繋がりやすくなります。

  • 労働供給量の求め方を何度も練習
  • 言葉の意味を理解する
  • 消費税を含めた計算も練習する