公務員試験の憲法においても、出題されやすい範囲の一つが「衆議院の優越」です。
国会は衆議院と参議院で構成されていますが、それぞれの役割をしっかりと区別して押さえなければなりません。
前回は選挙の原則を中心に見ていきましたが、今回は衆議院の優越の覚え方と存在する理由を細かく見ていきましょう。
公務員試験の受験者に加え、選挙のために日本の国会の知識を押さえたい方におすすめの記事です。
なお、前回の内容についてまとめた記事が以下のとおりです。
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衆議院と参議院とは
我が国は主に法律を決める機関として国会を設けていますが、この機関は
- 衆議院
- 参議院
といった二院制を敷いています。それぞれの役割や仕組みを紹介しましょう。
衆議院の仕組み
衆議院は任期が4年となっており、以下の提案において参議院よりも強い権限を持ちます。
- 法律案
- 予算
- 条約
- 内閣総理大臣の指名
このように衆議院に強い権限を持たせる仕組みが「衆議院の優越」です。
この仕組みを設けている理由は、衆議院には解散があって任期も参議院と比べて短いためです。「国民の意見を反映しやすい」といえる機関であるため、優先的に重要な事項を決められる特権があります。
なお、衆議院議員になるためには「満25歳」であることが条件です。
参議院の仕組み
単純に国家を運営するだけであれば、衆議院のみでも問題ないように思えます。しかし、日本ではあえて参議院を設けることで二院制の体制を整えています。
その理由は、衆議院が暴走しないための抑えつけ係が必要だからです。
衆議院がトンデモ案を提示したら、参議院側はその案に対して審議できます。
特に
- 予算
- 条約
- 内閣総理大臣の指名
の場合は、衆議院と参議院の話し合い(両院協議会)で方向性を決めるよう義務付けられています(法律案であれば両院協議会は任意)。
参議院は任期が6年ですが、そのうち半数は3年でメンバーチェンジします。他にも、満30歳以上に被選挙権が与えられる部分も衆議院と異なるところです。
以上から、衆参議院の特徴をざっくりまとめると
- 衆議院は新鋭部隊
- 参議院は熟練戦士
といえるでしょう。
衆議院の優越とは?
では、続いて衆議院の優越を細かく見ていきましょう。
先程も書いた通り、
- 法律案の議決
- 予算の議決
- 条約
- 内閣総理大臣の指名
において衆議院の優越が認められています。
しかし、そのあり方も各々異なるのである程度深い内容まで知っておく必要はあります。
法律案の議決
国会のメインの仕事ともいえるのが法律案の議決です。
内閣が作った法律を公布・施行するのが国会の仕事で、それを決めるにあたって衆議院の優越が働きます。
具体的には、衆議院が議決した法律案を「国会が休会中を除いて60日以内に参議院が議決しない場合、衆議院は参議院の議決を否決したものとみなす」ことができます。
もし改めて可決する場合には出席議員の2/3が賛成すればOKです。
上でも書きましたが、両院協議会は任意なので必ず開かないといけない訳ではありません。
予算の議決
他にも、国会は内閣が提出した予算案を審議する権限があります。内閣は予算案を先に衆議院へ提出します(予算の先議権)。
衆議院がその予算案について議決したら、今度は参議院が議決するという制度になっているのです。
もし、参議院が異なる議決を下せば、両院協議会を開いて審議していかなければなりません。以下の条件に当てはまる場合は、衆議院の議決=国会の議決となります。
- 両院協議会を開いても意見が一致しない
- 参議院が国会休会中を除いて30日以内に議決しない
条約の承認
条約の承認については、「予算の議決」と殆ど変わらないと覚えておきましょう。
違うところといえば、条約の承認には先議権がないということですね。
予算の議決の特徴さえ押さえれば、条約の承認の内容も押さえたも同然です。
内閣総理大臣の指名
そもそも、内閣総理大臣は国会議員から国会の議決によって選ばれます。
前回も書きましたが、日本は直接選挙を謳いながらも内閣総理大臣の選び方においては間接選挙(見方や状況によっては複選制)の方法を採ります。
しかしながら、この内閣総理大臣の指名においても衆議院の優越が効果を発揮しているのです。
衆議院と参議院が異なる人を総理大臣に指名したら、両院協議会を必ず開きます。
それでも議決がまとまらなかったら「国会休会中を除いて10日以内に議決しない場合は衆議院の議決が優先」されます。
覚え方
公務員試験では
- 「〜日以内」
- 「両院協議会」
- 「出席議員2/3」
辺りで引っ掛けてきます。
覚え方として簡単なのは、例外を押さえることかなと思います。
まず「両院協議会が任意」なのは、法律案の議決のみです。(あくまで公務員試験レベルの話をしています。)
再可決する際に「出席議員の2/3の賛成」が必要なのも法律案の議決のみと捉えていいでしょう。(後は衆議院の議決がそのまま優先される。)
後は期間の覚え方ですが、
- 法律案の議決が60日以内
- 内閣総理大臣の指名が10日以内
ここだけ押さえたら他は30日以内です。
まずは「60日」「30日」「10日」の3パターンを覚えてそれぞれを各業務に当てはめていきましょう!
ちなみに
- 法律は社会の根幹になるのでじっくりと検討が必要
- 総理大臣は早めに選ばねばリーダーを欠いた状態が続いてしまう
といったざっくりとした理由も押さえるとより覚えやすいかもしれません。
衆議院の優越の内容を整理しよう
今回は公務員試験では割と頻繁に出題される『衆議院の優越』について見ていきました。
衆議院の優越が採用される理由は、衆議院の方が国民の意思を反映しやすいからです。
衆議院の優越を勉強する際には、以下に示したそれぞれの特徴を区別してください。
- 法律案の議決
- 予算の議決
- 条約
- 内閣総理大臣の指名
問題としても非常に作りやすいので、パターンをいろいろと変えて出題される可能性があります。
衆議院の優越の覚え方も紹介しましたが、1番は問題集をとにかく解き続けることです。
特徴も併せて勉強すれば怖くないので、逆に得点源とできるよう備えておきましょう!
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