公務員試験において、受験生の頭を悩ませる科目のひとつが民法でしょう。民法にはIとIIがあり、条文も1050条に渡るので範囲が膨大であるためです。
皆さんが避けたいと思う民法ですが、公務員試験の捨て科目にしても問題ないのでしょうか。ここではその答えと勉強法や対策も解説します。
民法を捨てるのはNG
結論から述べると、民法を丸々捨てるのは避けましょう。民法は国家一般職を中心に出題数が多く、丸々捨てると大量に得点を失う恐れがあることが原因として挙げられます。
確かに民法は勉強量が多く、受験者からするとストレスに感じる部分はあるかもしれません。一方で憲法や行政法とは異なり、身近な生活について規定しているので比較的イメージしやすい特徴もあります。
まずはイメージしやすい内容から勉強しつつ、最終的に頻出分野を中心に網羅できるとよいでしょう。
捨ててもよい場合
民法を捨て科目にするのは避けなければなりませんが、場合によっては捨ててよい部分も存在します。どうしても民法が理解できず、ほかの勉強に手が回らない人は参考にしてみてください。
市役所しか受けない受験生
一定数はいるかなと思いますが、市役所かつ教養科目しか受験しない人は民法を勉強しなくて問題ありません。民法は専門科目の分野であり、教養科目には出題されないためです。
むしろ教養科目しか受けないにもかかわらず、民法を勉強すると時間のムダになってしまいます。自分がどの試験を受けるのか、将来公務員としてどのような仕事をしたいのかを早いうちに考えてみてください。
親族・相続の内容は捨ててもよい
民法の中で特に重要な範囲は「総則」です。第一編の内容であり、主に制限行為能力者や意思表示、代理、時効などが該当します。いわば民法の基礎であり、この内容を勉強しないと物権や債権の内容も理解が難しくなります。
次いで物権および債権の内容もしっかりと目を通したほうがよいでしょう。特に不動産の取扱いや債務不履行の内容はきちんと勉強するのをおすすめします。
一方で親族や相続の内容は、比較的捨ててもよい分野といえます。国家公務員試験はまだ何問か出題される傾向はありますが、地方上級や市役所では出題されても1問程度しか見かけません。
実際私も公務員試験受験生の頃は、家族や相続は基本的な内容しか勉強していませんでした。相続分くらいは押さえてもよいと思いますが、そこを深追いしすぎるくらいなら総則・物権・債権の正答率を上げたいところです。
公務員試験の民法勉強法
最後に公務員試験の民法での勉強法を紹介します。ただしここで紹介するのはあくまで私が合うと思った方法です。この方法が必ずしも全員に合うとは限りません。
皆さんは独自の勉強法を編み出しつつ、参考にできそうなところは目を通してもらえると幸いです。
捨て分野をまずは作る
民法は範囲が膨大ですが、その全てが均等に出題されるわけではありません。ほとんど出題されない範囲もありますが、参考書には念のため紹介がなされています。
しかしその参考書にも基本的には「頻出度」が記載されているはずです。こちらを参考にどの範囲を勉強するか、優先順位を決めておきましょう。
オーソドックスなやり方は、頻出度Aクラス(星3つ)から始めることです。制限行為能力者や意思表示、時効あたりは基本的にA評価(星3つ)となっているはずです。公務員試験は民法以外にも勉強しないといけない科目が山程あるので、しっかりと取捨選択をしたうえで臨んでください。
問題集の答えから見る
民法を初めて勉強される人は、テキストよりも問題集の答えに目を通すとよいでしょう。恐らく問題を見てもほとんどの内容がわからないと思います(大学で講義を取っていない限り)。
ただ最初はその状態でも問題ありません。私自身も最初の方は正直あまり理解できていませんでした。しかし問題集を読んでみると、どういった内容で出題されるかを少しだけ掴めるようになります。
いきなり全てを理解しようとするのではなく、まずは全貌を何となくでよいので把握しておくことが大切です。
ノートの取り方には注意する
勉強するうえでノートを取りたいと思う人もいるでしょう。ノートを取ったほうがよいかどうかはその人の相性によると思います。自分のやりたいほうを選んで問題ありません。
しかしノートの取り方には注意が必要です。ただテキストの内容を書き写すだけでは、時間を有意義に使いにくくなります。
ノートを取るのは目的ではなく、理解力を深めるための「手段」のひとつです。言い換えれば理解さえできていればノートは必ずしも取る必要がありません。
私の場合はテキストに分からない言葉や説明が足りていない箇所を補う形でメモをしていました。何度も間違える問題があれば、その言葉や内容をノートに取っていくやり方も個人的にはおすすめです(あとで見返すことは前提になる)。
とはいえノートの使い方も人それぞれですので、やり方どうこうよりかは「ノートを取るを目的にしない」ことだけ押さえておきましょう。
インターネットも積極的に使う
「勉強中はスマホをシャットダウンしろ」とよく言われます。私はこの考えについて、半分賛成・半分反対の意見を持っています。
もちろんYouTubeで公務員試験の講義以外の動画を見ながら勉強するのは避けたほうが賢明です。個人的には音楽を聴きながら勉強するのもおすすめしません。少しの物音は意外と重要という考え方もありますが、YouTubeではなく図書館やコワーキングスペースを使うのが望ましいでしょう。
ただしテキストだけでは、どうしても説明し切れないところがあります。何を意味しているのか分からない箇所があったとき、それを調べるうえでインターネットが役立ちます。スマホで補足としての知識を調べ、テキストに自分で書き加えるのがおすすめです。
私のブログでも、今後も民法に関する記事をどんどん投稿します。定期的に修正(リライト)もしているので、ぜひ参考にしてみてください。
民法は公務員試験の合否を分ける?
公務員試験の民法は、0点だと不合格の可能性を高めてしまいます。そのため完全に捨てるのは個人的にはおすすめしません。
ただし民法は全部の設問を正解する必要もない科目です。7〜8割正答を目標にして、ほかの受験者と差を付けないようにしましょう。
同じ法律科目であれば、憲法や行政法のほうが得点源にできます。憲法条文も少なく制定してから変更が一切ない、行政法は狙われやすい法律や判例がある程度特定されているためです。
民法の点数があまり良くなくても、0点付近を取らない限りはほかの科目でも十分に挽回可能です。したがって全てを捨てるのではなく、せめて総則〜債権あたりで稼ぐのを目標にしましょう。