「やまとの」教室

【学ぶ・感じる・考える】

行政行為の取り消しと撤回の違いとは?

どーも、やまとのです。

 

前回は行政行為の瑕疵について勉強しました。

 

今回の内容は

  • 行政行為の取り消し
  • 行政行為の撤回

の2つです。

 

取り消しも撤回も似たような言葉じゃないか!

と思うかもしれませんが、この2つは全くの別物です。

 

順を追って解説していきましょう。

 

 

1.行政行為の取り消し

行政行為の取り消しとは、

「最初から瑕疵のあった行政行為の効果を失くす」

行為を指します。

 

例えば、自動車の普通免許を交付した場合。

 

交付の対象となる方が年齢を偽っていて、まだ16歳であることが判明したら本来その人は免許を貰えません。

 

このように、免許を交付した当時に瑕疵があったら、遡って免許の効力は無かったものとなります。

 

まあ、こんな大胆なことを今の世の中こなすのは難しいと思いますが、一応1つの例として押さえてください。

 

さらっと書きましたが、行政行為の取り消しは

行為がなされた当初に遡って効力を発揮し、

これを遡及効といいます。

 

ここで行政行為の取り消しにかかる基礎的な内容を画像にまとめてみました。

 

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2.行政行為の撤回

一方で、行政行為の撤回

「瑕疵のない行政行為を取り消すこと」です。

 

これも自動車免許を例に出して説明しましょう。

 

ある方に車の免許を渡しました。

年齢も確認済み、病気や障がいも問題なし。

全ての条件を確認し、講習や試験もクリアしました。

 

しかし、免許を交付したはいいものの、その1ヶ月後に他人の車を巻き込んだ大事故を起こし、免許取り消しの罰を受けました。

 

このときの免許取り消しの罰というものは、行政行為の撤回にあたります。(取り消しという言葉を使っているのでややこしいが)

 

行政行為の撤回は将来に向かってのみ効力を発揮します。将来効

 

そのため、免許を交付した当時から無効になるわけではありません。

 

年齢詐称の場合は、免許を持っていた期間も無免許運転と同様の扱いがされますが、この事例では免許取り消し喰らうまでの間は問題なく自動車を運転する権利は持っていたと主張できます。

 

同じように撤回も基本的な部分をまとめたので見てみてください。

 

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さて、ここから少し内容は深入りしていきます。

 

少しずつ専門的な用語が出てくるので、何とか分かりやすく説明していきましょう。

 

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3.両者の実務的な違い

とりあえず、最初に行政庁の関係性を勉強します。

 

この画像をご覧下さい。

 

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画像では、政令指定都市を例に出しました。

 

政令指定都市は『市』がさらに『区』で分けられています。

 

この『市』と『区』の関係がまさに上級庁及び下級庁に当たります。

 

市の上に県はありますが、これが上級庁にあたるかどうかは事業によりけりです。

 

僕は児童福祉課に勤務していましたが、仮に児童扶養手当等で行政不服申立てをした場合、最上級庁の県知事にするよう定められていましたね。

 

こうやって行政は上級庁又は下級庁の意思を伝達できるよう整備されています。

 

では、もし市役所・村町役場の仕事で瑕疵が見られた、もしくは瑕疵こそないものの進めていくのはマズいとなった時に上級庁である都道府県知事は取り消しや撤回は可能なのでしょうか?

 

正解は、

  • 取り消し→可能
  • 撤回→不可能

です。

 

ここは見事に分かれるのできちんと整理してください。

 

取り消しは本来持たせてはいけない力が持続しているので、処分庁が気付かない場合は上級庁が取り消して元の状態に戻すべきとされます。

 

一方で、撤回はあくまで処分庁側の都合の部分が大きいため、上級庁が勝手に操作できるとなると上からの恣意的判断に左右される危険性があります。

 

まあ、公務員試験では理屈まで問われないので、

  • 取り消し→上級庁も可能
  • 撤回→上級庁は不可能

この関係をまずは記憶してください。

 

また、撤回には

撤回自由の原則という力が働きます。

 

そのため、原則として法律の根拠無く処分庁は自由に撤回できます。

 

とはいえ、撤回のせいで住民に負担がかかることも考えられますよね?

 

その負担を補う、損失補償の対象にも撤回は当然なり得ます。

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加えて、行政行為の裁決がなされたら、

争訟手続きに委ねられるので撤回はできません。(撤回自由の例外ですね)

これは、行政不服審査法の内容なので詳しくはだいぶ後に話しますが、図解だけ載せておきましょうか。

 

〜争訟手続きの例〜

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最後に、撤回というものは行政手続法という法律に則ります。

 

※そういえば言い忘れていましたが、『行政法』はこの法律があるわけではなく、行政手続法や不服審査法、行政訴訟法などの行政にかかる法律を混ぜ合わせた概念ですからね。

 

撤回は不利益処分に該当するため、聴聞手続というものを取らないといけません。

 

聴聞手続とは、撤回をするとなったときに相手の方や利害関係人に意見を言う機会を与えることです。

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この辺も全て勉強して試験に出されても問題なく解けるよう用意しましょう。

 

 

4.まとめ

最後に公務員試験で問われる部分を取り上げてまとめていきます。

 

まず、取り消しと撤回について。

  • 取り消し瑕疵のある行政行為の効力を遡求的に失くすこと(遡及効)
  • 撤回瑕疵のない行政行為の効力を将来に向かって失くすこと(将来効)

 

  • 取り消しは上級庁も可能
  • 撤回は処分庁のみ

ここも押さえてくださいね。

 

さらに撤回について

  • 損失補償の対象になる
  • 裁決がなされたら撤回ができない
  • 不利益処分なので聴聞手続きの対象

これも非常に重要です。

 

他の内容も各自で勉強しましょう。

 

ご覧いただきありがとうございました!