FXは日本語で「外国為替証拠金取引」と表します。為替を利用して利益を得る投資スタイルです。
投資を始めたばかりの方は「なぜFXって変動するの?」と疑問に感じたこともあるでしょう。
この記事では、FXが変動する仕組みについて解説します。投資に勝つうえで重要な要素となるため、頭に入れておきましょう。
・ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析
FXの変動要因8つ
FXが変動する要因は合計で8つあります。ここまであるのかと驚いた方もいるでしょう。
FXはさまざまな要因で上下動するため、短期的に読むのは非常に難しい投資です。世界経済の仕組みも理解できるため、1つずつゆっくりと覚えてくださいね。
中長期的な変動要因
まずは、FXが変動する要因について中長期的な視点の要素を紹介します。いずれも、投資全般で重要な部分となります。
金融政策による要因
FXが変動する1番の要因は、各国の金融政策によるものです。
皆さんは円高と円安の違いを押さえていますか?
よく「不況が訪れると円安になる」と言う人がいますが全くの嘘です。これらは単なる2国間通貨の金利差でしかありません。
日本とアメリカを例に出しましょう。日本で金融緩和を行うと、一般的に円安へ動きやすくなります。金融緩和は金利を引き下げる政策であるためです。
反対に金融引き締めを行うと円高に振れやすくなります。
アメリカはコロナ対策で多額のお金を国民に支給したところ、急激なインフレが発生してしまいました。
対して日本では、コロナ禍の時期も変わらず金融緩和を維持します。
その結果2022年度は大きく円安方向に動き、2023年度でも影響が及んでいるわけです。このような金融政策の違いが、FXを動かす大きな要素となっています。
貿易収支による要因
貿易収支も、FXが変動する要因の一つです。例えば、日本がアメリカとの貿易で輸出量を増やしたとしましょう。この2国間での変化を考えた場合、アメリカは反対に輸入量が増えます。
アメリカに製品を売った場合、一般的には米ドルで支払いが行われます。日本は、その米ドルを日本円に換金しなければなりません。
すると円を買う量が増えるので、日本円の需要は高くなります。相対的に円の価値が米ドルよりも高くなり、円高に振れやすくなるのがFXを変動させる理由です。
物価変動による要因
物価とは、その名のとおり「モノ(商品)の価値」を示します。貨幣と商品を比べ、商品の価値が上がった場合は物価が上昇している状態です。つまりインフレーションが起こっています。
反対に商品の価値が下がっている状況がデフレーションです。物価の変動を測る指標として、CPI(消費者物価指数)やGDPデフレーターなどが使われます。
一般的に物価が上昇すると、貨幣の価値が下がります。つまり、他国の通貨より価値が下がる可能性も高くなる点から、通貨安を招くと考えられます。
最終的には、金融政策のパターンと同様です。二国間通貨の差から、FXの変動に繋がります。
なお、この見出しででてきたGDPデフレーターについては下記の記事をご覧ください。
短期的な変動要因
ここからは、短期的な変動要因をチェックしましょう。さまざまな要因がありますが、最低限としてここで紹介する要素は押さえてください。
為替介入による変動
まずは、為替介入による変動を解説します。為替介入とは、外国為替市場で通貨の売買を行う施策です。基本的には、為替の変動を安定させる目的があります。
日本も度重なる円安により、為替介入が行われました。円買いを実施し、相対的に円の価値を高めるように取り組みます。
こうした動きは、FXも急激に変動するため注意が必要です。株にはないロスカットによって、大損したトレーダーも一定数いるでしょう。
水面下で話が進むことから、為替介入の動きを読むのは簡単ではありません。レートの状況や政府の動きなど、総合的に見て判断しなければなりません。
紛争による変動
社会情勢が荒れているとはいえ、今のところ日本では平和な日が続いています。しかし、世界に目を向けると内戦が行われている地域もあります。
内戦が行われる国では、一般的に通貨の価値が下がるのが基本です。いつ暴落するか分からない点から、欲しがる人が大きく減ってしまうためです。結果的にFXが変動する要因にもなります。
大統領の発言による変動
大統領の発言が、FXにも大きな影響を与えます。特にトランプ氏が米国の大統領だった際には、メキシコに対する発言で為替も大きく動いていました。
日本だけではなく、海外の政治状況を分析するのは極めて大変でしょう。しかし、数多くの情報量を有することが、FXでリスクを防ぐコツの一つです。
指標の公表による変動
各国には、さまざまな経済指標が存在します。日本でも経済状況を多くの資料でまとめており、定期的に情報が公開されます。主な例が以下のとおりです。
- 消費者物価指数(CPI)
- 日銀短観
- 景気動向指数
- 有効求人倍率
- 経常収支
これらが公表されると、トレーダーも各自でさまざまな分析を行います。通貨も売買されやすくなり、結果として短期的な変動に繋がります。
テクニカルな要因
FXが変動する要因は、大きくいえば通貨の需要が変化するためです。通貨の需要が高まれば、通貨高の方向にレートが動きます。要するに、トレーダーの心理もFXを動かす欠かせない要素の一つです。
FXには、チャートから動きを捉えるテクニカル分析があります(詳しい内容は後述します)。こうしたトレーダーの行動が、為替にも少なからず影響を与えています。
FXの変動の捉え方
FXの変動を捉えるには、大きく分けて2つの分析方法があります。
- ファンダメンタルズ分析
- テクニカル分析
それぞれがどのように異なるのかを解説しましょう。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析とは、経済の状況を見ながら値動きを見定める方法です。上述したとおり、日本でも景気動向指数や経常収支といったさまざまな経済指標が存在します。
これらの良し悪しから、FXがどのように動くかをある程度は分析できます。
特に、FXの場合は他国の経済状況も大きな影響を与える投資スタイルです。日本だけではなく、他国の指標についても調べなければなりません。
この点からも、FXの取引は極めて難易度が高くなります。
テクニカル分析
テクニカル分析とは、FXの値動きを示したグラフであるチャートを使って分析する方法です。
例えば以下の画像を見てみてください。こちらはみんかぶより「英ポンド/日本円」の状況を示した図(5分)です。
2022年11月27日10時50分時点引用:為替レート|みんかぶ(株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド)
画像で白と黒で示されている四角形の記号は、ローソク足と呼ばれています。ローソク足は価格の変動を示したもので、大きく陽線(白)と陰線(黒)に分けられます。
陽線は価格が終値が始値よりも伸びている状態、陰線は反対に下がっている状態を示した線です。
さらにチャートでは、移動平均線によって一定期間の価格の平均値が分かります。みんかぶの場合は、それぞれ5日(緑)・20日(赤)・120日(青)を示しています。
ここで注目してほしいのが「午前9時以降における移動平均線の変化」です。短期を示す緑色のグラフが、赤色や青色よりもガクンと低くなっているのがわかります。
この状態をデットクロスと呼び、価格の下落に繋がりやすいと考えられています。
価格の下落と聞くと、一般的には取引を避けたくなるでしょう。しかし、反対にこのような状態のときに稼ぐ投資家も一定数います。
なぜなら、FXの場合は「売り」から取引することも可能であるためです。
デットクロスの動きを読み、あらかじめ英ポンドを売ります。もしそのまま価格が下落していったときに買い直せば、差額分が儲かる算段です。
しかし、デットクロスが見られたからといって必ずしも価格が下がるわけではありません。チャートでは「だまし」と呼ばれる誤った予測も数多く見られます。
今回紹介しているチャートは、あくまで「5分」という短期の動きを示したものです。「日」や「月」と長期的な動きも見つつ、総合的に判断しなければなりません。
FXの変動要因を覚えよう
今回は、FXが変動する要因について詳しく紹介しました。ここで紹介した8つの要素は、最低限しっかりと覚えてください。
- 金融政策(中長期)
- 貿易収支(中長期)
- 物価変動(中長期)
- 為替介入(短期)
- 紛争(短期)
- 大統領の発言(短期)
- 指標の公表(短期)
- テクニカル要素(短期)
あわせて「FXの変動をどのように分析するか」という視点で、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を簡単に解説しました。
投資においては、ここまでの内容は極めて基本的な部分です。まずは基本を押さえ、少しずつ専門的な部分も理解できるようにしましょう。