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今回は、公務員試験の中でも出題される行政指導について解説します。
我々の暮らしにおいて、行政が関与するケースは珍しくありません。ときには、営業活動に規制が加わるかもしれません。
しかし、行政指導を無視すると後々トラブルとなる可能性もあります。
ここでは、行政指導に従わないとどうなるのかを解説しましょう。
行政指導の定義
行政指導に従わない方がどうなるかを知る前に、この制度自体を押さえる必要があります。まずは、行政指導の種類を3つ紹介しましょう。
この区別は、行政法を使った資格試験でも出題されます。それぞれの内容をしっかりと理解してください。
行政指導は任意で処分性なし
行政指導は「行政手続法」に定められている行政活動の一環です。なお、行政手続法については以下の記事を参照してください。
行政指導は主に次の特徴を持ちます。
- 任意で行われる
- 処分性がない
このように「協力」する形で行われるケースが基本です。
しかし、目的として一定の目的を実現させる活動でなければなりません。
行政指導の3種類
行政指導には、大きく分けて3種類あります。
- 助成的行政指導
- 調整的行政指導
- 規則的行政指導
制度の内容を理解するためには、これらの種類を押さえるといいでしょう。
なお、行政指導の話は中小企業の経営に関するプロの存在も重要です。
興味がある方は、ぜひ中小企業診断士へお問い合わせください。
助成的行政指導=支援
まずは、行政が国民の生活を助けるパターンです。こちらは、助成的行政指導と呼ばれています。
主な具体例は、中小企業への経営指導です。経済産業省の中小企業庁は、経営の基礎知識を中心に指導を行っています。
あまり意識したことはないと思いますが、日本全体の経済を発展させるうえで欠かせない行政指導です。
調整的行政指導=仲介
調整的行政指導は、対立している国民や企業の仲介する行為です。
よくあるケースとして、建築業者と住民のトラブルが挙げられます。競馬場の設置に対して、住民側が「景観を乱すな!」と争うケースですね。
行政が双方の間に立ち、具体的な解決へと導きます。
規則的行政指導=協力
最後に、国民へ協力を求めるタイプの規則的行政指導があります。
規則的行政指導を巡っては、病院開設中止勧告事件が有名です。
このような勧告がなされたら、我々の生活が脅かされる恐れもあります。行政指導は、これまでも行政事件訴訟法で争われました。
本来は協力するのが術ではあるものの、従わない場合はどのような処置が採られるかを解説します。
従わないとどうなるの
では、行政指導に従わない方がどうなるかについて解説します。
何となく、指導を無視したら不利益な扱いをされるのではと恐怖に感じる方もいるでしょう。逮捕されるのではと心配する方もいるかもしれません。
この規定についても、行政手続法で具体的に示されています。
行政指導に従わない企業の扱い
行政指導に従わないからといって、行政側は不利益な扱いをしてはいけません。
行政手続法の第32条2項に規定があるからです。
行政手続法第32条2項
行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
とはいえ、行政側は従わない方に対して何も対策しないわけではありません。不利益な取扱いをしない範囲で、次の手を打ちます。
公表される可能性がある
行政指導に従わない場合、行政側があらかじめ「公表する」旨を掲げることもあります。
例えば、行政が特定のレストランで違法な食材を使っていたと聞き、立入調査に入ったとします。
その際に立入検査を拒んでしまうと、危険なレストランと警戒されるかもしれません。
規則に従い、店名を公表される恐れもあります。不利益な扱いこそされませんが、公表されたら営業にも支障をきたすはずです。
やましいことがなければ、調査に応じた方が望ましいでしょう。
逮捕される可能性について
行政指導はあくまで任意の調査です。そのため、1回行政指導を拒んだからといい、すぐに逮捕されるものではありません。
しかし、行政指導から行政処分に繋がるケースはあります。行政処分とは、国民の権力を奪ったり、義務を課したりする行為です。
行政処分と刑事処分は異なるため、仮に処分の対象になっても逮捕はできません。
一方で、刑事処分の対象になる場合は逮捕されるケースも考えられます。
いずれにせよ、行政指導は従わないために逮捕するのは逆に法律違反です。
やましい事実がない場合は、誠心誠意をもって対応した方が賢明です。
行政指導のまとめ
最後に行政指導の内容を簡単に振り返ります。
行政指導は任意かつ処分性のない活動です。そのため、あくまで「協力」する形で行われます。
とはいえ、指導に従わないと世間に公表される恐れもあります。
不利益な扱いをしてはならないとあるものの、公表はこの規定に該当しないからです。
やましい事実がなければ、素直に行政指導へ従いましょう。
仮に不利益な処分をされたと感じたら、不服申立てや抗告訴訟で争うのも1つの方法です。