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集会・結社の自由を解説!最高裁の判例と事件の内容を5種類紹介!

どーも、やまとのです!公務員試験の対策記事を今回も更新しましょう。前回は、憲法の表現の自由を解説しました。

本日は表現の自由の1つでもある集会・結社の自由を触れましょう。

公務員試験で押さえておきたい判例を5つ紹介するため、正答できるよう参考にしてみてください。

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集会・結社の自由

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まずは、集会と結社の意味を押さえなければなりません。集会は何となくわかるものの、結社は初めて聞いた方もいるでしょう。それぞれの意味について解説します。

集会は共通の目的のもと集まること

集会とは、「人々が政治や経済、宗教などのさまざまな共通の目的を持って一定の場所に集まること」です。

例えば、公園とか街中でデモ運動している人たちを見たことがあるでしょう。集会に参加している方々は集団といわれています。

心理学でもそうですが、基本的に学問上で集団を指す場合は共通の目的が必須条件です。

満員電車のように人々が集まるスポットはたくさんあるものの、学問上においては集団と呼びません。

集会の自由は、ただ単に集会を催すのを保障されるだけではなく、公の権力から制限されない自由も含まれます。同様に公から「集会しろ」と強制されない自由も同条で保障されています。

集会の自由のさまざまな判例については後述しましょう。

結社は共通の目的を持つ団体づくり

さらに結社の自由も出題されるかもしれないため紹介します。こちらは、「人々が政治や経済、宗教などのさまざまな共通の目的を持って継続的に結合すること」です。

「継続的に結合」の例にあたるものが、企業や組合です。

我々は目的に応じて自由に団体を立ち上げることができます。スポーツチームもまさに「結社」の1つですね。

表現の自由の一種として憲法に明記されています。さまざまな判例があるため、事件の内容と結論について紹介しましょう。

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集会・結社の自由にかかる判例

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ここで紹介する集会・結社の自由の判例は、次の4つです。

  • 皇居前広場事件
  • 東京都公安条例事件
  • 道交法の規制
  • 上尾市福祉会館事件
  • 泉佐野市民会館事件

高校や大学でも、一度も聞いたことがない方もいるでしょう。初めて習う方にもわかりやすく紹介するため、安心して読んでください。

皇居前広場事件

ある方がメーデー(労働者たちが権利を主張するイベント)をするため、国民公園である皇居外苑の使用許可を申請しました。しかし、申請は却下されていしまいます。そこで、不許可処分を取り消すよう裁判が起こされました。

結果は、不許可処分は憲法21条や28条(勤労者の団結権)に違反しないと判旨されます。

そもそも最高裁は、「皇居外苑の使用許可は管理している人間の単純な判断だけに委ねられているわけではない」と考えたためです。

管理権者である厚生労働大臣は、あくまで公共の財産である点を考慮しなければなりません。メーデーに参加する人が50万人を超える予定だったのもあり、公園の本来の利用に支障をきたすことも考えられました。

その点も踏まえ、最高裁も不許可処分は妥当だと判断します。

東京都公安条例事件

東京都公安条例事件も、集会・結社の自由の判例としては有名です。

東京都の公安条例は、集会に対して事前規制の措置をする旨規定していました。その規定が問題ではないかと争われますが、最高裁は公安条例を支持します(合憲)。法と社会秩序を守るには、やむを得ないと判断したからです。

似ている事件として、次の2つがあります。

  • 成田新法事件
  • 新潟県公安条例事

どちらも違憲にはあたらないと判旨されました。

道交法の規制

次に紹介する判例は、交通の安全を図るために集団行進を許可制としたことが問題となって争われた事例です。長崎県の道交法施行規則では、集団行進をする場合は自治体に申請するよう定めていました。

このようなルールは、憲法21条の表現の自由に関する違法な規制にあたるのでしょうか。答えは「憲法に違反しない」です。道交法の規制も「必要かつ合理的な制限」として認められます。

本来は、道路の目的に支障がなければ許可を拒む理由はないとされています。ただし、無条件で使用を認められるわけでもありません。

公共の福祉のために必要だと認められれば、申請を求めるルールづくりも可能です。長崎県道交法施行規則も、その観点で問題ないと判断されました。

上尾市福祉会館事件

労働組合の幹部が亡くなったことにより、ある人物が福祉会館で合同葬をしたいと申し出ました。合同葬とは、遺族と企業が合同で行う葬儀でかなりの大人数で亡くなった方を弔うことです。

福祉会館とは、簡単に説明すると「老人福祉センター」を指します。上尾市の福祉会館は合同葬による使用を拒否したため、国家賠償請求が起こされました。

上尾市の条例では、管理上の支障がある場合は公の施設の使用を断れるよう規定されています。

しかし、条例の規定に該当するケースは「警察の警備によっても混乱を抑えられないといった特別な事情」に限られると最高裁は判断しました。

以上から、このような事情があるとは認められないとし、当該不許可処分は違法だと結論を下します。

泉佐野市民会館試験

また、上尾市福祉会館とよく並べられるものが「泉佐野市民会館事件」の判例です。泉佐野市民会館での決起集会が企画され、同じく不許可処分を下されました。

市民会館の利用を不許可にする条件として、「単に危険な事態が起こる蓋然性(可能性)だけではなく、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要」と提示しました。

上記の理由により、泉佐野市民会館事件の判例では不許可処分が妥当と判旨されます。上尾市福祉会館事件とは結論が真逆ですが、2つ同時に覚えておきましょう。

まとめ

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今回は集会・結社の自由を中心とする判例について紹介しました。法律全般が独特なので勉強するのに苦戦を強いられるかと思います。

しかし、公務員試験はあくまで選択問題を正答すれば問題ありません。とりあえず正誤は判断できるように勉強を進めてください。

ここで、紹介した集会・結社の自由を最後にまとめます。

  • 皇居前広場事件→合憲
  • 東京都公安条例事件→合憲
  • 道交法の規制→合憲
  • 上尾市福祉会館事件→違憲
  • 泉佐野市民会館事件→合憲

今回の内容では、上尾市福祉会館事件のみ違憲でした。説明が理解できなかったら、最初に結論部分だけ押さえましょう。