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ピグー課税とは?外部不経済との関係をわかりやすく説明

企業と一般人が売買するうえで、特に重視されるのが需要と供給のバランスです。ミクロ経済学では、需要と供給だけで価格を決める市場を完全競争市場と表現しました。

しかし、実際の世の中はそこまで上手くいきません。外的要因によって、完全競争市場が成り立たなくなるケースはあります。

前回の記事では「外部不経済」について詳しく紹介しました。今回は、その続きとしてピグー課税と外部不経済の関係をわかりやすく説明します。

 

ピグー課税とは

ピグー課税とは、政府が外部不経済を起こしている企業に対して課税する施策のことです。

例えば、ある企業活動が公害を起こしたとしましょう。このままでは、市場全体の経済活動に悪影響を及ぼします。

そこで政府が企業に税を課します。生産活動を縮小させて、害の与える物質をこれ以上出さないようにするのが狙いです。

生産活動が縮小すれば、その分企業の生産量も下がります。企業の目線では一定のダメージがあるものの、社会全体で考えると公害の解決に近付けるでしょう。

なお、ここでは課税の話をしましたが、企業に対して補助金を支給する方法も同様の効果が得られます。補助金を使い、公害への対策を採らせる考え方です。

企業の生産活動を一部止める代わりに、補助金でカバーすると説明した方が分かりやすいと思います。

このように外部不経済については、政府の介入により社会全体の利益を向上させる取り組みが行われています。

 

 

ピグー課税と外部不経済

ピグー課税を学ぶうえで、特に押さえたいポイントが外部不経済との関係です。ここでは、図を用いながらどのような施策なのかをわかりやすく解説します。

前回の記事をチェックしつつ、ピグー課税の特徴を捉えてください。

外部不経済の作図

まずは、外部不経済の図についておさらいしましょう。外部不経済とは、公害などの理由により生産活動における社会全体のコストが上がった状態です。

本来であれば、企業は私的限界費用曲線に従ってコストを決定します。ただし、公害が発生している場合は余計にコストがかかってしまいます。

私的限界費用曲線の上に社会的限界費用曲線を引いて、余剰を求めるのが外部不経済の基本です。

政府がピグー課税をかけない場合は、生産量がX_0と考えます。すると、余剰と死荷重は次のように求まりました。

 

ピグー課税をかけた場合

政府が公害を起こしている企業に対し、課税した状態を考えましょう。

ピグー課税をかけた場合、生産量は私的限界費用曲線と需要曲線の交点ではなく、社会的限界費用曲線との交点で決まります。

政府が企業の生産活動を抑えるため、生産量はピグー課税をかけない場合よりも低くなることを押さえていください。

課税後の余剰を求める

また各余剰と死荷重の考え方もまた変わります。余剰は、X_1を基準に考えて生産者余剰と消費者余剰を以下のように求めます(青色の部分が該当)。

政府が課税しなかったときと比べれば、社会的余剰も小さくなったと思うかもしれません。

しかし、外部不経済では公害にかかるコストが発生しています。灰色で表した平行四辺形がそのコストに値し、結局は消えてなくなる部分です。

そのため政府の課税の有無にかかわらず、青色で示した三角形が最終的な余剰として残ります。

政府税収と損失

政府が税を課す行為は、企業のお金を国が税収として確保しているのと同じです。

社会全体で見た場合、ピグー課税は政府税収として国の利益に含まれます。しかし、政府はそのお金を遊びに使えるわけではありません。

あくまで外部不経済の影響を抑えるために、企業が納めたお金を使います。すなわち、課税された分は結局支出に消えてしまうのがポイントです。

政府税収は図の灰色の範囲にあたります。こちらは外部不経済の損失と相殺され、プラマイゼロになります。

死荷重はどうなるか

政府がピグー課税をかけない場合、余剰と一緒に発生していたのが死荷重です。ピグー課税をかけた場合、この部分はどのように変化するでしょうか。

結論を述べてしまえば、政府から課税されていると死荷重は発生しません。以下の図をご覧ください。

死荷重は社会的限界費用曲線(SMC)と需要曲線の交点を頂点とし、コストの幅によって求めることができました。一方で、課税すると生産量がX_1へ移動します。

すなわち、余分な費用が存在しない(最適な資源配分ができている)ので死荷重が発生しません。

外部不経済は、最適な資源配分ができないために「市場の失敗」などと呼ばれています。市場の失敗を克服するうえでは、政府による介入が欠かせないことを示した図です。

社会的余剰の増加分

こちらは、おまけのような内容になります。ごく当然のことを書きますが、一応押さえておくといいでしょう。

ここでは、ピグー課税前と課税後における社会的余剰の増加分を紹介します。

ピグー課税前は、社会的余剰に加えて死荷重が発生していました。死荷重は以下の図の赤色で示した範囲です。

一方で、ピグー課税後はこの赤色の範囲が全てなくなっています。社会的余剰は特に変化ありません。

つまり、政府が介入を行うと、社会的余剰は死荷重分だけ増えることが分かります。

実際の試験では、問われている内容が同じであるにもかかわらず、表現を少し変えているケースがあります。

テキストの文字をそのまま暗記するのではなく、しっかりの中身を理解するよう勉強してください。

 

まとめ

今回は、ピグー課税とともに外部不経済の解説をしました。市場の失敗は、ミクロ経済学でも極めて重要な分野です。後半の内容になりますが、勉強しておいて損はありません。

はじめは覚えるのが大変だと思いますが、理解してしまえばパズルのように解ける分野です。何度も問題を解きながら、外部不経済のメカニズムを捉えましょう。