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ストーカー規制法の改正|条文と問題点についてわかりやすく解説

2025年にストーカー規制法が改正され、より内容が厳しくなりました。しかし当該改正にも、まだまだ問題点があるのではと指摘されています。

この記事では、ストーカー規制法の改正内容をわかりやすく解説します。法律やニュースを勉強している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

ストーカー規制法とは

ストーカー規制法とは、恋愛目的でつきまとい行為をする人を処罰するための法律です。ストーカー規制法の始まりは、1999年に発生した桶川ストーカー事件でした。

桶川ストーカー事件は、当時女子大生だった方が元交際相手(ストーカー)と共犯者に殺害された事件です。ストーカーが社会問題となり、警察の対応も問題視されました。

この事件をきっかけに、日本ではストーカーに対する法整備が着々と進められるようになります。こうして2000年にストーカー規制法が整備されました

 

ストーカー規制法の改正の歴史

ストーカー規制法が整備されたものの、運用するうえで多くの問題点がありました。その問題を解決すべく、何度か法改正が実施されています。ここでは、ストーカー規制法の沿革を詳しく見ていきましょう。

2013年6月の改正

ストーカー規制法がはじめて改正された原因となったのは、逗子ストーカー殺人事件です。30代の女性が刃物で殺害され、犯人である40代の元交際相手は自殺しました。

この事件では、ストーカー規制法がメールの連続送信を規制の対象にしていませんでした。メールの内容も立件の対象ではないと警察に判断され、最終的に被害者の命が奪われる結果となっています。

ほかにも逗子ストーカー殺人事件では、警察や市役所が個人情報を漏洩したことも注目を集めました。こうした経緯があり、ストーカー規制法に「メールの連続送信の禁止」が盛り込まれます。




市役所や警察が情報漏らすなんてひどすぎる…

2016年12月の改正

2016年12月、ストーカー規制法に第二次改正がなされました。この改正のきっかけとなった原因は、同年5月に起こった小金井市ストーカー殺人未遂事件です

小金井市ストーカー殺人未遂事件とは、アイドル活動をしていた女性に対し、ファンがストーカー行為を繰り返した挙げ句、刺殺しようとした事件です。女性は命こそ奪われなかったものの、心身ともに大きな傷を負ってしまいました。

この事件では、SNSの執拗な投稿がメールと同一視されず、規制できなかった点が問題視されます。そのため2016年12月改正により、SNSも含めたあらゆる通信手段のストーカー行為を規制できるようになりました

2021年5月の改正

2021年5月の改正では、GPSを悪用する行為も処罰の対象となります。ストーカー事件の最高裁判決において、GPS機能を使って被害者を見張る行為が、ストーカーと認められなかったのがきっかけでした。

そこで2021年5月に法改正をして、見張り行為やGPSを取り付ける行為も、ストーカーにあたると認めます。こうして度重なる法改正により、ストーカー規制法が少しずつ厳しくなりました。

 

2025年のストーカー規制法改正

2025年11月、ストーカー規制法の改正案が閣議決定されました。今後は臨時国会に改正案が提出され、早期成立を目指す見込みです。2025年の改正案の内容についてわかりやすく説明します。

紛失防止タグの悪用禁止

2025年のストーカー規制法の改正で、注目を集めているのが紛失防止タグです。紛失防止タグとは小型のデバイスであり、貴重品に付けることで落としても場所を特定できる機能を持ちます。

しかしストーカー事件では、別れた夫が子どものおもちゃに紛失防止タグを装着し、どこに引っ越したかを特定する事案も出てきました。こうした影響を防ぐべく、悪用を禁じる規制が盛り込まれる見込みです。

申告なくして警告が可能

これまでのストーカー被害では、警察官が犯人に対して警告をするには、被害者からの申立てが必要でした。しかしこのルールだと初動が遅くなってしまい、万が一の事態を防ぎにくくなります。

こういった制度が仇となった事件が、2025年に報道された川崎ストーカー殺人事件です。当該事件では、被害者の申し立てがなかったため、警察側も犯人に対する警告ができませんでした。

その反省から、2025年の法改正では警察の職権でも警告を出せるようになる見込みです。とはいえ少し遅すぎる改正だったともいえます。

努力義務の対象拡充

ストーカー規制法の改正により、被害者を守るための努力義務を課す対象が、雇用主や学校長にも拡充される予定です。たとえば会社員がストーカー被害に遭った場合、その会社には安全管理が求められます。

一人で夜遅くまで残業させないようにしたり、必要な場合は異動も検討したりといった処置が必要です。警察だけではなく、社会全体でストーカー被害から守る法律に変わりつつあります。

探偵業者に対する規制

2025年の法改正案では、探偵業者への規制を盛り込まれました。探偵が加害者に対し、被害者の情報を漏らしたためにストーカー事件が起こった例も少なからずあるためです。

先程紹介した逗子ストーカー殺人事件も、興信所の情報漏洩が事件の要因の一つとなりました。具体的には警察が探偵業者に情報提供し、犯人から相談を受けても情報を漏らさないように防止します。

今回の改正に伴い、警察と連携をとる機関がさらに増えることが想定されます。

 

ストーカー規制法のまとめ

ストーカー規制法が成立・改正された背景には、さまざまな悲しい事件があります。国会や行政は対策を考えていますが、法律に抜け目があるのが実態です。

2025年の改正についても、内容自体は特に悪くありません。一方でもう少し早く、法整備できたのではないかと感じる方も少なからずいるはずです。

犯罪がなくならない以上、ストーカー事件をゼロにするのは難しいでしょう。だからこそ社会全体で早めに対処し、早期解決を目指す取り組みが大切です