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昭和女子大事件とは?判決の内容についてわかりやすく解説

行政書士試験の憲法において、よく出題される判例の一つが昭和女子大事件です。政治活動の自由について争われた事件として知られています。

この記事では行政書士試験に一発合格した筆者が、昭和女子大事件の概要と判決の内容をわかりやすく解説します。行政書士試験を受験される方は、ぜひ参考にしてください。

 

昭和女子大事件とは

昭和女子大事件とは、私立大学に通っている学生が政治活動に参加し、最終的に退学処分を受けた事件です。最高裁の判例が昭和49年であるため、ちょうど社会運動が頻発していた時期に発生しました。

行政書士試験の憲法では、三菱樹脂事件と同様に有名判例として押さえたい範囲の一つです。昭和女子大事件の具体的な内容について紹介します。なお三菱樹脂事件の詳しい内容に関しては、以下の記事を併せて参考にしてください。

 

昭和女子大事件の概要

私立大学の昭和女子大に通っていた学生Xは、学内で政治的暴力行為防止法反対の署名運動をしていました。しかし大学の許可なく政治団体に加入しようとしていたため、大学の規定に反すると自宅謹慎が言い渡されます。

大学側は自宅謹慎している学生に対し、保護者とともに行為を改めるよう説得していました。にもかかわらず態度は一向に変わらなかったため、最終的に大学は退学処分の判断をします。

退学処分となった学生は、その判断に対して納得がいきませんでした。そこで自身は変わらず私立大学の学生であると、身分確認の訴えを提起しました。

 

昭和女子大事件の判決の内容

結論から述べると、昭和女子大事件では大学側が勝訴しました。この結論に至った理由を詳しくみていきましょう。

大学の役割

大学とは、学生の教育と学術の研究の双方を目的とする公共的な施設です。この役割については、国公立大学も私立大学も変わりません。以上から大学には、学生を規律するといった包括的機能を持っているとされています。

また私立大学では、独自の校風および教育方針を定めて存在意義が確立されます。学生はこのような伝統を受け入れ、当該大学に入学しているのを決めているはずです。そのため学生は、大学独自の規律に従わないといけません。

大学の機能にも限界がある

大学は学生を規律する包括的機能があるものの、無制限に認められるわけではありません。その内容が、社会通念に照らして合理的と認められる範囲で是認されるべきと考えられています。

とはいえ学生のどのような行為が具体的に規制されるべきかは、各学校の伝統や校風にも左右されます。したがって、社会全体で画一的に決めることはできません。

学生の政治活動の自由

学生は働いているわけではありませんが、年齢でいえば社会人として行動できます。政治活動の自由は、社会人には当然認められるべき権利です。

ただし大学の学生という立場である以上、機関の目的の実現を損なわせるのは望ましくありません。学内での政治活動を放置したら、大学の環境を乱してしまう恐れがあります。

こうした事情を考慮すると、大学側が政治活動に対して何らかの規制を加えることは、肯定されるべきと判断しました。仮に学生の政治活動に広範な制限を及ぼしても、それだけで社会通念上不合理とはいえないと、最高裁は考えたわけです。

最終的なあてはめ

今回の昭和女子大の学内の規律には、学生の政治活動において許可制あるいは届出制を採用しています。署名活動に学生が参加し、それを放任するのは教育上好ましくないという教育方針を確立させるためです。

最高裁は、昭和女子大の規制は不合理なものでないと判決を出しました。ただし最高裁の見解としては、仮に学生の自由への制限が社会通念に照らして不合理であれば、認めることはできないと考えています。

 

昭和女子大事件のまとめ

三菱樹脂事件と同様に昭和女子大事件は、行政書士試験で絶対に押さえたい事件の一つです。ここでは、学生の政治活動の自由を大学の規定で制限できるかが争われました。

結論としては、昭和女子大事件では大学側が勝訴しました。大学が学生を規律する機能には限界があるものの、教育方針を確立させるうえで不合理な規制にはあたらないと考えたためです。

行政書士試験では、昭和女子大事件について判例の内容まで詳しく覚える必要はありません。ただし細かい内容を押さえておけば、