近年、日本で増えている詐欺の一つがロマンス詐欺です。騙されてしまうと、多額の金銭を奪われてしまう恐れがあります。
この記事では、FP資格を持っている筆者が、ロマンス詐欺に引っかかる人の特徴についてわかりやすく解説します。SNSを利用している方は、特に注意してください。
ロマンス詐欺とは

ロマンス詐欺とは、SNSやマッチングアプリなどを通じて付き合った相手から持ちかけられる投資詐欺の方法です。警察庁のデータによると、ここ数年で被害件数が飛躍的にアップしています。
SNSやマッチングアプリの普及に伴い、面識のない人と付き合うケースも増えました。このような出会いは否定しませんが、金銭トラブルにも発展しかねないので注意が必要です。
ロマンス詐欺の手口
ロマンス詐欺には、大きく分けて以下の手口を講じてきます。
- ターゲットとマッチングする
- 年数かけて信頼関係を築く
- 仮想通貨などの投資勧誘をする
- お金を持ち逃げする
騙されないように、それぞれの手口をしっかりと押さえてください。
ターゲットとマッチングする
詐欺師のプロフィールは精巧に作られているため、一目で見極めるのは困難です。しかし見方が分かれば、何となく怪しいかどうかを判断できるようになります。
プロフィールを見る際に気をつけてほしいのが、見栄を張っているような記載がないかをチェックすることです。出会い系アプリの場合、自分を高く見せるのは普通かもしれません。
しかし「ブランド品の写真」「モデル風の写真」「お金持ちアピール」がプロフィールにある場合は、警戒をしておいたほうが賢明です。
またこちらのプロフィールのアイコンを、「車」「ペット」にしていると話題作りに利用される可能性があります。詐欺師が近づきやすくなるため、プロフィールのアイコンも一度見直しましょう。
年数かけて信頼関係を築く
人によって異なりますが、年数をかけて信頼関係を築こうとする詐欺師もいます。はじめはSNSを使い、メッセージのやり取りをしていくのが主流です。
しかしそこからは、LINEや他のメッセージアプリに誘導しようとします。このようなメッセージが見られたら、安易に相手の口車に乗せられないよう注意しましょう。
仮想通貨などの投資勧誘をする
LINEやメッセージアプリに誘導したら、ターゲットに対して投資勧誘をしてきます。特に投資勧誘で使われやすいのが、仮想通貨です。
仮想通貨は、ビットコインやイーサリアムといったインターネットで取引されるデジタルコインを指します。草コインも含めると種類が豊富であり、仕組みを詳しく知らない人も数多くいるでしょう。
相手が無知であることに漬け込んで、「仮想通貨には夢がある」「リスクもあるがリターンも大きい」などと誘導してきます。つい流されてしまうと、多額のお金を奪われかねないため注意してください。
また「会社を立ち上げたい」などと話を持ちかけて、金銭を要求するケースも見られます。このような金銭の貸し借りにも、絶対に応じないようにしましょう。
こちらの記事では、投資詐欺の嘘をつくパターンに加え、仮想通貨の仕組みも併せて解説しています。投資勧誘を持ちかけられて困っている方は、ぜひ参考にしてください。
お金を持ち逃げする
詐欺師にお金を渡してしまうと、持ち逃げされて連絡も取れなくなってしまいます。LINEやメッセージアプリで催促しても、ブロックされているでしょう。
このようにお金を渡してしまったら、相手からの返金はあまり期待できません。したがってお金を渡すことなく、相手との関係を断つ必要があります。
ロマンス詐欺に引っかかる人とは
まず前提として、詐欺は誰しもが引っかかる可能性があります。そのため「自分が騙されるわけない」と油断してはいけません。
一方で、詐欺に引っかかる人の特徴もいくつか存在します。ここでは、その特徴について詳しく見ていきましょう。
日々の生活に孤独を感じている
詐欺に引っかかる人の特徴として、日々の生活に孤独を感じていることが挙げられます。学校を卒業し、社会人になると人とのつながりが少しずつ希薄になります。
仕事や結婚などとライフイベントがどんどん変化し、友人と疎遠になるケースも少なくありません。社会人になって出会いがなければ、孤独での生活が余儀なくされます。
何かしら出会いを求めて、SNSやマッチングアプリを使うと良からぬユーザーに引っかかりやすくなります。これらのツールを使うのは良いですが、マッチングする相手には十分注意しなければなりません。
警戒心が薄くなっている
「自分は詐欺に引っかからない」と思い込んでしまうと、警戒心が薄らいでいきます。いつ詐欺の被害に遭うかわからないので、絶対に油断してはいけません。
老若男女関係なく、詐欺は誰もが引っかかる恐れのある犯罪です。むしろ「自分も引っかかるかもしれない」と思っていたほうが、警戒心を強く持てるようになります。
自分は詐欺に引っかかるわけがないと思い込んでしまう現象を、心理学用語で正常バイアスと呼びます。被害者がよく陥りやすい心理現象であるため、自分が該当していないかを定期的に確認しましょう。
他人に頼られたい気持ちがある
ロマンス詐欺に引っかかる方には、「他人に頼られたい」という気持ちを持つことも少なくありません。皆さんも恋愛関係において、異性に良い格好を見せたいと思う方はいるでしょう。
しかし、こうした気持ちが強すぎると、財産をだまし取られてしまう可能性が高まります。「今月ピンチだからお金を貸してほしい」「この商品を買ってほしい」と頼まれても、簡単に応じないでください。
相手を過大評価してしまう
ロマンス詐欺において、引っかかるきっかけとなるのが相手のプロフィールです。「投資で1,000万円稼いだ」などと書かれており、外車やスーツ姿の写真が掲載されていると、成功者だと感じてしまうかもしれません。
しかしSNSのプロフィールは、簡単に自分を盛れてしまいます。写真に写っている札束は、単に消費者金融から借りてきたお金というケースも少なからずあります。
このように一部だけを見て、相手のすべてが魅力的に見えてしまう現象がハロー効果です。詐欺に引っかかる方は、こういった心理現象を抱きやすいので注意してください。
騙されたら引き返せなくなる
ロマンス詐欺の被害者の中には、「もしかすると騙されているかもしれない」と気づく方も一定数います。しかし一度騙されると、これまでの時間が無駄になるのではと考えてしまうものです。
そのため引き返せなくなり、時間とお金を詐欺師に奪われ続けるといった選択をしてしまいます。投資の世界でも、負け続けたらどこかで損切りをしなければなりません。
騙されたことに気づいたら、これまで費やした時間を無駄にしたとしても、さらなる被害を防ぐ選択をとりましょう。
ロマンス詐欺に遭わない対策
ロマンス詐欺は身近に潜んでいるため、誰もが騙されうる詐欺です。SNSやマッチングアプリを使おうと考えている方は、対策も講じておかないといけません。ここでは、具体的な対策について解説していきます。
お金の話は基本的に避ける
まず前提として、マッチングした相手とお金の話をしないようにしましょう。そもそも男女のマッチングは、今後結婚や恋愛関係に発展させるためのきっかけです。
大半の方が、父親が母親に対して投資の儲け話をするシーンを見たことがないはずです。普通の恋愛関係において、投資話をする時点でおかしいと気づきましょう。

そもそも恋人とお金の話をするのって楽しくないよね…

まあ人にもよるけど、僕も賛成かな!
個人情報を簡単に教えない
SNSやマッチングアプリでつながった相手に対し、個人情報を簡単に教えてはいけません。これから恋愛を成就させたいにもかかわらず、秘密ごとがあることを不自然に感じる方もいるでしょう。
しかし普通であれば、恋愛相手の住所や収入といった細かい情報を知っている方は少ないはずです。筆者も結婚していますが、相手の個人情報はあまり把握していません。
結婚している夫婦でも、個人情報は意外にも細かくは共有しないものです。必要以上に収入や資産を聞かれても、絶対に答えないようにしてください。
お金の貸し借りはしない
SNSやマッチングアプリでつながった相手に対し、簡単にお金の貸し借りをしてはいけません。どの相手に対しても、お金を貸した場合は絶対に返ってこないと覚えておきましょう。
たとえ相手が詐欺の容疑で捕まったところで、お金が返金されるかは別問題です。民事訴訟で勝訴しても、財産がほとんどなければ回収できなくなる恐れもあります。
お金の貸し借りに関するリスクは、以下の記事でも詳しく解説しています。相手にお金を貸す前に、しっかりと当記事にも目を通してください。
お金の貸し借りを口約束でするのはやめよう!法律の観点から解説 - 【資格の教室】ヤマトノ塾
ロマンス詐欺に遭ったら
ロマンス詐欺に遭ったら、これ以上の被害を防ぐための行動をしなければなりません。ここでは、引っかかったときにすべき行為を詳しく解説していきます。
これ以上は相手に連絡しない
ロマンス詐欺に遭っていると気づいたら、これ以上相手とは連絡してはいけません。引き続き連絡を取っていると、被害総額がどんどん大きくなってしまいます。
先程も説明したとおり、詐欺被害者は騙されたことを認めたくなくて、引き返さない傾向にあります。相手と連絡する中で、別のトラブルに巻き込まれる可能性もあるため、これ以上はやり取りしないほうが得策です。
また今までの連絡内容を画像に収め、証拠として残すことも大切です。警察に相談する際も、証拠を残しておけば話が前に進みやすくなります。
警察や消費者庁に相談する
もし被害が出てしまった場合は、すぐに警察へ電話してください。何か商品を買わされたときは、消費者庁に連絡するといった方法もあります。
ただし警察や消費者庁に連絡したところで、必ずしもだまし取られたお金が返ってくるとは限りません。むしろ泣き寝入りするケースも少なくないので、過度な期待はしないほうがよいでしょう。

身内や友人には相談しにくいけど、公的機関なら意外と相談できるもの!

アドバイスもくれるし、心のモヤモヤも晴れるから、誰かにきちんと打ち明けよう!
必要以上に自分を責めない
詐欺は、誰もが引っかかる可能性があります。筆者自身も別の種類の詐欺ですが、危うく引っかかりそうになったことがありました。
騙されたからといって、自分を責める必要はありません。詐欺師がすべて悪いため、必要以上に自分を責めないようにしましょう。
詐欺に引っかかると、数百万円の単位でお金がだまし取られることもあります。一度に多額のお金を盗られるショックはあるとはいえ、自ら命を投げる真似はしないでください。
ロマンス詐欺に関するまとめ
SNSやマッチングアプリが普及している現代、ロマンス詐欺は誰しもが引っかかりうる詐欺になりました。恋愛相手や結婚相手を探していただけなのに、犯罪に巻き込まれることも考えられます。
これらのツールを使うときは、詐欺師かどうかを見分けられる目が必要です。プロフィールの内容をしっかりと確認し、どこか怪しいところを発見したら近づかないようにしましょう。
また相手と仲良くなったとしても、簡単にお金や財産を渡してはいけません。一度盗られたお金は、絶対に返ってこないことを改めて押さえてください。