2025年10月まで、日本に住んでいる方は国勢調査に協力しなければなりません。中には回答が面倒で、拒否したいと考えている人もいるでしょう。
しかし国勢調査を無視すると、罰則が適用される可能性もあります。この記事では、地方公務員として勤務した経験のある筆者が、国勢調査について詳しく解説していきます。
国勢調査とは
国勢調査とは、各都道府県の人口規模や年齢層、性別といったデータを取るための調査です。静態統計の一種であり、日本では5年に1回のペースで実施されます。
国民の実態を調べるのであれば、わざわざ面倒な調査をしなくても、住民票の情報だけで十分だろうと感じる人もいるでしょう。しかし学生やさまざまな事情のある人が住民票を移していないなど、記録と実態に差異が見られるケースも少なくありません。
こうした住民票では得られないデータを取得すべく、定期的に国民調査をしなければならないのです。
得られたデータは災害対策や定住促進など、さまざまな行政活動に使われます。たとえ行政職員でも、個人が回答したデータを統計目的に使うことは許されません。個人情報は厳重に守られているため、SNSの投稿に惑わされないでください。
国勢調査は拒否できる?
結論から述べると、国勢調査は拒否できません。日本に住んでいるのであれば、国籍関係なく誰もが回答する義務があります。ここでは、国民調査と刑罰の関係について見ていきましょう。
国勢調査の無視は罰金刑
正当な理由がなく国民調査を無視した者は、50万円以下の罰金刑に処されます。統計法第61条にて規定されている条文です。
罰金刑であるため、万が一起訴された場合は前科が付いてしまいます。自然災害の影響で回答できないといった理由がなければ、必ず国勢調査に応じないといけません。
罰則が適用される可能性
SNSで調べていると、「国勢調査に協力しないで罰せられた人はほとんどいない」という投稿とよく見かけます。ただしこの投稿を鵜呑みにして、国勢調査を無視するのは危険です。
確かに2020年度の調査では、約18.7%の家庭が回答していないと統計に出ています。一方で回答しなかった家庭に、罰金刑が科せられたという報道はありませんでした。そのため罰則が適用される可能性は、低いのは間違いないでしょう。
しかし法律に罰則規定がある以上、いつでも検挙できる体制が整えられています。もしかすると今年度からは、厳格に処罰していくかもしれません。
法律として存在している以上、そのルールを守るのが絶対です。5年に1度だけの調査であるため、必ず協力するようにしてください。
国勢調査の進め方
国勢調査は面倒な作業がほとんどなく、約10分程度で簡単に回答できます。回答方法は、大きく「インターネット」「紙ベース」の2種類に分けられます。それぞれどのように回答し、提出すればいいかをまとめましょう。
インターネットでの回答
国勢調査の回答書は、自宅の郵便受けに入れられます。封筒を開封すれば、IDとパスワードの書かれた用紙も同封されているはずです。
その用紙を参照しつつ、国が指定しているページにログインしましょう。無事にログインできたら、画面の指示に従って回答するだけです。
インターネットはボタン一つで回答でき、スムーズに作業を進められます。国が制作している割には、操作もしやすいので便利です。
インターネットで一度提出しても、期限内であれば再度ログインして修正できます。再度ログインするうえでは、自分でパスワードを設定する必要があります(同封されているパスワードとは異なる)。
パスワードを忘れてしまうと、ページにログインできなくなってしまいます。一度設定したら、忘れないようにメモしておきましょう。
紙ベースでの回答
インターネット環境がなかったり、スマホ・パソコンを持っていなかったりする場合は、紙ベースでの回答も可能です。回答書が同封されているので、質問に従って記入しましょう。
紙の場合は、訪問した調査員に渡すか、郵送で市町村役場に送付して提出します。提出にもひと手間かかるため、個人的にはあまりおすすめしません。
インターネットですでに回答した方は、当然ながら紙での提出は不要です。回答した旨のデータが調査員に届くため、基本的には訪問もありません。万が一、訪問に来た場合は、余計な情報は言わずに「インターネットで回答した」旨を伝えましょう。
国勢調査を装った詐欺に注意

世の中には、国勢調査を装って悪徳なメールを送りつける悪い人もいます。このような詐欺に騙されると、多額のお金を失いかねないので注意が必要です。ここでは、国勢調査と書かれたメールが来たときの見破り方を紹介します。
そもそもメールで案内は来ない
国勢調査は、定形外の封筒を自宅に届ける形で案内されています。国や自治体が国民に対し、わざわざメールを送ることはありません。したがってメールが来た時点で、詐欺と認識するようにしましょう。
どうしても気になるのであれば、メールは開かずに市町村役場へ電話で問い合わせるのをおすすめします。そうすれば市町村役場からはメールを送っていないことが伝えられるでしょう。
メールのリンクは開かない
間違えてメールを開いたとしても、掲載されているリンクをタップしなければ問題ありません。すぐに戻り、メールを削除しましょう。
リンクを開いてしまうと、ウイルスを仕込まれたり、個人情報を聞き出すページに誘導されたりします。こうしたリスクを避けるためにも、安易にメールを開かないようにしてください。
なお国の用意している回答フォームは、IDとパスワードがないとログインできない仕様です。このような違いも押さえつつ、個人情報は詐欺業者へ渡さないようにしましょう。
「記念品」という言葉に要注意
そもそもメールで国勢調査の連絡を来ること自体があり得ませんが、文面に「記念品をプレゼント」などと書かれている場合もあります。このような文言も、詐欺師がよく使うキーワードであるため注意してください。
国勢調査は回答をしても、自治体から記念品が贈呈されることはありません。「記念品」と書かれていたら、間違いなく詐欺であると覚えておきましょう。
偽調査員が訪問に来ることも
国勢調査において、調査員が訪問に来るケースもあります。しかし調査員を装った不審者が来ることもあるため、本物かどうかを入念にチェックしなければなりません。
相手が本物の調査員かを確認する際には、調査員証を提示してもらいましょう。調査員は調査員証を携帯しないといけないため、出せなかった場合はすぐに偽物と見抜けます。
しかし手の込んだ詐欺師であれば、調査員証を偽造しているケースも考えられます。調査員から個人情報を聞くことはないため、誰が相手でも銀行の暗証番号やクレジットカードの情報は絶対に教えてはいけません。
国勢調査は絶対に無視しないで
国勢調査のやり方に批判している人々が、「絶対に無視する」などとSNSで投稿する様子がよく見受けられます。しかし記事でも説明したとおり、国勢調査を意図的に無視する行為は統計法で禁じられています。
実際に処罰されるかどうかは関係ありません。このような主張は、「警察にバレなければ飲酒運転してもいい」と言っているのと同じです。
たとえ処罰されなかったとしても、国勢調査を無視する行為が違法であることには変わりません。行政において重要な調査となるので、時間を作って必ず回答してください。