どーも、やまとのです。
このニュースも少し前のものになるのですが、あまり取り上げられなかったので今回触れてみたいなと思います。
将来を見込まれる中学生。
活気盛んですが、少し難しいお年頃になります。
今日はこの中学生ととある老人の間で起こった訴訟について紹介していきます。
当該事件はこちらのサイトで見れますので、まだ見ていない方はご確認ください。
1.事故概要
今回の事故は2017年9月に起こりました。
歩道を女子中学生が歩いていたら、前に4人くらいの中学生の集団が横に広がって歩いていました。
その生徒を追い抜こうとした際に前方から歩いてきた老人と衝突。
老人は両手に荷物を持っていたため、そのまま転んで腰の骨を折るという重症を負いました。
この事故で老人と女子中学生の間で民事訴訟が起こされます。
その結果、女子中学生側に賠償金790万円の支払命令といった判決が出されました。
この事故や訴訟をあなたならどのように受け止めますか?
では、ここからは訴訟におけるさまざまなポイントを解説していきます。
2.当該訴訟のポイント
まず、押さえなければならないのが女子中学生による故意や過失についてです。
故意は『わざと』
過失は『不注意』
を指します。
故意に関しては、ニュース記事で弁護士も解説していますが、賠償額の請求において『故意』が無いから免除になるという考え方は基本的にありません。
つまり、故意がなかったとしても相手の損害賠償請求が全て認容される可能性は大いにあり得ます。
では、過失についてはどうでしょうか?
過失は原告と被告にそれぞれどのくらいの割合で課されるかがカギとなります。
交通事故もそうですが、僕が今まで見たケースで割合が10:0になるのは余程被告側に重い過失がある場合でした。
今回の事例では、当初約1150万円の損害賠償を請求していたようですが、骨折には骨粗しょう症の影響もあるとして790万円に減額されました。
790万円という金額も大きいですが、損害賠償額には年5%という利息分も払わなければなりません。(2020年改正民法では3%ですが、この件は2017年に起こっているので5%です。)
790万円に加えて
利息分の約158万円(790万円✖️5%✖️約4年分(2017年〜2021年)があるので
合計約948万円は支払わなければならなくなります。
家計的にも大きな打撃となってしまうので、とりあえず被告側が打つ手は控訴でしょうね。
上手くいけば賠償額の減額若しくは免除に繋がる可能性もゼロではないです。
3.個人的な見解
僕はあくまでニュースの記事でしか一部始終を判断するしかありません。
その中で判断すれば、今回の判決は被告にとってだいぶ重かったのではないかなと感じました。
やはり、
- 両手を塞ぐ荷物を持っていた状態で登校時間に通学路を通る
- 当該中学生は追い越す際に歩くスピードを急には変えていないとの証言
- 前方に横に広がって歩く生徒がいた
- それらの生徒を責任に問わないのであれば避けようとした2人の注意義務は五分五分じゃないか?
これらの点を考慮すると、被告に全責任があるとは到底いえないと思います。
確かに被告も注意が必要だったことは否めませんが、不運な点が重なり過ぎてこの多額な金額を子どもに背負わせるのも可哀想な気はしますね。
今回、歩道の幅が2.2mしか無かったとのことですが、道路と歩道は明確に区別がついていたのでしょうか?
もし、明確に区別がついている場合であれば道交法の歩行者右側通行の規定は適用されないはずです。
道交法が定める徒歩による右側通行はあくまで『道路と歩道の区分が明確でない場合』
そうなれば右側通行云々についてはこの件では論点となりません。
そこを総合的に判断しても、少し今回の裁判は原告側に偏っているかなと感じるのが僕の感覚です。
確かに高齢者の方にとって『骨折』は僕が想像する以上に重いものですが。(一応、100歳近くなる曽祖母もいますからね。)
今後、被告が外に出られないといったPTSDを抱えないかが僕的には心配になります。
しっかりと控訴して、ぜひ判決を見直してもらえる機会を設けてほしいなと思います。
実は以前も東京地裁で歩行者同士の事故によって賠償命令780万円が命じられたものの、控訴審によって賠償命令なしとする逆転判決が下されたケースもありました。
(参考判例)平成18年10月8日判決東京高等裁判所とのことですが、全文は見当たりませんでした。
参考URLとしてこちらを掲載させていただきます。
このケースと全く同じではないものの、控訴をすれば新たな切り口が見つかって訴訟を見直してもらえるかもしれません。
僕も趣味でジョギングやウォーキングをすることがありますが、これまで以上に気をつけないといけないなと感じました。
また、ここまで裁判が行われるようになると保険業界はさらに儲かりそうですね。
個人賠償保険は改めて検討してみるのもいいかもしれません。
4.学校教育の意外な重要性
この件に関しては家庭教育ももちろんそうですが、学校教育の基本中の基本が大きく響く事故になったような気がします。
皆さんも一度は聞いたことがあるフレーズ
『廊下は走らない』
これはもっと重く捉えるべきかもしれません。
学校で友達とぶつかってもこういった訴訟問題に繋がる可能性も十分あります。
今回、僕個人的な意見は被告に同情するものですが、結局判決を下すのは裁判長です。
上訴審で訴えが棄却されてしまったら、地裁の判決が最終結果となってしまいます。
最後に、小学生のお子さんでも理解できるような法律の勉強本について紹介します。
イラストを使って分かりやすく書いているのでおすすめです!
明日は我が身。
僕自身もそうですが、外に出るときは必要以上の注意が必要です。