どーも、やまとのです!
前回は議院の権能ということで
- 議院自律権
について勉強していきました。
今回も議院の権能の1つである
- 国政調査権
を見ていきましょう。
公務員試験でも狙われやすいので、しっかりと勉強をしておく必要があります。
国政調査権とは
国セイ調査って市町村とかの人口を調べる調査だっけ?
残念!それは国勢調査だね。国政調査権は衆議院と参議院が国の政治を調査できる権利のことだよ!
国勢調査と国政調査権は名前が似ているものの、全く異なる制度です。
衆議院と参議院はそれぞれ政治について調査を行うことができます。
その方法として
- 証人の出頭
- 証言
- 記録の提出
の要求が憲法では定められています。
憲法第62条
両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
一方で判例では、
- 住居侵入
- 捜索
- 押収
- 逮捕
といった実力行使による国政の調査は許されないと判旨しました。
三権分立との関係や限界
国政調査権は国会の権限として認められているものですが、行政や司法との関係でその活動も制限される場合があります。
つまり、他の権力との兼ね合いでは、国政調査権にも限界が生じるのです。それぞれの権力と国政調査権の限界について見ていきましょう。
司法と国政調査権
はじめに司法と国政調査権との関係を解説します。
議院は立法や予算に関することであれば、司法の判決及び裁判手続きに対する調査が可能です。
しかし、司法権の独立を乱すような調査は許されません。
具体例を挙げれば、とある事件に関する判決の事実認定や量刑が適当かどうかを国政調査権で調べるのはアウトです。
これは判決が確定した後も禁止されています。
他方で現在審理されている事件を調査する際に、裁判所とは『異なる目的』で並行するのであれば特に問題ありません。
あくまで目的が異なるという部分が条件になるので注意して下さいね。
下記にその他の条件も踏まえてまとめておくので確認しましょう。
行政と国政調査権
国政調査権は行政機関に属する公務員も対象となります。
検察官は内閣の職員の1つなので、検察事務に関する国政調査は可能です。
しかし、検察官も裁判と密接な関係にある職業なので(準司法的作用という)、司法権の独立を阻害するような調査はできません。
そのため、
- 起訴や不起訴に関する調査
- 捜査に支障が出る調査
は違法となり得ます。
国政調査権の法的性格
最後に国政調査権の法的性格を勉強していきます。
憲法では法的性格を問題にされることもあるので、きちんと類型を押さえていきましょう。
国政調査権の法的性格は
- 独立権能説
- 補助的権能説
の2つがあります。
法的性格は何が何だか・・・。
それぞれの特徴がどう違うのかをしっかりと区別していこうね!
独立権能説
これは、国政調査権が国権を統括するための衆参議院に認められた独立の権能とする説です。
理由として、国会は国の最高機関(どの機関よりも上位にある)であって国政を調整する役割を担う方が望ましいという点を挙げています。
理由に挙げられる考え方は「統括機関説」といわれるものですね。
ただ、学説上は国会が国権を統括するような考えを採用していないので、批判も多い説となっています。
補助的権能説
こちらは、国政調査権が議院に与えられた機能を実効的に行使するための補助的な権能だとする説です。
国会はあくまで国政の中心的役割を担うだけで、行政や司法よりも位が上というわけではないという『政治的美称説』の立場を採っています。
補助的権能説では、国政調査の範囲が狭くなってしまうという批判があたります。
補助的権能説が優勢かと思いきや、とある事件では独立権能説の方が採用されるなどと未だに2つの説で争われているようですね。
まとめ
今回は国政調査権をテーマに公務員試験の憲法対策をしてみました。
国政調査権を勉強する際には以下の要点をまとめておきましょう。
ご覧いただき、ありがとうございました!