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株主平等の原則とは?内容・効果・限界をわかりやすく解説

行政書士試験の会社法において、基本的な内容となるのが株主平等の原則です。株式会社と株主の関係を示した原則であり、日本の会社で重視されている理念といえます。

この記事では、株主平等の原則についてわかりやすく解説します。内容・効果・限界についてまとめるので、行政書士試験を受験される方はぜひ参考にしてください。

 

株主平等の原則とは

株主平等の原則とは、株式会社は株主を株式の数、内容に応じて平等に取り扱うべきとする考え方です。会社法第109条に詳しいルールが定められています*1。ここでは、株主平等の原則について詳しく説明します。

株主平等の原則の目的

株主平等の原則を採用している目的の一つは、株主全員を保護するためです。たとえばは発行済株式総数の過半数の株式を持っているA、過半数以下の株式しか持っていないBの2人がいました。

この場合はBにも、株式の取引が認められるほか、議決権を行使できます。日本の会社法上では、少数株主を一方的に排除することは認められません。

ただし日本には、株主優待制度が適用されています。株主優待制度は、一定数の株式を有する株主を優遇する制度です。株主間に優劣がついてしまい、株主平等の原則にそぐわないという見方もあります。

株主平等の原則の内容

株主平等の原則は、大きく2種類のケースに分けられます。

平等の原則 定義
内容の平等 内容を等しくする
取扱いの平等 内容が同じあれば平等に取扱われる

ただし日本には、種類株式発行会社が存在します。種類株式とは、普通株式と剰余金の配当や内容が異なる株式のことです。

つまり内容の異なる株式を発行できる以上、内容の平等が完全に適用されるわけではありません。したがって株主平等の原則は、一般的に「同一の取扱い」のみを指しているといえます。

株主平等の原則の効果

株主平等の原則は、会社法全体における基本的な概念となります。したがって会社が独自に定款を作成したとしても、この原則を破ることはできません

会社が善意(株主平等の原則を破ることを知らなかった)だとしても、このような定款は無効と判断されます。ただし株主が承認したなどの特別な事情があれば、例外的に認められる場合もあります。

 

非公開会社と公開会社の扱い

株主平等の原則の扱いは、公開会社か非公開会社かによって異なります。それぞれの会社の定義に加え、どのように扱いが変わるかについて見ていきましょう。

非公開会社と株主平等の原則

非公開会社とは、株式の全部について譲渡を制限している会社のことです。言い換えれば、株式を自由に売買できない会社を指します。日本は、大半の企業が非公開会社と言われています。

非公開会社の場合、特定の株主の2個以上の株を与えたり、剰余金を特別に配当したりすることも可能です。定款の定めがあれば、内容の異なる種類株式を発行したとみなされます。

公開会社と株主平等の原則

公開会社とは、株式を自由に売買できる会社のことです。皆さんも株の取引をしていれば、証券口座を開設するでしょう。

このように証券取引所を通じて、株式を売買する資格が得られるのを上場と呼びます。要するに「上場」している企業が公開会社となります。

不特定多数の株主と売買する公開会社は、特定の人だけを優遇することはできません。また会社法第109条3項によると、株式の数にかかわらず同額の剰余金を与えるといった種類株式は発行できないとされています。

 

少数株主と株主平等の原則

株主平等の原則に関しては、少数株主との関係も押さえることが大切です。ここでは少数株主の定義に加え、株主平等の原則とどのように関わるかを解説します。

少数株主の定義

少数株主とは所有している株式の数が少ないため、議決権行使に大きな影響を与えない株主です。反対に過半数以上の株式を所有している人は、大株主と呼ばれています。

この制度があることで、資産をあまり多く持っていない人でも株主になれるメリットがあります。しかし会社側からすれば、少数株主に経営を批判されるリスクもあるのがデメリットです。

株主平等の原則との関係

日本は株主平等の原則を採用しているため、少数株主といえども会社は平等に扱わないといけません。たとえば子会社のほとんどの株を持っている親会社がいたとします。

株主平等の原則が認められなければ、少数株主は株を持っていても議決権を行使できなくなる恐れがあります。親会社が横暴な行為に出るのを阻止するために、設けられたのが当該原則です。

とはいえ会社側も、少数株主に振り回されていては思いどおりの経営ができなくなってしまいます。そこで一定の条件を満たせば、大株主が少数株主から強制的に株式を取得する、スクイーズアウトをとることも認められます。

ただし行政書士試験においては、スクイーズアウトという言葉を覚える必要はありません。

 

株主平等の原則のまとめ

株主平等の原則は、日本の会社法全般に認められた一般原則です。株主であれば、所有している株式の数に応じて、等しく取り扱うべきと定められています。

ただし非公開会社の場合、特定の株主を優遇するといった取扱いも可能です。公開会社と非公開会社で、当該原則の考え方が異なることを覚えておきましょう。行政書士試験はそこまで深く問われないものの、会社法の基礎的な内容になるので勉強しておいて損はありません。

*1:会社法第109条:e-Gov 法令検索