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盗まれたものを取り返すには?占有と窃盗の関係について解説

知人に自分の所有物を盗まれてしまい、取り返したいと考えている方もいるでしょう。しかし法的な手続きを採らず、無理に取り返すと窃盗罪で逮捕される恐れがあります。

この記事では、盗まれたものを取り返す方法についてわかりやすく解説します。占有と窃盗の関係について、深く知りたい方はぜひ参考にしてください。

 

盗まれたものは取り返せるか

盗まれたものを取り返すリスクについてわかりやすく説明した図

たとえば皆さんがコンビニで買い物したところ、入口付近に置いていた自転車が盗まれてしまいました。そこで自転車を探していたら、見知らぬ人の家に置いてあったとします。このときに相手に何も告げず、自転車を取り返すことができるかを解説します。

取り返したら「窃盗罪」

盗まれた自転車を何も告げずに取り返した場合、基本的には窃盗罪の対象となります。窃盗罪は所有権ではなく、占有権に基づいて成立します。

そのため盗まれた物でも、占有権が他人にあるときは取り返してはいけません。この考え方を自力救済禁止の原則と呼びます。

一方で自転車が盗まれそうになっているところを発見し、そこで取り返す分には問題ありません。このケースでは、自転車の占有権が自分から完全に離れておらず、正当防衛が認められるためです。

 

盗まれたものを取り返すには

所有物を盗まれた場合、警察に連絡をするか、占有回収の訴えで対処するかといった方法があります。どちらを選択するのが望ましいか、それぞれ詳しく解説します。

警察に連絡して対処する

自分の所有物が盗まれた場合、まずすべきことは警察への連絡です。警察が捜査を開始して、被害品と認められれば返還してもらえます。

盗まれた時点で被害届を出しておき、仮に他人が占有しているのを発見したら、証拠を押さえてすぐに連絡しましょう。あまりにも日数が経ちすぎると、時効などの関係で取り返すのが難しくなります

占有回収の訴えで対処する

ほかの方法として、占有回収の訴えも挙げられます。こちらは民法第200条に定められており、民事上の訴えで所有物を取り返す方法です。

占有回収の訴えでは、所有物の返還に加えて損害賠償も請求できます。しかし訴えを提起できる期間は、占有を奪われたときから1年以内であるため注意してください。

また民事上の訴えは、提起するまで時間や費用がかかります。単に所有物を取り返したいだけであれば、警察に連絡したほうが簡単に解決できるでしょう。

占有の訴えについては、以下の記事でも詳しく解説しています。こちらも併せて参考にしてください。

 

即時取得と盗品の関係

即時取得とは、取引行為において平穏かつ公然と占有を始めた者に対し、善意無過失の場合は所有権等を認めることです。ここでは自分の盗まれた所有物が、誰かの手に渡っていたときに取り返せるかを解説します

なお即時取得の詳しいルールについては、以下の記事でも触れているので参考にしてください。

2年以内であれば請求可能

盗品が自分の所有物である場合、2年以内であれば返還を請求できます。請求者は所有者だけではなく、賃借人や受寄者も含まれます。

なお回復請求期間である2年間において、盗品の所有権は原権利者に属すると考えるのが判例の見解です。即時取得者に所有権を認めると、賃借人や受寄者が被害者であるとき、本来有していないはずの所有権を回復できてしまうためです。

ただし質権者は、占有回収の訴えでしか質物の回収ができません。そのため質権者については、民法第193条に基づく返還請求はできないと考えられています。質権の詳しいルールは、下記の記事でまとめているので併せて参考にしてください。

公の市場や競売等の例外

盗品が公の市場で売られていたり、競売にかけられたりしたときは、回復請求権に制約がかかります。占有者が商人から善意で買い受けたのであれば、被害者は占有者の支払った額を弁償しなければなりません。

ただし弁償が必要となるのは、占有者が目的物を購入したケースです。贈与した場合は、代価を支払う必要がありません。

なお占有者が引き渡しを拒否できるとき、弁償があるまでは盗品等を占有者は自由に使用してよいとされています。仮に盗品を返還するのであれば、所有者に代価の支払いを請求できます。

また所有者が回復の請求をする前に、占有者が盗品を紛失してしまうこともあるでしょう。物が現存していない場合、所有者等は回復だけではなく賠償も請求できません。




盗品がネットショップで売られるケースには注意しなきゃいけないよ!

 

占有と窃盗の関係のまとめ

自分の所有物が盗まれても、一度占有から離れたら無理に取り返してはいけません。所有者自身も、窃盗罪の容疑にかけられる恐れがあります。

もし所有物が盗まれたときは、きちんと警察に連絡をしましょう。民事上で戦うのであれば、占有回収の訴えなどで対応する方法もあります。

ただし盗まれた所有物が、公の市場に販売されて買い取られたケースでは、弁償が発生しうるので注意が必要です。上記以外の取引で取得した占有者に対しても、回復請求は2年以内に限られます。この辺りのルールを詳しく押さえておきましょう。