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住民自治と団体自治の違い|地方自治法のルールを勉強しよう

公務員試験や行政書士の行政書士試験の憲法で、出題範囲の一つとなっているのが地方自治法です。その中でも住民自治と団体自治の違いは、必ず押さえなければならない内容といえます。

この記事では、公務員試験や行政書士試験を受験される方に向けて、これらの内容について解説します。勉強が疎かになりやすい分野ですが、重要であるため必ず目を通してください。

 

住民自治と団体自治

日本国憲法では、第8章において地方自治の内容を規定されています。地方自治体の運営は、地方自治の本旨に基づいて法律で定めないといけません。

地方自治の本旨は、住民自治と団体自治の2つの要素で成り立ちます。それぞれの言葉の意味を解説しましょう。

住民自治=住民の意思に委ねる

住民自治のイメージについて簡潔に説明した図

住民自治とは、地方政治は住民の意思に委ねるべきとする考え方です。要するに民主主義に基づいているといえます。

住民自治の現れとなっているのが、首長選挙や住民投票、住民訴訟などです。国単位での民主主義も重要ですが、同じくらい地方レベルでの民主主義も重視されています。

団体自治=地方自治は独立する

団体自治のイメージを簡潔に説明した図

団体自治とは、地方自治が国から独立して運営すべきとする考え方です。地方という団体として、国に支配されず政治をすることから自由主義に基づいています。

団体自治の現れとなっているのは、地方公共団体の課税権です。ただし国は、地方公共団体に対して一定の指示や代執行はできます(法定受託事務)。

 

 

地方自治法におけるルール

地方自治に関する取り決めは、日本国憲法および地方自治法に規定されています。公務員試験や行政書士試験を勉強すると、つい飛ばしたくなる範囲ではあるものの重要な分野です。

地方議会を置いている

憲法第93条では、地方自治法(第89条)により地方議会の設置を規定しています。ただし町村であれば、地方議会を置く代わりに町村総会を運営することも可能です(地方自治法第94条)。

国会に似ている機関ではありますが、性質は同じではありません。国会の場合は、国権の最高機関として政治の舵をとるリーダーという位置づけです。

一方で地方議会は、自治権の最高機関に立つわけではありません。首長もまた住民の直接選挙で選ばれる立場であるためです。また地方議員は、国会議員のように不逮捕特権や院内での発言の免責特権も持ちません。

首長制を採用している

地方自治では、首長制が採用されています。こちらは首長を国民によって直接選ばせる考え方を指します。

首長制を採用する理由は、住民と首長を対等な関係にするためです。住民と首長それぞれに自主性を尊重し、お互いが抑制し合う構図を作っています。

内閣総理大臣の場合、国民が選んだ国会議員たちが選ぶといった間接選挙が採用されており、首長とあり方が異なります。

直接請求制度を採用している

地方自治は、住民に対して直接請求制度を認めています。具体的には、以下の内容の是正を請求させるための取り組みです。

  • 条例の制定・改廃
  • 監査請求
  • 議会の解散
  • 議員・長・役員の解職

ただしできることはあくまで「請求」に留まり、実際に適用されるかは地方議会の決定に委ねられます。

 

地方自治に関するまとめ

公務員試験レベルであれば、ひとまず住民自治と団体自治の区別を付けるようにしましょう。専門科目の憲法だけではなく、教養科目の社会科学でも問われる可能性が高いためです。

特に地方公務員を目指す人は、仕事における根幹部分であるといえます。地方公務員としての働き方をイメージするためにも、本腰を入れて勉強しましょう。