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転売ヤーは違法ではないの?対策するには規制では不十分

どーも、ヤマトノです。

今回は、いつも記事にしているミクロ経済学の応用を紹介したいと思います。

数年前から世間で議論を呼んでいるのが「転売ヤー問題」です。

2023年度では、ポケモンカードの転売で年収3,000万円に到達した方がニュースに取り上げられていました。

賛否両論が激しい問題ですが、転売ヤーは果たして違法ではないのでしょうか

この記事では、転売ヤーの違法性と正しい対策について紹介します。

 

転売ヤーは違法ではない

まず、結論から言うと転売する行為自体は違法ではありません

基本的に憲法では経済活動の自由が明記されており、誰でも売買に参入できるのが基本だからです。

転売が禁じられてしまうと、メルカリや中古屋の利用もできなくなります。

さすがに不便な世の中になるでしょう。ただし、転売にも「違法になる行為」は存在します。

輸入規制品は転売不可

いくら転売が合法といえども、輸入が規制されている商品を扱ってはいけません。

以下に挙げた具体例には注意してください。

  • 麻薬や覚せい剤
  • 拳銃や火薬品
  • 児童ポルノ
  • その他著作権や意匠権を侵害する商品

転売にかかわらず、これらの商品を扱えないのは理解できるでしょう。

特に麻薬や拳銃、児童ポルノは各法律で罰せられています。

問題になっている転売ヤーも、こういった商品は売買していないはずです。

古物商の許可に注意

単純に不要となったものを売る分には、特に資格も必要ありません。

ただし、転売をビジネス目的で反復的かつ継続的に行うときは、古物商の許可が義務付けられています。

許可の存在を知らず、忘れていただけなら警察からも指導を受けるだけで済むかもしれませんが。

悪意とみなされた場合、古物営業法で逮捕・起訴される危険性もあります。

無許可営業は3年以下の懲役または100万円以下の罰金刑です。

古物商の許可が下りるまでは、審査だけでも「40日間」はかかるとされています。

必要書類を揃えることも考えると、2カ月間の準備期間が必要だと考えるといいでしょう。

転売に許可のいる商品も

古物商の許可以外にも、商品によって資格が必要となるものも存在します。

例えば、お酒です。お酒を継続して転売するには、酒類販売業の許可を取得しなければなりません。

この許可を取らずに転売した場合は、酒税法違反で「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に処されます。

しかし、違法扱いされるのはあくまで業として販売する行為です。

たまたま自宅に置いてあったお酒をメルカリで売る分には、特に許可の必要はないと考えられています。

他にも、医薬品は薬機法の定める「医薬品販売業」の許可が必要です。

病院で貰った処方箋はもちろん、市販の薬や正露丸、妊娠検査薬も対象となっています。

ただし、制汗スプレーや育毛剤といった医薬部外品に該当する製品は対象外です。

このように、転売される商品で違法性の有無が変わってくるパターンもあります。

 

転売ヤーへの対策

メルカリやSNSの普及により、誰でも簡単に転売できる世の中となっています。

一方で、転売が横行すると元々製品を販売していた企業の利益に悪い影響が及ぶリスクもあるでしょう。

悪質な転売を防ぐには、どのような工夫が必要なのかを説明します。

また、この話に関しては私のYouTubeチャンネルでも詳しく紹介します。

youtu.be

動画も参考にしつつ、店側で講じるべき対策を検討してください。

規制するだけでは足りない

転売ヤー対策として、商品の購入量を規制する方法があります。

無論、この規制も1つの方法としては有効かもしれません。しかし、私はただ数量を限定するだけでは不十分と考えます。

理由は、転売ヤー側がチームを組んだ場合に対応できなくなるからです。

例えば、1人3パックまでポケモンカードの購入を許したとしましょう。

一見、数量規制で供給不足を防げるかと思えますが、仮に転売ヤーが10人1組でチームを組むと30パックは購入されてしまいます

規模が大きくないショップであれば、一気に売り切れるリスクが高まります。

SNSの発展に伴い、転売ヤーも全国中から集まることは難しくありません。

規制自体が悪手ではありませんが、期待しすぎると盲点を突かれる恐れがあるのです。

需要と供給を調整する

ここで対策のポイントとなってくるのが、需要と供給のバランスです。

そもそも、ポケモンカードのレアカードは高価な代物として市場から認識されています。

転売では高額で取引されているのが証拠です。

買い占められる要因は、需要に対する圧倒的な供給不足にあります。需要と供給の話は、こちらの記事も参考にしてください。

ポケモンカードは、世間の需要に対して価格を低く設定しすぎていると考えられます。

とはいえ、本来は子ども向けの製品であることや必ずしもレアカードが出ない観点から、急に値段を上げるのは難しいはずです。

転売ヤー対策に有効な方法を紹介しましょう。

購入された商品を中古にする

実際に転売ヤー対策としては、相手が購入した商品を中古にする方法が採られています。

ビックカメラでは、パッケージに名前を書かせる取り組みが採用されているそうです。

ポケモンカードでも、袋を開封させて裏側に名前を書かせる工夫はできるかもしれません。

裏側を隠しさえすれば、カードゲーム時にもそこまで影響が出ないからです。

一般的には、新品商品よりも中古商品の方が安く買われます。

皆さんも、他人の名前が書かれたカードを使いたいとは思わないでしょう。

価格を見直すのではなく、商品自体の価値を下げる方法です。

このような工夫をすれば、商品に対する需要を調整できます。

2つ目以降の価格を高く設定

次に、需要量ではなく価格の見直しを図る方法について取り上げましょう。

買い占めが起こる原因は、金額自体が安すぎる可能性があるからだと説明しました。

とはいえ、突然価格を高くしても購入者が減る恐れもあります。

ここで、2つ目以降の価格を高く設定する方法が有効だと考えます。

2つ目以降であれば、最初の1枚目から購入を避けられるリスクは防げるはずです。

この状況でも買い占めようとする人が現れたとしても、単純に店側の利益には繋がります。

利益を生かして、ポケモンカードを含めた多くの製品をより仕入れできるようになるでしょう。

子ども料金と大人料金

最後に子ども料金と大人料金の設定も、転売ヤー対策には欠かせません。

大人の転売で子どもに迷惑がかかっているのであれば、単純に料金を別に設定するのも1つの方法です。

大人が購入する場合は、子ども料金の10倍以上は高くしてもいいでしょう。

いくら高い価格を設定しても、当然に買い占めする人は現れます。

そこをあえて逆手に取り、会社側の利益を上げるのに貢献させましょう。

無論、中には子どもを利用してポケモンカードを入手しようとする悪い大人もいます。

完ぺきな対策は施せないものの、ここで紹介した方法を上手く組み合わせると良いと考えます。

 

まとめ

今回は、生活にかかる社会問題として転売ヤー対策について紹介しました。

転売ヤーとして活動すること自体は違法ではありません

とはいえ、活動が行き過ぎると純粋にカードゲームを楽しみたい子どもに不利益が生じます。

お店側は、なるべく早めに対策を講じた方が賢明です。

単純に規制するだけでは、転売ヤーを防ぐには物足りないと私は考えます。

ミクロ経済の需要と供給の関係性を押さえつつ、上手く価格を調整する工夫も大切です。